狂犬病の検査診断能力強化に関するコーディネーションミーティングを開催しました

2023年4月に開始した「感染症対策のためのラボサーベイランス強化プロジェクト」では、ザンビア国立公衆衛生研究所 (Zambia National Public Health Institution [ZNPHI]) をカウンターパートとし、ZNPHIの検査機関であるザンビア国立公衆衛生研究所 レファレンス・ラボラトリー (Zambia National Public Health Reference Laboratory [ZNPHRL]) の能力強化を支援しています。活動は①コレラを含めた下痢症のサーベイランスおよび狂犬病のラボ検査診断能力の支援、②ZNPHRLのラボマネジメント能力強化、③サーベイランスサイトおよび他ステークホルダーとのネットワーク強化を3本柱とし、目標達成に向けた日々の活動を行っています。

ザンビアでは年間平均20件の狂犬病による死亡例が報告されていますが、狂犬病の発生数は過少評価されていると言われています 1 。狂犬病が疑われる動物を検査する体制は、家畜省直轄の動物衛生研究所やザンビア大学獣医学部等を中心に充実している一方、ヒトの感染症対策を担うZNPHIでは現状狂犬病疑い検体を検査する体制が整っていないことが課題でした。このため、プロジェクトでは狂犬病を対象に、検査診断能力強化を支援しています。

2024年4月30日、ZNPHI内部のコーディネーションミーティングを実施し、検査部門だけでなく、ワンヘルス部門、サーベイランス部門、メディア部門など、関連する複数部署の担当者が参加して、ザンビア国内での検体採取戦略、ZNPHRLでの今後の検査体制、動物側の検査機関との連携などについて協議しました。また、会議の中では、2023年度8月より実施してきた、犬咬傷の発生状況に関するベースライン調査の結果の報告も行われました。2017年以降に首都ルサカ州および地方州で発生した犬咬傷患者の臨床疫学情報を分析し、適切な暴露後予防、飼育者への啓発活動、適時的な検体検査の必要性などが提言され、出席者と活発な議論が行われました。プロジェクトは、今後も、今会議で議論された内容を参考に、ZNPHRLのラボ検査診断能力の支援活動を続けていく予定です。


[1] Nakazwe C, Gianetti B. Zero Human Rabies Deaths: A One Health approach to rabies elimination in Zambia Health Press Zambia Bull. 2019; 3(10); pp 6-9.
https://thp.znphi.co.zm/index.php/thehealthpress/issue/view/42 (参照 2024/05/03)

画像

ベースライン調査の結果を報告するZNPHI職員と今村専門家

画像

ZNPHRLに導入予定の診断法やそれに適する検体の種類について紹介する兼子専門家