国際協力機構年報 2008
本書は2007年度の国際協力機構(JICA)の事業実績と活動状況をまとめたものです。
JICAは2008年10月、日本のODAの「技術協力」「有償資金協力」「無償資金協力」を一元的に実施する機関へと変わります。これまで手がけてきた事業を振り返りながら、現在の取り組み事例を織り交ぜて紹介し、あらたに資金協力と一体的に運用されていく未来の姿を展望します。
日本の政府ベースによる技術協力は、1954年から開始されました。JICAが当初手がけていた協力は日本人の専門家と相手国の技術者や行政官といった「人」を介した技術移転であり、これに機材の供与を組み合わせて行うプロジェクト方式技術協力は、人づくりの重要な手段とされてきました。
1970年代後半から1980年代、世界的な情勢の変化を受けて、国別に総合的・分野横断的に援助を実施していく重要性の認識が高まってきました。同時に、援助の効果の理論性や透明性を担保する手法として、プロジェクト・サイクル・マネジメントを導入し、国際援助機関等との連携強化に効果を発揮させるとともに、現在に至るまで改善と工夫を続けています。
新JICAは、世界有数規模の二国間援助機関として、これまで以上に大きな役割と責任を担うことになります。Speed Up(スピードアップ)、Scale Up(スケールアップ)、Spread Out(面的な展開の拡充)の「3S」を旗印に、技術協力、無償資金協力そして有償資金協力の3つの援助手法を組み合わせ、相乗効果を発揮できるように取り組んでいきます。
新JICAのめざすべき方向性が具体的にどのようなイメージであるか、ベトナムの事例を取り上げて、考えてみます。
JICA事業(2007年度)とODA(2007年)の実績を総合的に記述しています。より詳細なJICAの実績は本書の第4部「事業実績」および資料編CD-ROMに収録されています。
第2部では、世界の国々を10の地域に分け、地域ごとのJICAの協力活動を述べています。各地域のJICAの援助の基本方針と地域の概況、JICA事業の重点課題と取り組みについて記述し、あわせて、JICAが実施している代表的なプロジェクトも紹介しており、地域ごとの具体的な活動内容が概観できます。
中東地域では、地域安定化の鍵となるアフガニスタン、イラク、パレスチナに対する平和構築・復興支援を最重要課題として取り組んでいます。一方、地域の共通課題である、水資源管理、産業振興、技術者育成、環境保全などの分野で、ボランティア事業も含めてニーズに即した協力を実施しています。
2008年、横浜で開催されたTICAD IVで打ち出された「横浜行動計画」に基づき、「人間の安全保障」を重視した保健医療、初等教育、飲料水の確保等への支援継続とともに、産業基盤整備や貿易投資促進、農業生産性の向上、民間企業との連携促進等、アフリカの好調な経済成長を加速させるための支援にも重点的に取り組んでいます。
小島嶼国で構成される大洋州地域では、経済的自立と持続可能な開発に重点を置いた協力に取り組みながら、域内に広く効果をもたらすプロジェクトづくりと、他援助機関との連携を進めています。観光や農水産業の振興、教育、保健などの基礎的社会サービスの充実、持続的な環境維持のための協力を実施しています。
2006年1月のDACリスト改定によりODA卒業国となった国については、今後2年間に援助を終了すると同時に各国のドナー化支援にも対応しています。一方、西バルカン地域の国々に対しては、2004年の「西バルカン平和定着・経済発展閣僚会合」の結果をふまえ、平和の定着と民間セクター開発を重点分野として、協力しています。
第3部では、課題別の取り組みを中心にJICA事業を紹介します。
ミレニアム開発目標(MDGs)への取り組みをはじめ、社会開発、人間開発、地球環境、農村開発、経済開発の各課題ごとの取り組みを紹介します。
JICAの代表的な協力事業について紹介しています。
効率的・効果的な事業を行う際の要となる、評価とフォローアップについて述べています。
第4部では、第1部で述べた2007年度のJICAの事業実績を、地域、分野、国ごとに、より詳細に紹介しています。さらに詳しい実績を探す場合は、「資料編CD-ROM」をご利用ください。
JICAの沿革、組織、予算、財務諸表、国内外の機関などについて掲載しています。