【有償資金協力】インド・タミルナド州植林事業

インドのタミルナド州では、森林の荒廃が問題となっており、その原因の一つに、薪の収集や家畜の世話をする女性が樹木を伐採してしまうことがありました。「タミルナド州植林事業」(貸付期間1997年〜2005年)では、植林を行うだけでなく、女性が森林伐採に依存しないですむよう、様々な支援を行いました。

植林の計画や管理を地域住民が実施するよう、参加型の共同森林管理(Joint Forest Management)を行うための森林管理組合をつくりましたが、そのメンバーには各世帯から男女各1名が参加するようにしました。

【写真】

また、女性が薪に代わる収入を得るための支援も行い、円借款の一部を原資としてマイクロファイナンスを取り入れました。具体的には、5,979の自助組織(セルフ・ヘルプ・グループ)を結成し、9万人以上の女性が加盟してハーブの加工販売、牛の飼育・取れたミルクの販売などを行いました。また、寺院の近くに店を出し、参拝客向けに必要な線香や容器、ココナツ等の販売などを行いました。このように、グループとして少しずつ貯金を増やす取り組みを実践した結果、女性の約6割が新たな収入源を獲得できるようになり、生計手段の多様化に貢献するとともに森林資源への依存が減り、その結果森林への負荷も減るなどの成果も出ています。また、植林の実施に際して女性労働者も雇用しました。これらの一連の活動による世帯所得の増加や女性や女子の薪の収集労働からの解放は、女子の就学率を大きく向上させるなどのインパクトももたらしています。