ジェンダーと開発

ジェンダーと開発

ジェンダー主流化とは、あらゆる分野での「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント」(注)を達成するための手段を指します。

ジェンダー関係が不平等な社会では、一見、「中立的」な開発政策や施策、事業であっても男女それぞれに異なる影響を及ぼす可能性があります。そのため、すべての開発政策、施策、事業の計画・実施・モニタリング・評価のあらゆる段階で、社会における男性と女性の社会的な役割の違いや力関係によって生じる課題やニーズを踏まえ、ジェンダー平等の視点を組み込んでいくことが必要です。そのプロセスを意味するのが「ジェンダー主流化」であり、こうしたプロセスを通じて地域の女性のエンパワーメントとジェンダー平等の達成を目指すものです。

一般に、社会における固定的な男性と女性の役割や責任は、その地域の人々の価値観、文化、伝統、慣習などによって無意識のうちに規定されていることが多く、各種政策や制度、組織などもその影響を受けています。また、先進国・途上国を問わず、現代社会の社会通念や社会システムは、男性の視点に基づいて形成されていることが多いために、男性優位の社会・文化のなかで形成されてきた「ジェンダー」には、その関係性のなかに権力の不平等が内包されていることが特徴です。そこで、こうした男女間に存在する差異や力関係を踏まえ、相手国の政策や各種制度がジェンダー平等なものとなるよう、女性省などのナショナル・マシーナリー(ジェンダー平等を目指す国の機関・機構・組織)を支援することが重要になります。

また、多くの場合、統計やデータ、各種指標が男女別に集計されていないことも、地域社会における男女が置かれた状況の違いやそれによる課題・ニーズを把握するうえで障害となっています。対象となる地域社会への理解が不足したまま政策・施策の策定や制度構築を行うと、かえってジェンダー格差を拡大したり、女性に負のインパクトを招いたりします。そのため、各種計画・事業に必要な基礎データを地域、性別、年齢、民族、宗教別に収集し、総合的に分析すると同時に、その結果を政策・制度に反映できる人材を育成するような取り組みも重要です。

ジェンダー平等を進めるには、女性のエンパワーメントの推進も重要です。同時に地域の男性や意思決定者、社会への影響力の大きい人々(行政官、教育者、政治家、宗教リーダーなど)の意識と行動の変革に向けた取り組みも不可欠です。

(注)OECD開発援助委員会(DAC)の「開発協力におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントガイドライン」によると、「ジェンダー平等とは、男性と女性が同じになることを目指してはいない。人生や生活において、さまざまな機会が男女均等であることを目指すものである。また、ジェンダー平等といっても、すべての社会や文化に画一的なジェンダー平等モデルを強制するものでもない。ジェンダー平等の意味するところを男性と女性が共に考えて選択する機会を均等に有し、そのジェンダー平等を達成するために男女が協同で取り組むという考えである。現在は明らかにジェンダー格差が存在しているので、男女を平等に扱うのみでは不十分である」(OECD"DAC Guidelines on Gender Equality" P.12 Boxより)。