
中米・カリブ地域の大部分の国々が共有する開発政策上の最重要課題は貧困削減であり、このことはニカラグア、エルサルバドル、グアテマラが経験した内戦の根底にあった不安定要因を取り除き、地域における平和の構築をさらに推進するために重要です。また、中長期的な観点から貧困問題を解決していくためには、地域と各国が持続的な経済成長を達成し、雇用が増大するとともに、人々の生活の質が改善されることが不可欠です。さらに、小規模な国々が隣接する地域の特徴にかんがみ、環境問題や感染症対策など国境を越えた地域的規模の問題への取り組みも重要です。
南米地域の多くの国では1990年代以降、民営化や規制緩和などの経済改革に取り組んだ結果、順調な経済成長を遂げつつあります。また、歴史、文化、言語などの共通性があり、域内協力や域内経済統合、さらに域外との自由貿易協定や経済連携協定の動きが活発化しています。日本との経済交流も増えつつあります。一方、域内には比較的高い経済水準を達成している国々と低い水準の国々が混在し域内の格差が存在しています。また、経済水準の低い国だけでなく、高い国においても国内に貧困問題を抱えており、順調な経済成長に反して貧困層が拡大し、貧富の差がますます大きくなっています。こうした貧困問題に対する国民の不満が近年各国における左派政権の誕生につながっており、これまでの経済政策を見直す動きも出ています。貧困問題は政治経済を不安定化し、治安悪化などの社会問題や環境問題を引き起こす要因ともなっています。
南米地域のもつ天然資源、鉱物資源、食料供給能力、経済規模は大きく、この地域の政治経済が混乱したり、環境破壊が進行したりすると世界経済や地球環境にも影響が及ぶ可能性があります。特に、近年、世界中で気候変動の影響が懸念されるなか、世界最大の熱帯雨林であるアマゾン森林を有し、世界的にも重要な食料供給地である南米地域の気候変動への取り組みはとりわけ重要となっています。
また、日本人の南米への海外移住は、1899年のペルー、1908年のブラジルへの移住開始を契機として活発化し、既に100年以上の歴史を重ねています。その一方で、ここ十数年、かつて日本人が移住した国々、とくに南米から日系人とその家族をあわせて数十万人が就労や勉学の目的で来日しており、「人」を介した南米と日本との繋がりは強固なものになりつつあります。