事業の概要

技術協力とは

開発途上国のニーズは、これまでの農業開発や保健医療の改善、給水などの社会基盤の整備に加え、最近は気候変動への対応、市場経済化や法整備に対する支援、アフガニスタンやスーダンなどにみられる平和構築・復興支援など従来にも増して、多様化・多面化しています。これらの中には、資金協力によって施設や設備を整備して状況を改善できるものもあれば、開発途上国の自立発展や開発効果の持続性を確保するため、開発途上国自らの課題解決能力を向上させることに主眼を置いた協力が必要なものもあります。

技術協力事業は、開発途上国の課題解決能力と主体性(オーナーシップ)の向上を促進するため、専門家の派遣、必要な機材の供与、人材の日本での研修などを通じて、開発途上国の経済・社会の発展に必要な人材育成、研究開発、技術普及、制度構築を支援する取り組みです。

技術協力の種類

専門家派遣

開発途上国の協力の現場に日本人専門家を派遣して、相手国の行政官や技術者(カウンターパート)に必要な技術や知識を伝えるとともに、彼らと協働して現地適合技術や制度の開発、啓発や普及などを行います。相手国の地域性や歴史的背景、言語などを考慮して、日本人よりも、第三国(日本と相手国以外の国)からの人材派遣が効率的な場合には、第三国専門家を派遣します。

研修員受入

開発途上国から、主に当該分野の開発の中核を担う人材を研修員として日本に招き、それぞれの国が必要とする知識や技術に関する研修を行う「本邦研修」、日本以外の国で開催する「在外研修」があります。

技術協力プロジェクト

「専門家派遣」、「研修員受入」、必要な機材の供与を含め、さまざまなメニューを最適な形で組み合わせて実施する「技術協力プロジェクト」は、技術協力の中心的な事業です。事業計画の立案から実施、評価までを一貫して計画的かつ総合的に運営・実施することで、より確実な成果が得られます。

多くの技術協力プロジェクトでは、開発途上国のオーナーシップを高めるため、計画の立案と運営管理・評価に、プロジェクト対象地域の住民などにも参加してもらう「参加型」の手法を取り入れています。また、民間企業や大学、NGOなどと連携し、蓄積された経験や知識、ノウハウを各方面で活用してもらうことで、より複雑で高度な課題に対応するとともに、より広範に成果を普及させることを目指しています。

開発計画調査型技術協力

開発途上国の政策立案や公共事業計画の策定などを支援しながら、相手国のカウンターパートに対し、調査・分析手法や計画の策定手法などの技術移転を行います。主な協力内容は、以下の4点です。

協力終了後は、開発途上国が開発計画調査型技術協力の結果に基づき、1)提言内容を活用してセクター・地域開発、復旧・復興計画を策定する、2)国際機関などからの資金調達により計画(プロジェクト)を実施する、3)提言された組織改革、制度改革を行うなどが挙げられます。

日本センター

「日本の顔」の見える援助、日本との人脈形成の拠点として、アジア地域の市場経済へ移行する9か国に10センターで、市場経済化を担う人材育成を目指しています。