現在の場所は

政治

立法府—選挙と議会

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カルザイ大統領

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スパンタ外相(右)

アフガニスタンの議会は二院制であり、上院(Meshrano Jirga)と下院(Wolesi Jirga)から構成されます。2005年9月に行われた選挙では、下院は定数249、任期5年で34州がそれぞれ1選挙区とされ、議席は人口に応じて比例配分(例えばカブール州33議席)されました。さらに遊牧民にも10議席が与えられています。

また投票は政党ではなく、個人名を書くSingle Non-Transferable Vote:SNTVという方式が採用されました。これは政党あるいは政治グループ名の記述による投票では、各地域で多数の勢力(南部ではパシュトゥーン人、中央高地はハザラ人、北部ではタジク及びウズベク人)が議席をそれぞれ独占し、民族間の摩擦を高める可能性を排除する意味もありました。なお、現在下院議長を務めるカヌーニ氏は旧北部同盟の実力者の一人であり、次期大統領選の有力候補とも言われています。

他方、上院は定数102、任期6年で半数は3年で改選、州議会議員から68名が選ばれ、大統領が34名を指名します。憲法上は州議会議員から34名、郡議会議員から34名が選出されることになっていますが、前回は郡議会議員選挙の実施が困難となり、便宜的に州議会議員から68名が選ばれました。

憲法に従えば2009年には大統領選(前回は2004年に実施)と2010年には下院議員選挙が実施されることとなります。しかし、南部、南東部を中心とした治安面での不安に加え、国政選挙を2度別々に行うことは莫大な経費がかかることから、UNAMA(国連アフガン支援ミッション)をはじめとする国際社会は、両方の選挙を同時に行うことも検討するようアフガン政府へ促しています。ただ、その実現のためには大統領任期の延長あるいは下院議員任期の短縮といった政治的に微妙な問題が絡み、さらにそれらの実現のためにはロヤ=ジルガ開催による憲法改正の手続きも必要となり、現実的には極めて困難な選択肢と言えます。

現在、アフガニスタンにおいては政党法が存在しないことから、政党を中心とした政策論議は行なわれていません。しかし、政党に準じた政治グループは存在し、特に2007年には旧北部同盟勢力を結集した「国民戦線(United Front)」が結成されましたが、2007年11月にバグラン州で起きた大規模な爆発事件で中心メンバーが犠牲となったこともあり、具体的な政治活動を展開するまでには至っていません。(2007年12月現在)

いずれにしても政党活動によらない議会は、その時々の情勢により議会における多数派工作が行なわれるなど、政局が不安定化する原因ともなっています。その例として、2007年には予算案の否決、外務大臣および難民帰還大臣の罷免といった出来事が起こっており今後も暫くは議会の混乱は続くと見られます。

なおアフガニスタンにおける基本的な立法過程は以下の通りです。法案は政府、議員等によりまず下院に提案、1ヶ月以内に審議され、定数の3分の2以上の賛成があれば可決されます。その後、上院に送付され15日以内に判断がなされ、最終的に可決されれば大統領府に送られ大統領の署名によって法制化されます。もし大統領が署名を拒否した場合でも、15日以内に下院の3分2以上の賛成が得られれば可決、法制化されます。(憲法第94条)

行政府—内閣

現在のカルザイ政権の閣僚の顔ぶれは、民族間のバランスに配慮したものとなっています。まず副大統領には旧北部同盟からタジク人のマスード氏、ハザラ人からハリリ氏がそれぞれ登用されています。その他の閣僚としては、欧米帰りのテクノクラート(元米国の大学教授であるアハディ財務大臣)、内戦時代のいわゆる軍閥の長(イスマイル=ハーン水・エネルギー省大臣)といった面々で構成されており、また民族間のバランスを考慮してタジク、ウズベク、ハザラ人が登用されています。また、40近くある省庁がポスト配分のために存在し、業務分担の重複あるいは無理な分業があることも指摘できます。(例として農業灌漑省と農村復興開発省、水・エネルギー省と鉱物資源省など)

その他にも、大統領が多数のアドバイザーを抱え、それが政策立案、実施上の混乱の原因となっているという点も指摘されます。

【アフガニスタン事務所 嶋田晴行】

参考文献

アジア経済研究所〔各年〕『アジア動向年報』
Daily Outlook AFGHANISTAN〔日刊英字新聞〕