技術協力プロジェクト「地方電化促進プロジェクトフェーズ2」

背景と目的

ブータン王国は、地方農村部と都市部の間で広がる格差の是正をめざし、その一環として2013年に世帯電化率100%の達成を目指しています。わが国は、2005年に「地方電化マスタープラン」の策定に協力し、これを基に2007年に初の円借款「地方電化事業」が開始されました。また、2011年6月には「地方電化事業フェーズ2」借款契約が締結され、農村地方部への配電線の延伸を支援しています。しかしブータン電力公社(BPC)は、険峻な国土に散在する集落に安定した電力を効率的に供給するという難題に直面していました。これを受けJICAは2008年から3年間技術協力プロジェクト「地方電化促進プロジェクト」を実施し、技術・経営の両面から地方電化の運用・維持管理能力の向上を支援しました。

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以上の状況を踏まえて、2010年にブータン国政府からわが国に、上記プロジェクトの継続案件として、地方電力供給におけるBPCの運用・維持管理能力の向上を目的とする本プロジェクトが要請され、2年6ヵ月の本プロジェクトが開始されました。

事業概要

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地方配電の安全性と信頼性における効率向上のため、BPCに対しては、今後急速に拡大する地方の配電システムの運用・保守管理能力や地方事業所のマネジメント能力の向上の支援を行っています。また、経済省に対し、小水力発電や太陽光発電等の独立電源開発の実施能力を強化するため、地方電化の効率的実施に係る制度構築と人材育成、研修センターの改善、ガイドラインとマニュアルの拡充、トレーナーの能力や育成を行っています。

【協力期間】
2012年3月から2014年9月まで(2年6ヵ月)
【実施機関】
ブータン電力公社(Bhutan Power Corporation:BPC)
主務省は経済省再生可能エネルギー局
【専門家派遣】
長期専門家(業務調整/地方電化)
短期専門家(総括/優先課題解決活動、配電計画、配電維持管理、配電マニュアル、研修計画、等)

事業ハイライト

プロジェクト活動を通じ、運用・維持管理マニュアルの原案が作成されるとともに、ティンプー近郊ベガナ研修センターを対象に、改善のための計画書案が作成されています。
これと並行し、優先課題解決活動に基づいた配電網の運用維持管理能力強化のため、配電・顧客サービス部が主体となって、パイロット事業が提案されました。また、これまでのPI(Priority Issue)活動の実施により、組織内での意識改革や自立的課題解決活動が推進されたことから、将来的に事業所内での指導者となりうる素養を持った人材の育成機会となりました。加えて、個々のパイロット事業を通じた技術移転も進んでおり、特にBPC経営幹部から高い評価を得ています。