無償資金協力「サルパン県タクライ灌漑システム改修計画」

背景と目的

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ブータンでは、農業は国民総生産の約17%、労働人口の約6割を占める基幹産業ですが、生産性が低く、食糧自給率も5割にとどまっています。同国南部のタクライ地区は標高200m前後の平和、山岳地帯であるブータンでは例外的に温暖な気候と平坦な地形に恵まれ、農業生産に有利とされていますが、毎年のように発生する洪水により灌漑設備が故障し、水の供給が減少しています。

このような状況の下、安定した農業用水の供給により、米等農作物の作付面積を拡大することを目的として、既存のタクライ地区の灌漑システムを改修するための協力が、日本政府に要請されました。

事業概要

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この計画では、タクライ灌漑地区において、洪水被害の軽減に配慮した灌漑設備の新設・復旧と、灌漑施設全体の効率的な運用・維持管理を目的とした実施機関の能力構築のための支援を行います。灌漑用水の取水環境が改善し、水の利用も効率的になることから、灌漑面積、乾期の米の作付面積の拡大が期待されます。

  • E/N署名日:2014年6月27日
  • 供与金額:10.51億円
  • 実施機関:農業森林省農業局

事業ハイライト

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タクライ川では雨期になると土砂を含んだ強い流れが起こり、それが原因で毎年取水口が破壊されるという問題が発生していましたが、本プロジェクトでは、日本における高い灌漑技術と経験を踏まえて洪水等の災害に強い新たな取水口が設計され導入されており、それら災害時の被害最小化が期待されています。

また、この協力を通じては、日本の業者が独自に整備を進めるのではなく、ブータンの現地業者との協働により、施工を通じた技術移転が展開されています。

さらに、工事は既存の灌漑システムを一部使用するため、工事の影響を最小限にするため、農作業中は原則として工事を実施しない等、農作業への影響を極力低減すべく、作業計画が立てられています。