現在の場所は

所長あいさつ

皆さんはカンボジアというと、どんなことをイメージされますか?世界遺産であるアンコール・ワットやメコン河は有名ですが、一方では長期にわたる内戦、そして地雷や不発弾の問題を思い浮かべる方も多いと思います。

そんな皆さんが、今の首都プノンペンをご覧になったら、新鮮な驚きを感じられるかもしれません。特に、1991年の和平協定直後のカンボジアの様子を知っている人は、「よくここまで復興を遂げた」と思うことでしょう。プノンペンでは、毎日のように新しい店ができたり、たくさんのオフィスビルやアパートの建設が進められています。多くの車とオートバイが街中にあふれ、市民の表情にも明るさが感じられます。

このように内戦終了後の緊急復興が一段落し、「開発のステージ」に入ったといわれるカンボジアですが、産業や生活の基盤となるインフラ整備は、いまだ課題が山積しています。多くの地域で電気や水道が整備されておらず、道路も、特に地方はひどい状態です。収穫した農作物をマーケットに運べない、患者を病院に運べない、学校に通えないなど、生活インフラのニーズはたくさんあります。全国規模である程度のインフラが整備され、人々の生活が軌道に乗らなければ、国全体の経済開発もなかなかうまくいかないでしょう。また最近では、急激な経済発展に伴う新たな問題も出てきています。農業・農村開発の遅れによる都市への人口流入や増加する無秩序な観光開発などが、ごみ処理や交通問題などを加速化させており、早急な対応が必要です。

カンボジアがこのような開発課題を解決するためには、人材育成が特に重要となります。ポル・ポト時代に、すべての分野のリーダー格の人たちが殺されてしまったこの国では、広範な人材の穴をどうやって埋めていくかが大変な課題です。

これまでJICAは1993年の事務所開設以来、緊急復興支援として生活インフラおよび保健・医療、教育分野などの整備や人材育成を行ってきました。1997年の政治的な混乱からようやく社会的にも安定してきた昨今、カンボジアの開発はこれからが特に重要なステージとなります。特に人材育成には忍耐と時間がかかりますが、JICAとしては長期的な視野をもって各国の援助機関やNGOとともに連携しながら、今後も支援を行っていきたいと思います。

カンボジア事務所長
鈴木 康次郎