所長あいさつ

コロンビアは、日本の約3倍の国土を有し、人口は約5,000万人で中南米ではブラジル、メキシコに次ぐ3番目の規模です。南米では唯一、カリブ海、太平洋に面し、南北にまたがるアンデス山脈を経てアマゾンまでをも含むその国土は変化に富み、世界で3番目に生物多様性に富んだ国と言われています。よく知られるコーヒー以外にもバラ、カーネーションなどの切り花は世界2位の輸出大国で、エメラルド、石油や石炭も産出します。

コロンビアでは1964年以降50年以上に亘り左翼ゲリラ組織との紛争が継続していましたが、2016年、政府と最大の左翼ゲリラ組織であったコロンビア革命軍(FARC)との間で和平合意が成立し、時のサントス大統領はノーベル平和賞を受賞します。以降、引き続きFARC分離派、国民解放軍(ELN)等との紛争が継続する複雑な情勢下にはありますが、紛争の終結と平和構築に向けた取り組みが進められています。

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JICAは、「均衡のとれた継続的社会経済発展への支援」を大目標に「和平プロセスの履行期における均衡のとれた社会経済発展」、「環境問題及び気候変動対策や災害対策への取組」を重点分野として協力を実施しています。これまで、紛争影響地域の生計向上や格差是正を進めるべく、一村一品(OVOP)運動の浸透・拡大、農村開発モデルの普及を支援してきています。更に、未だ各地に残る地雷除去を推進する組織強化・人材育成の支援と共に、障害のある紛争被害者のエンパワーメントを促進するなど、インクルーシブな開発支援を進めてきました。また、災害に対し強靭で、環境調和型の社会の実現に向けた協力も進めています。今後は、これまでの取り組みの継続発展と共に、コロンビアの様々なポテンシャルに着目した民間連携事業等にも積極的に取り組んで行きたいと考えています。

今年8月には、コロンビアは新大統領を迎え、様々な変化、改革が進められることが想定されています。この変化の時期においてもこれまで同様、包摂的な協力を進めると共に、新たな政策・ニーズに基づいた協力も推進していければと考えています。

2022年6月
コロンビア支所長
佐藤 洋史