所長あいさつ

Bula Vinaka!(フィジー語で「こんにちは」)

フィジーは330の余りの島々からなり、総面積は四国とほぼ同じで、人口は90万人弱の国です。使われる言語は英語、フィジー語、ヒンディー語です。
南太平洋の中央部に位置するフィジーは、周辺国へのアクセスの良さから交通の要衝です。国内の交通に目を移すと、日本から輸入された車両が多く走っており、車内モニターに日本語表示のあるタクシーを目にすることも少なくありません。

フィジーと聞いて、ラグビーや観光地を思い浮かべる方、また「フィジーにおいで」の曲を思い出される方もいらっしゃるかと思います。2021年東京オリンピックの7人制ラグビーでは男女ともにメダルを獲得し、当時コロナ禍の厳しい状況に直面していたフィジー国内に明るい話題をもたらしました。

【画像】

JICAによるフィジーへの協力は、1983年の青年海外協力隊の派遣から始まり、翌1984年にはフィジー事務所を開設しました。
現在の協力重点分野として、1)経済発展に向けた基盤整備、2)気候変動・環境対策、3)社会サービスの質の向上の3分野があり、社会・経済インフラの強靭化、海洋関連協力、保健・教育人材の育成、廃棄物・下水対策といった環境改善、気候変動対策につながる防災への協力を実施しています。また、大洋州地域共通の課題に対しては、フィジーを拠点とする研修事業の実施にも取り組んでいます。

近年、気候変動による影響が世界各地で見られますが、特に深刻な影響を受けている大洋州の国々では「唯一最大の脅威」とされており、フィジーにおいてもサイクロンによる家屋やインフラの損壊など、自然災害は年々大きな脅威となっています。
こうした課題に対し、JICAは国や地方の防災計画や洪水対策マスタープランの策定、災害発生時の迅速な財政支援、気象業務に関する技術能力の向上など、幅広い協力を行っています。また、フィジー気象局を拠点に大洋州10か国の気象観測に携わる人材育成も行ってきており、同協力を通じてナウルでの気象観測が正式に開始されたことは活動成果の一つに挙げられます。

新型コロナウイルスの世界的な流行により、フィジー国内での感染拡大による影響やGDPの約4割を占める観光業への打撃など、新たな課題に直面しています。JICAは、これまでの協力を通じて得られた知見や教訓も踏まえて、この厳しい状況をフィジーの人々とともに乗り越えていきたいと思います。

当事務所はキリバスにあるフィールドオフィスを担当しているほか、JICA拠点がないクック諸島、ツバル、ナウル、ニウエも担当しています。JICA事業を通じて、フィジーとのパートナーシップ強化を図るとともに、こうした国々にも貢献できるよう取り組む所存です。

Vinaka Vakalevu(フィジー語で「どうもありがとうございます」)

フィジー事務所
所長 天池 麻由美