首都圏地滑り防止計画

1998年に中米地域を襲ったハリケーン・ミッチにより、ホンジュラスでは全国で約350万人が被災し、また国土のほぼ全域で深刻な社会的・経済的被害を受けました。

国土の8割を山岳地帯が占めると言われ、特に傾斜地の多い盆地に位置する首都テグシガルパ市では、地すべりをはじめとする自然災害に長年苦しめられてきました。ハリケーン・ミッチの際には、チョルテカ川付近の斜面で大規模な地すべりが発生し、その土砂がチョルテカ川を塞き止めたことにより、大規模な洪水が発生し多くの人命を奪いました。

この災害の経験から、テグシガルパ市では自然災害対策に取り組んでいますが、財政上の制約や経験・技術の不足などにより、地すべりや河川氾濫の危険性の高い地区への適切な対策がとられていません。この協力では、ハリケーン・ミッチで大規模な地すべりが起きた首都圏の2地区(ベリンチェ地区及びレパルト地区)を対象に、ハード面での地すべり対策工事を行っています(工期は2012年2月〜2013年10月の予定)。この工事では、中米地域では初めての試みとなる扇型の集水管及び集水井を複数箇所設置する工法が採用されました。工事現場は政府関係者のみならず、民間技術者・建設コンサルタントそして土木工学を専攻する学生らにとっても地すべり現場での施工を学ぶ格好の教材となっており、同国における幅広い防災技術の向上にも貢献しています。また、ソフト面では、防災関連機関及び周辺住民に対し、同地すべりポイントの適切なモニタリング、地域住民の災害に対する理解促進等、災害時の対応能力の向上を支援しています。

現在、工期のおよそ半分を経過し、現場に設置した地下水位計のモニタリングデータから、コンスタントな水位の低下が観測されるなど、確実に現場地域の安全性が向上してきています。

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テグシガルパ市風景

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ベリンチェ地区工事現場