世界が注目する激動のインドに約20年ぶりに赴任でき、大変光栄に感じております。前回私がインドに駐在したのは1988年〜1991年でした。91年は湾岸戦争や政治混乱の影響を受けインドが経済危機に見舞われた年でしたが、JICA(当時のOECF)として緊急財政支援により危機克服のお手伝いをさせて頂いたのが印象に残っています。この経済危機を契機として経済改革が進み現在の経済発展につながった、インドにとっての重要な転換期でした。
経済発展著しい現在のインドが抱える課題のひとつとして、外国投資導入を含む更なる製造業の発展に向けた鉄道、電力などの経済インフラの整備が挙げられます。また、農村開発や環境・気候変動への対応も重要な課題です。日本の政府開発援助(ODA)の特色であるJICAによる長期かつ低利の円借款の活用は、これらの課題への対応に最適なスキームであると考えられます。インドは日本の円借款の最大の供与先となっていますが、今後も事業分野を充実させていきたいと考えています。
また、IT分野などで既に高い技術力をもつインドですが、日本が経済発展の過程で得た環境分野などでの技術的な知見は、今後のインドの発展にとって有益であるところ、引続き専門家派遣等の技術協力を通してインドの発展に貢献してまいります。さらに、インドは新興援助ドナーとしての地位を確立しつつあり、ドナーとしての連携の可能性も模索したいと考えております。
インドにおけるJICAの業務には様々な可能性が広がっています。今後も、日本の重要なパートナーであるインドの更なる経済発展のみならず、地球規模での課題解決に向けインド政府と共に取り組んでまいります。
2010年4月
インド事務所長 山中晋一