所長あいさつ

インドは2度目の駐在となりますが、知れば知るほどにインドの巨大さと深遠さを感じずにはいられません。日本の約9倍の広大な国土は、ヒマラヤの頂から大河を抱く大平原、灼熱の砂漠、そして広大なインド洋までと様々な表情を見せ、その中に多数の言語と豊かな文化を持つ14億人近い人々が暮らしています。

14億人の生活水準の安定的な向上のため、モディ首相が率いる現政権は、大胆な経済改革や貧困層支援の施策を精力的に進めています。政権発足後の5年間は毎年7%前後の高度経済成長を実現しました。現在はコロナにより大きな打撃を受けていますが、2021年10月にワクチン接種者10億人を達成した偉業はインドの底力を見せつけたものと言えるでしょう。

その一方でインドの開発の度合いを見れば、一人あたりGDPが2020年時点で2,000ドル程度(日本の約20分の1)であり、依然として3億人近い人々が貧困の中に暮らしています。SDGs(持続的な開発目標)の達成順位は世界165か国中で120位であり、非識字率や乳幼児死亡率などは他の途上国と比べても高水準です。2021年国連総会で演説したモディ首相の「インドが成長する時、世界が成長する」との言葉には何ら誇張ではない響きを感じます。

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JICAなどを通じた日本のODA(政府開発援助)による長年の支援は、インドの社会経済の発展に寄与してきました。現在は鉄道網や道路の建設、上水道や病院の整備への協力から、日本語教育ボランティアの派遣まで、日本の企業・団体・市民のご協力も得つつ、幅広い取り組みを進めています。2020年のコロナ禍以降は、インド政府の対応を支援すべく緊急融資や医療器材の提供も行いました。インドは日本政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の主要推進国として、インド太平洋地域の安定した発展に重要な役割を担っています。巨大な可能性を秘めた未来の大国・インドとの経済や人の結びつきの強化は、これからの日本にとってもきっと有益なことでしょう。

JICAはインドの更なる発展のため、「包摂的で持続可能な成長」の実現に向けて、協力を続けていきます。特にコロナ後の社会を見据えて、従来の政府向け支援とともに、

開発の現場で活躍するNGOや社会的企業とも広く協働しながら、協力の成果を積み上げていく所存です。ここで掲載されている事業数は限られますが、このホームページがJICAのインドでの活動を紹介する一助となれば幸いです。

2021年11月
インド事務所長 斎藤 光範

JICAのインド業務の概要についてさらにお知りになられたい方については以下のリンクをご覧ください。