国連「南南協力EXPO」が途上国で初開催(ケニア)

2013年11月18日

「南南協力EXPO 2013」が10月28〜11月1日、ケニアのナイロビで開催された。国際連合南南協力事務所(United Nations Office for South-South Cooperation: UNOSSC)の主催で、2008年の開始以来6回目となる。今回、開発途上国で初めて開催(注1)され、特にアフリカ地域から多数が参加した。

トルコとの省エネ技術普及、ケニアとの社会林業活動が表彰

NECCが黒海地域の国々を対象に行った国際セミナー(2012年)

JICAは2012年に「国連南南協力賞」を受賞したほか、過去多数の取り組みが「南南協力EXPO」で優良事例として表彰されている。今年もトルコ国立省エネルギーセンター(National Energy Conservation Centre : NECC)と実施している省エネ技術の普及、ケニアの林業研究所(Forestry Research Institute : KEFRI)との社会林業(注2)に関する実践的知見の共有の2件が表彰され、それぞれの取り組み内容や成果を発表した。

トルコ国立省エネルギーセンターは、2000年から2005年にかけてJICAが行った「トルコ省エネルギープロジェクト」を通じて、プラント企業のエネルギー管理者に対する研修能力の向上と、訓練施設の拡充、NECC職員が工場に対して省エネ提案を行う際に必要な診断活動の強化を図った。このプロジェクトで培った技術を通じて、JICAと共に2002年から第三国研修や国際セミナーを開催し、中央アジアや東欧などの20ヵ国、200人以上の人材育成を行った。

事例を紹介したJICA企画部浅井誠職員は「省エネという共通課題が、研修参加国の高い関心やモチベーションを醸成していること、トルコ政府のコミットメントとリーダーシップ、二国間協力を通じた能力強化プロセスの3点が、この三角協力(注3)の成功要因として挙げられる」と説明した(参考1)。

発表後に質問を受ける花井ケニア事務所次長(中央)

また、ケニア林業研究所(KEFRI)に対してJICAは1987年から社会林業の普及を支援しており、同研究所は今ではサブサハラ地域で有数の研究機関の地位を確立している。1995年からこれまでにサブサハラ・アフリカ地域の20ヵ国から300人以上の森林政策担当官などを育成してきた。

KEFRIのマイケル・ムコルウェ氏と共に、同研究所との協力について発表した花井淳一JICAケニア事務所次長は、「ケニアにおける社会林業の成功の鍵は『ファーマー・フィールド・スクール(Farmer Field School:FFS)』(注4)など、これまでの森林管理にはなかった取り組みを導入したこと、常に取り組みの改良を加え続けてきたことなどにある」と強調した。

引き続き南南協力、三角協力を促進

ハイレベル会合でスピーチする加藤JICA理事(右から3人目)

10月31日に開催されたハイレベル会合では、JICAの加藤宏理事が開会あいさつを行い、「南南協力の意思決定者が、毎年、一堂に会するこのハイレベル会合は、他に類を見ない会議である。三角協力は共有すべき知見を持っていても自ら他国と共有する余力のない国を支援できる点が重要であり、推進すべきだ」と述べた。

生物多様性保全に関する三角協力を紹介する長谷川基裕JICA専門員(左)とチャールズ・バイラッパンITBC/UMS所長(中央)

会合でJICAは、2002年から2012年にわたって行われた「マレーシア・ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラムプロジェクト」の協力成果を基に、マレーシア・サバ大学熱帯生物学・保全研究所(Institute for Tropical Biology & Conservation, Universiti Malaysia Sabah:ITBC/UMS)と2009年から実施している第三国研修を紹介した。

また南南協力を今後一層推進するため、政策、法律、実施体制、プロジェクト管理、人材育成などの中で、どのような取り組みが強化されるべきか意見交換が行われた際、JICAとUNOSSCが共同で行った南南協力の実施マネジメント能力に関する事例研究(参考2)の成果を紹介し、議論に貢献した。

ミレニアム開発目標(MDGs)年となる2015年を目前に、伝統的援助国ではない途上国が開発支援に果たす役割の重要性が一層高まっている。JICAによる南南協力の促進や三角協力の実施は、途上国の有用な知見を活用するという直接的な意義だけでなく、これから開発協力の提供主体として役割を果たそうとする途上国と協働することで、世界の開発協力の底上げを図ることにもつながる。JICAは引き続き事例の共有などを通じて、南南協力や三角協力の促進に貢献していく。

(注1)これまではニューヨーク(2008年)、ワシントンD.C(2009年)、ジュネーブ(2010年)、ローマ(2011年)、ウィーン(2012年)で開催。
(注2)地域住民の生活向上と森林保全を目的とする参加型の林業活動の総称。
(注3)先進国や国際機関と支援を行う途上国が連携して、支援を受ける途上国の発展・開発のための共通の案件目標を設定し協力を実施すること。
(注4)1990年代に国連食糧農業機関(FAO)により、農業分野の普及手法として開発されたもの。20〜30人の農民がグループを形成し、村の中に設置した学習ほ場を活用して、農民自身が選択した課題について、実際に試作をしながら、知識や技術を習得する活動。農民のエンパワーメントにも大きく貢献する。