日本企業のインド進出を支援

−企業向けインド インフラセミナー開催−

2014年2月27日

わが国の重要なパートナー

インドのインフラ整備の重要性について述べる荒井部長

2月13日、「インド インフラセミナー」が、JICA市ヶ谷ビル(東京都新宿区)で開催された。2011年の国勢調査では人口が12億人を超え、今後の経済成長に伴う市場のさらなる拡大が見込まれるインド。今回のセミナーは、2012年から2017年の5年間で、1兆ドル規模の投資が計画されている同国のインフラ事業に焦点を当て、JICA南アジア部が開催したものだ。セミナーでは、特に日本企業の関心が高い運輸、上下水道、電力について集中的に取り上げ、外国企業がインド市場に進出する際の課題や、JICAによるインフラ分野への支援の現状、今後の支援の方向性について講演を行い、約180人の参加者と議論を交わした。

開会のあいさつに立ったJICA南アジア部の荒井透部長は、「インドの経済成長は近年減速傾向にあるものの、中長期的には持続的な成長が見込まれている」と述べ、インドはわが国の重要な経済的パートナーであることを強調した。また、世界銀行が発表した「ビジネス環境に関する比較(Doing Business 2013)」において、インドは185ヵ国中132位であったことに触れ、JICAは今後も投資環境改善やインフラ整備を重視していくことを表明した。

日本企業のインド進出を後押し

次に、JICA南アジア部の松本勝男次長が、今年1月の日印首脳会談で発表された共同声明の内容に触れつつ、JICAのインドに対するインフラ支援の現状と方針について説明した。

セミナーには多くの参加者が集まり、インド市場への関心の高さがうかがわれた

その中でも日本企業への裨(ひ)益が見込まれる日印共同事業は、参加者の高い関心を集めた。現在デリー−ムンバイ間の「貨物専用鉄道建設事業」に適用されているSTEP(注)について、「今後もインドにおけるSTEP案件を増やす検討をしており、また、投資環境の整備に関する支援を継続することで、日本企業のインド進出に寄与したい」と述べた。また、日本企業の進出が進む南部インドへの支援方針については、昨年円借款契約が調印された「タミル・ナド州投資促進プログラム」に触れた上で、「他州でも同様の支援を検討している」と語り、さらに、日本企業の進出を後押しする観点で、「カルナタカ州、アンドラ・プラデシュ州での工業団地形成に関する調査を実施する」など、さらなる支援を検討していることを表明した。

松本次長は、重ねてインドでのインフラ事業について、「マスタープランの段階からかかわっていくことで、日本企業の意見が反映されるよう工夫するなど、インフラ開発に日本企業が参入できるような案件形成をしていきたい」と述べ、今後の関係者間のより活発な意見交換を促した。

現地企業とのパートナーシップが重要

外国企業のインド進出を阻む課題を説明するナハル氏

続いて、インドに進出する日本企業に対してコンサルタント業務を行っているアクセンチュア株式会社のヴィカーシュ・ナハル氏が、インドに進出する外国企業が直面する課題について講演した。ナハル氏は、インドの水事業で成功を収めている欧米企業を例に挙げ、「インド市場での成功は、現地企業といかに良いパートナーシップを構築できるかが鍵である」と強調した。ナハル氏はさまざまな企業の事例を示しながら、「海外企業が技術や経験などの知見を提供し、現地企業が国内市場に関する知見やネットワークを提供する強力なパートナーシップは、電力や運輸など他の分野にも当てはまる成功事例の共通点である」と説明した。

その後、参加者の関心が高い運輸、上下水道、電力の三つの分科会に分かれ、来年度調達が行われる円借款事業の情報共有や、JICA事業への要望などについて活発な意見交換が行われた。

大きな可能性を秘めたインド市場で外国企業が成功を収めるためには、インド特有の課題を的確に理解し、有効な対応策を取ることが要求される。JICAは、今後もセミナーやイベントを通して、企業や自治体の関係者と情報共有や意見交換を積極的に行い、インフラ整備などを通じたインドの投資環境改善に取り組んでいく。


(注)Special Terms for Economic Partnership(STEP)。本邦技術活用条件。日本の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じてわが国の「顔が見える援助」を促進するため、2002年7月に導入された。