所長あいさつ

2022年7月にJICAジャマイカ支所長として着任の河崎充良と申します。ジャマイカへのJICAの協力が、研修員受け入れ事業を皮切りに1977年にスタートして以降、現在までに650名を超える研修員の方々がわが国の知見・技術を習得する一方、約500名弱の海外協力隊の派遣を通じたジャマイカ市民との交流を通じて、ジャマイカとわが国との厚い信頼関係が醸成されてきました。有償資金協力や無償資金協力に加えて、それら技術協力を通じてのジャマイカの開発課題への取組が残してきた足跡(両国関係者が結んできた絆)から、これから先の両国の協力の方向性を示す教訓や知恵を数多く学ぶことができると考えています。謙虚にジャマイカと日本、双方の先人の方々の「歩み」に学んでいく所存です。

「ジャマイカの開発課題」と記しました。私には、ジャマイカが2009年に策定し展開中の"Vision 2030 Jamaica"が当該開発課題を包括的に理解するうえで、珠玉の書ではないかと感じています。その作成自体が素晴らしいことでありますが、同Visionに基づき様々な事業展開をレビューを重ねながら実践してきていることに深い感銘を覚えています。

ジャマイカは、2022年独立60周年の節目を迎えています。この間、わが国は1964年にジャマイカとの外交関係を樹立し、1989年にJICAの拠点、1995年には日本大使館が設置されてきました。2015年には、ジャマイカで開催された両国首脳会談において、「日・ジャマイカ・パートナーシップ(J・Jパートナーシップ)強化に関する共同声明」が発表され、カリコム加盟国との共同歩調、小島嶼開発途上国(SIDS)が抱える脆弱性克服に向けてJ、Jが協働していくことが確認されています。JICAは、「防災・環境」と「格差是正」という二つの重点分野を対象に、ソフトとハード両面で、内外のリソースを結集して協力を展開して参ります。

新型コロナの影響が依然続き、ロシアによるウクライナ侵攻が様々な経済的困苦を世界の隅々にまで惹起する中で、「カリブ地域統合の要であるジャマイカ」の力強いコミットメントを尊重しつつ、Human Securityの向上につながる協力を展開できたらと願っております。読者の皆様からの叱咤激励を賜ることができましたら幸せです。よろしくお願いします。

JICAジャマイカ支所
支所長 河崎 充良