事務局長からのメッセージ

近年、巨大な台風や地震、津波、火山噴火など、地球規模で大規模な災害が頻発しています。そしてその被害はますます激甚化する傾向にあります。人道支援に国境はありません。地球上のどこであれ、困窮する人々には一刻でも早く救援の手を差し伸べることが求められます。わたしたちも阪神・淡路大震災や東日本大震災の際には、世界中の人々から多くの支援をいただきました。災害支援は国境を越えた、双方向の助け合いなのです。

我が国は1979年以降、海外で大規模な災害が発生した際に、医療従事者からなるチームを派遣し、被災者への支援を行ってきました。その後、1987年には「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が制定され、同法に基づく国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief Team:JDR)が派遣されるようになりました。JICAはその事務局を担っています。以降、これまでに161件の支援チームが派遣されました。また災害救援物資の供与も行っています。

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現在、国際緊急援助隊には、捜索救助を担う救助チーム、災害時の医療ケアを担う医療チーム、感染症に対峙する感染症対策チームのほか、災害地のニーズに合わせて組織される専門家チーム、さらに自衛隊の部隊などがあり、複雑・多様化する災害の態様に応じた緊急援助を実施しています。国内外の関係機関との協力関係のもと、日本国内の専門的な組織や有志のみなさまの献身的なご協力を得つつ、訓練を重ね、必要な物資を備蓄し、いざという時に出動できる体制を日々整えています。このうち救助チームは2010年、国連の国際捜索救助諮問グループ(INSARAG)により、最も高度な救助活動ができる「ヘビー級」の認証を得ました。また医療チームは2016年、世界保健機関(WHO)により、専門的・組織的な緊急医療が可能なチームとして「EMTタイプ2」の国際認証を受けています。

これからも災害多発国としての経験、不断の準備と鍛錬、各隊員の高い使命感により、不測事態の発生に備えた不断の準備を継続し、事にあたっては迅速に、被災地の人々に寄り添った支援を展開していく所存です。

国際緊急援助隊事務局長
飯村 学