| 調査研究 『開発途上国廃棄物分野のキャパシティ・ディベロップメント支援のために −社会全体の廃棄物管理能力の向上をめざして−』 ![]() 2004年11月発行 (2005年6月改訂版発行) →西文
◆よりよい「廃棄物」協力のために 廃棄物の発生から処分の流れは経済や歴史、文化、環境といった社会の様々な要因を反映して極めて多様であることから「廃棄物は社会を映す鏡」とも言われます。開発途上国における廃棄物問題は、収集体制の未整備から不適切な最終処分による環境汚染、都市貧困問題とも関連し多岐の範囲にわたり、かつ近年の経済成長と大量消費型の生活・消費習慣の先進国からの移入により深刻化しています。日本は戦後の高度成長期に「ごみ戦争」とも形容された都市廃棄物問題を克服してきた歴史を有しており、そのノウハウや技術を生かした協力は、現在もなお多くの開発途上国から期待され続けています。 他方、現在日本が直面している廃棄物分野の課題は、開発途上国のそれとは趣を異にしており、相手国の社会、事情を理解せずに日本で機能している廃棄物管理手法を開発途上国に持ち込んでも効果は期待できません。協力にあたってはその相手がどのような課題とニーズを抱えているのかをあらかじめ見極め、その国、その社会で必要な協力は何かを考える、という姿勢が不可欠です。 この報告書では、廃棄物管理分野で開発途上国が抱えている課題を網羅的かつ体系的に整理し、今後の技術協力をより効果的、効率的に実施するための方向性とアプローチを検討しました。 ◆「キャパシティ・ディベロップメント」を主軸にした協力アプローチ この報告書全体を貫くテーマは、「相手側の主体的な能力向上(キャパシティ・ディベロップメント)のための支援」です。このアプローチを今後の廃棄物分野における協力実施の主軸とすることを提言しています。キャパシティ・ディベロップメント概念は「開発途上国側の内発的・継続的な向上のプロセスを支援すること」にその眼目があり、まさにいまJICAの技術協力が志向している方向性でもあります。社会全体の廃棄物管理能力を高め、持続的な廃棄物管理システムの構築を手助けしていく支援こそが本分野の協力の主目的である、という立場から今後の方向性を論じました。報告書では、廃棄物管理分野でのキャパシティ・ディベロップメント概念の捉え方、支援の検討、実施時における留意事項や具体的な適用手法について解説しています。 ◆社会からの参加、協力も重要視 もうひとつの重要な視点は「社会面の重視」です。都市における廃棄物管理事業は一般的に地方自治体によって行われますが、日本でのごみ回収事業やリサイクル活動を考えれば理解できるように、地域コミュニティからの積極的な参加と協力がないと効率的、効果的な事業運営は困難です。また、最終処分場立地における住民反対運動を例に取るまでもなく、コミュニティへの配慮、住民合意の確保は事業そのものの実施において開発途上国といえども現在は不可欠な条件となっています。さらに言えば、廃棄物問題は、広く都市問題や経済(貧困)問題と密接に連関する社会現象ともいえます。報告書においては、こうした廃棄物と社会・経済の連関にも焦点を当てて開発途上国の事象を論じました。 この報告書が一人でも多くの開発途上国の廃棄物管理分野協力へ従事する方々の手に渡り、今後効果的な協力を行っていくための参考となれば幸いです。 |
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