コソボ帰国研修員からの報告~帰国前にまとめた環境教育アクション・プランをさっそく自国で実践~

昨年10月、兵庫県西宮市(受入先:NPO法人こども環境活動支援協会(LEAF))を中心に、日本のごみ対策を学んだコソボの研修員の帰国後の活躍の便りが届きました。

2020年3月23日

1. 研修員氏名/役職:ネハト ボヤジ(Mr. Nehat BOJAXHI)/NGO環境とコミュニティ開発・代表
2. 国籍:コソボ共和国
3. 研修コース:2019年度課題別研修 廃棄物管理能力向上(応用、計画・政策編)(B)
4. 受入期間:2019年10月21日~11月16日

ごみ量削減やリサイクルに焦点を当てごみ対策を学ぶ研修コース~廃棄物管理能力向上(応用、計画・政策編)(B)~

実施報告の表紙、中央が新たに作ったロゴマーク

今回報告をくれたネハトさん(Mr. Nehat BOJAXHI)は、コソボ南部の都市プリズレンを拠点に活動する「NGO環境とコミュニティ開発(Environment & Community Development)」という環境保全団体の代表です。2019年10月21日から11月16日まで「廃棄物管理能力向上(応用、計画・政策編)(B)」に参加し、兵庫県(西宮市、神戸市等)や広島県で、コミュニティ、民間企業、教育機関や行政の取組について、視察や意見交換を行いました。また、研修の成果として、「日本で学んだことを帰国後自らの仕事に具体的にどう活かすか?」をまとめたアクション・プランを作成、日本を離れる前の日に日本側研修講師や関係者に対してプレゼンテーションを行いました。

ネハトさんからのアクション・プラン実施報告~100名の小学生に出前授業、埋立処分やごみ収集見学の機会を提供~

出前授業や見学会の様子(右報告書から抜粋)

ネハトさんが、コソボ共和国プリズレン市に帰国後、実施した活動は以下の通りです。
●小学校での出前ごみ教育
プリズレン市の教育庁と覚書を交換し、保護者の合意も得たうえで、4つのパイロット小学校の3~5年生の児童に『ごみって何?』『ごみはどこに行く?』『ごみに責任を持つのは誰?』『自分の身の回りの環境を描いてみよう(ごみによる環境悪化への気づき)』などのワークショップを出前しました。
●ごみ収集公社、最終埋立処分場見学会
収集や埋立処分場を管理する公的企業と連携して、自分たちが捨てたごみが、どのように運ばれ/分けられ/処分されるのか、について直接触れられる見学会を実施し、見学後に意見交換を行いました。
特に、実際に現場で使われているごみ収集車(日本のODAで供与された兵庫県内の企業の製品)を用いての説明は、収集プロセスを理解することに加え、コソボと日本の友好関係を感じとれる良い機会となりました。
●動画教材、ロゴマーク、グッズの開発
上記の活動の様子や参加者の気づきなどをまとめ、今後の啓発に活用できる動画教材を作成し、ソーシャルメディア上で公開したり、ロゴマークやバッジ等の啓発アイテムの開発を行いました。

これらの活動の結果、小学生から「ごみ処理は行政や大人だけの問題ではなく、自分たちにも責任があるということが分かった」「家庭のごみの出し方でその後の運搬や処分が全然違う、ごみ出しマナーがとても大切だと分かった」「親や周囲の人々にも伝えたい」などの感想、教員からは「地域の環境の改善につながる、このような活動を他の児童にも広げていきたい」という反響があったそうです。

取組は続く~活動での気づきと、持続可能性の向上に向けての提言~

今回の活動を通し、パイロット校といえど、教師や児童にはごみ教育がほとんど定着していないことが分かり、カリキュラムの開発や、教員の訓練、学校内のエコグループの育成が必要であると提言し、詳細な現状調査など今後の更なる取組に言及して、本報告は締めくくられています。日本で学んだことを効果的に活用したネハトさんの活動は、更に発展していくことが期待されます。EU加盟を目指し、水準の高い環境管理を目指すプリズレン市とコソボ、そこで着実に成果を上げているネハトさんから将来、日本の私たちが学ぶことも多いのではないかと思われます。