奈良市立都祁小学校にて、JICAルワンダ事務所とのオンライン授業が実施されました!

2020年7月21日、奈良市立都祁(つげ)小学校にてアフリカ・ルワンダとのオンライン授業が行われました。これは、昨年2019年度のルワンダ教師海外研修に参加された、同校の中 陽佑先生が企画されたものです。中先生は4年生の外国語授業において「水」をテーマにルワンダを取り上げ、全7時間の授業を実践。この授業では実際にルワンダと接続し、小学校4・5・6年生約100人に対してルワンダの水事情や日本の支援などを紹介しました。

2020年7月28日

ルワンダの貴重な「水」

オンライン授業の様子(富田隊員のお話)

左:ルワンダの水道水 右:ルワンダの川の水 色が全然違います。

20kgのジェリカン体験「重—い!」

まずはルワンダのコロナウィルス対策説明から始まりました。マスクの着用や手洗い・消毒など日本と同じような対策が講じられるルワンダですが、特に消毒液が入手できない地方部においては水による手洗いは重要なウィルス対策となります。一方で、ルワンダの全国民のうち、水道を使用できているのはわずか9%にすぎません。多くの国民が水汲み場で生活用水を調達しますが、自宅から500m以内に水源がある人口は約60%であり、またジェリカンと呼ばれる水のタンクは20リットル満杯に水を入れると20㎏にもなり、1km離れた水源に水を汲みに行くには往復で1時間以上もかかります。更に多くの場合、水汲みは女性や子どもによって行われ、ビルジール職員も小さい頃は毎日遠くの水くみ場まで通っていたそうです。学校では同じ重さの容器を準備し、授業の合間には多くの児童が容器を持ち上げ、20㎏の重さを体感しました。ルワンダの毎日の生活において、時間をかけて入手した水がどれほど貴重で重要であるか、実際のジェリカンの重みから皆さんも感じられたのではないかと思います。

続いて、最近までJICA海外協力隊としてルワンダで活動していた富田さんによるお話が行われました。2018年10月から農村にて地域の水や衛生の啓発活動を行う富田さんからは、ルワンダの人々の暮らしの様子や雨水を生活水として溜める様子等が説明され、児童の皆さんも興味深く聞き入っていました。
その後の質問時間では、現地の人にとっての有料の水(ミネラルウォーター)と無料の水との違い、洗濯の方法や学校での水環境、湧き水でお腹を壊す人はいないのか、等の様々な質問がよせられ、あっという間に2時間の授業が終了しました。

授業を終えて・グローバル化と国際理解教育/開発教育

水分野JICA支援事業の紹介

多くの日本人にとってまだまだ未知の国であるルワンダという国ですが、今回の授業を通じて都祁小学校の皆様が少しでもルワンダを身近に感じ、そして人間にとって欠かせない「水」の大切さや国ごとの状況の違いについて知り、考えていただく機会になった事を願います。 
授業を実施された中先生は2019年のJICA教師海外研修に参加されて以降、平和教育や防災教育、そして今回の「水」学習など、ルワンダ現地でのご経験を日本の課題解決と結び付けた様々な授業を展開されています。水の授業においては今後、学んだルワンダの水事情を自分たちと水との関係性に置き換え、学内では更なる考察が続けられる予定です。
世界中がコロナウィルスの影響下にあり、ある意味で「グローバル化」が身近になっている現在であるからこそ、今回のように前向きな世界とのつながりを感じる中で、児童の皆様が日本の課題や世界の課題を「自分ごと」として捉え考えることは重要な機会です。JICAは、学校現場の皆様のこうした国際理解教育/開発教育のお役に立てるよう、様々なプログラムを実施しておりますので、ご関心のある先生方はどうぞお問い合わせください。

市民参加協力課 後藤田 蕗子