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所長あいさつ

新しいミャンマー、JICAの挑戦

ミャンマーと日本との間には長い友好の歴史があります。この半世紀についていえば、ミャンマーが独立して間もない1950年代初頭から、日本は各種インフラ(発電所、空港、橋、病院、農業センター等々)の整備を行いつつ、同時に技術協力や留学生派遣等を通じて当国の人材開発分野でも大きな貢献をしてきました。

ミャンマーは、豊かな自然資源(肥沃な大地、天然ガス等)と人的資源(アセアン第4位の人口規模(約6000万))を有しており、地政学的に見てもインドシナ半島の東西を横断する東西経済回廊の西側の玄関口がミャンマーであり、その成長ポテンシャルは高いと長年いわれ続けてきました。

しかし、厳しい現実があります。一人当たりGDPは域内で最も低く、道路や電気等の基礎インフラも未整備で、保健や教育等も劣悪な状況が続いています。いわばアジア各国が目覚ましい成長を果たしている中で、一人、ミャンマーだけが取り残されているという状況が続いているといってよいでしょう。

この背景には、この20年間、当国が国際的に孤立を余儀なくされ、国際金融や開発援助のみならず民間投資や貿易の世界でも大きなハンディキャップを背負ってきたことがあります。しかし、今、ミャンマーは「根雪が融けるような春」を迎えつつあります。2011年4月のテインセイン大統領率いる新政権発足以来、ミャンマーの政治経済はかつてないスピードで変化しています。政治面での各種民主化の動きはもちろんですが、経済面でも金融セクターの改革、各種貿易投資の障壁の緩和、インターネットや携帯電話の制約解除等、この20年間経験したことの無いような変化が同時進行しています。

この10年間(2003年以降)、JICAは人道分野を中心に協力を実施してきましたが、新しいミャンマーに対して、新しいJICAの協力が必要です。具体的には、従来の保健、教育、農村開発等のBHN等の分野に加えて、今後は経済改革等の政策支援やインフラ整備、民間企業との連携等の分野まで協力の範囲を拡大していくことが求められています。そのためには、当国におけるJICAの比較優位(当国政府に対して直接支援してきた唯一のドナー)と過去の協力によって積み上げられた資産(人的ネットワークと日本に対する信頼)を活用できると考えています。

私は、国際社会がこの20年ぶりともいえる当国の変化を見逃してはならず、また国際社会には改革を後戻りさせないという責任があると考えています。JICAとしても、新しいミャンマーのために、当国の人々とともに挑戦していきたいと考えています。

田中 雅彦
JICAミャンマー事務所長