案件概要表

1.プロジェクト名

(1)国名 :ミャンマー
(2)案件名(和名):ヤンゴン都市圏開発プログラム形成準備調査
(英名):the Preparatory Study for Urban Development Programme in the Greater Yangon

2.協力概要

(1)プロジェクト期間:2012年7月〜2013年12月 (計18ヶ月)
(2)協力相手先機関:ヤンゴン州政府、ヤンゴン市開発委員会(YCDC)

3.プロジェクト概要

(1)上位目標

  • ヤンゴン都市圏の開発計画策定を通じた、都市生活環境改善と経済活動の活性化

(2)プロジェクト目標

  • ヤンゴン都市圏の持続可能な開発に寄与するための都市圏開発計画の策定

(3)成果

  • ヤンゴン都市圏都市開発計画の策定
  • 都市開発計画推進のためのカウンターパートへの技術移転

(4)プロジェクトサイト

  • ヤンゴン都市圏(ヤンゴン市(約510万人、784km2)および周辺タウンシップ)
    (Thanlyin、Hmawbi、Helgu、 Htantabin、Twantay))

4.協力の必要性・位置づけ

(1)現状及び問題点

ミャンマー国(以下「ミ」国)の旧首都ヤンゴン市は、人口約510万人を抱えるミャンマー最大の商業都市である。経済活動の中心地として近年も人口が増加しており、昨今の急速な民主化の流れを背景とする海外資本の流入や民間開発により、都市化が一層加速している状況にある。

ヤンゴン市の開発は、ヤンゴン州開発担当大臣(兼ヤンゴン市長)を議長とするヤンゴン都市開発委員会(YCDC)が担っているが、長期にわたる諸外国からの投資や技術支援の制約を受けていたことにより、経済開発および社会開発が著しく停滞した。この結果、都市生活を支える社会基盤インフラは、老朽化が進む一方で人口増加による供給圧力を受けており、社会経済活動のボトルネックとなっている。

JICAは、2012年3月に「ヤンゴン都市圏都市開発セクター情報収集・確認調査」を実施し、ヤンゴン市および周辺地域を対象とした都市概況の基礎情報収集と社会基盤インフラの現況把握、短期的なインフラ整備ニーズ把握を行った。その結果、ヤンゴン市郊外に市街地が拡大し、新たにヤンゴン都市圏を形成しつつあることが確認された。特にヤンゴン市の南東においては、ティラワ経済開発特区整備計画が推進されており、新たな産業集積地としての市街地形成が予定されている。他方、「ミ」政府内の都市環境を把握するための基礎データの不足や、中長期計画の不在、YCDCの能力不足がヤンゴン市の開発を遅滞させていることも確認された。

同調査の結果を踏まえて、ヤンゴン州政府とJICAは、2012年5月に、ヤンゴン都市圏開発を効率的に進めるため、ヤンゴン市および周辺地区を含むヤンゴン都市圏を対象とする開発計画策定を中心的活動として位置づけた「ヤンゴン都市圏開発プログラム」を実施することを合意した。

ヤンゴン都市圏開発プログラムでは、中・長期的かつ包括的な開発ビジョンを基にした経済社会開発の促進のための戦略的な開発計画(マスタープラン)を策定し、様々な都市開発のニーズに包括的に応えるための各社会基盤インフラ(都市交通、上下水・都市排水、廃棄物管理、電力、物流、情報通信)の合理的な計画体系を提示し、優先プロジェクトの事業化の促進を目指す。またティラワSEZ開発や短期ニーズに対応するための資金協力を包含し、JICA側協力の面的な展開による効果的な支援を図っていくこととしている。

本プロジェクトは、同プログラムの根幹となるヤンゴン都市圏の中・長期的かつ包括的な開発ビジョンを提示し、経済社会開発の促進のための戦略的な開発計画の策定を目的として協力を行う。さらには、同開発計画に基づく社会基盤インフラの基本整備方針を提示し、ヤンゴン都市圏開発プログラムで予定されている各社会基盤インフラセクターの整備促進に貢献する。またプロジェクトを通じた技術移転により、長期にわたって技術停滞を余儀なくされた「ミ」国政府職員の能力強化に貢献を図っていくこととしている。

プログラムの実施に当たっては、ヤンゴン州知事を議長とするプログラムコーディネーションコミッティを設置し、ヤンゴン都市圏開発に係るJICA事業の進捗モニタリングを行うほか、プロジェクトの実施に当たっては、ヤンゴン市長を議長とするステアリングコミッティを設置している。これにより、ヤンゴン州政府とJICAの協働により着実に事業を推進していく体制を確認した。

5.主要活動内容

(1)ヤンゴン都市圏の現況把握および開発課題の分析
(2)ヤンゴン都市圏の都市基盤情報の整備(家庭訪問調査、GISデータ整備)
(3)ヤンゴン都市圏の将来開発ビジョンと開発基本方針の検討
(4)社会基盤インフラ整備の基本構想の策定(都市交通、上下水道/排水廃棄物、電力、情報通信、物流/港湾)
(5)ヤンゴン都市圏開発計画(マスタープラン)の策定
(6)ヤンゴン都市圏開発計画におけるモデル地区計画策定を通じた能力強化・技術移転

6.プロジェクトの工程

【写真】