ニジェール紹介

ニジェールは、アフリカ西部にある内陸国で、国土の多くをサハラ砂漠に覆われています。面積が日本の約3.3倍、人口は2,244万人程(世銀,2018)です。世界でも最も暑い国の一つで、一年のうちで最も暑い4~5月には気温が40度を超える日々が続きます。

2018/2019年の人間開発報告書(UNDP)で、人間開発指数が189ヵ国中189位と経済、教育、保健等どれをとっても状況の厳しい国です。人口増加率は3.8%(世銀 2018)、乳幼児死亡率は1,000人中48.3人(HDR 2019)、妊産婦死亡率は10万人中553人(WHO 2015)と世界の中でも最も高い水準です。また農民が国民の80%を占めているにも関わらず、耕作可能地は国土の10%足らずであり、また短い雨季の不規則な降雨パターンと水食や風食、人間活動による土地の荒廃が食糧生産の安定化をさらに困難なものにし、慢性的な食糧不足に悩まされています。このように、社会・経済的、自然・気候条件的にも厳しい環境ではありますが、一方で、実際に接するニジェールの人々は穏やかで親しみやすく、一般的な治安も他のアフリカの国々と比較すると良いと言われ続けてきました。しかし、残念なことに、近年のマリ、リビア、ナイジェリアといった周辺国の急激な治安の悪化、情勢不安により、このニジェールの平穏な生活も脅かされている状況です。

国民の多くが敬虔なイスラム教徒で、毎日5回のお祈りを欠かさず、イスラム教にまつわるラマダン(断食)やタバスキ(犠牲祭)といった行事は全国的に盛大に行われます。

主要な民族はハウサと呼ばれる民族で全人口半分以上を占めますが、その他にもジェルマ(ザルマ)、プル(フルベ)、トゥアレグなど、複数民族がよき隣人として共に暮らしています。中でも砂漠地帯に暮らすトゥアレグは、ターバンを巻き青い民族衣装を纏っているため「青衣の民」として知られ、ラクダに乗って砂漠を旅するその姿は印象的です。

主な産業はウラニウムの生産と農牧業です。ニジェールはウランの埋蔵量が全世界5位(2019)で、近年の原子力発電の需要増に伴いニジェールのウランを巡ってフランス、中国、カナダ等が採掘権を得て新たな鉱山の開発を行っています。農牧業では畜産と玉ねぎの生産が盛んで、近隣国(ベナン、ナイジェリア、コートジボワールなど)に輸出されています。

ニジェールに対しては、旧宗主国であるフランスを筆頭に、日本、アメリカ、ドイツ、ベルギー、スペイン等の国々、またEUや国連諸機関(世界銀行、国際通貨基金(IMF)、国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)、国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(WFP)、国連人口基金(UNFPA)等が支援を行っています。日本は経済成長の要である農業・農村開発、教育が主な支援対象分野となっており、さらに近年においてはサヘル地域の平和と安定のため、UNDP及びEUと連携し、テロ対策、治安維持能力強化支援を実施しています。

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畑に向かう少年(写真提供:佐々木夕子)

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市場の様子 ひょうたんをくり抜いた容器が売られている(写真提供:佐々木夕子)

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雨の訪れを告げる砂嵐(写真提供:佐々木夕子)

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ニジェール川に沈む夕日(写真提供:佐々木夕子)

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数十メートルに及ぶ深井戸での水汲みの様子(写真提供:佐々木夕子)