開催報告:沖縄グローバル人材育成支援セミナー「人材を人財に!」〜海外展開における人材育成〜

2013年2月1日

沖縄県内の、多くの企業関係者にご出席頂きました。

2013年1月29日(火)、JICA沖縄国際センターにて、県内企業29社から約40名にご参加頂き、「沖縄グローバル人材育成支援セミナー」 が開催されました(共催:(社)沖縄県経営者協会)。同セミナーでは、県内外の海外進出企業の事例を紹介するとともに、企業の海外展開におけるグローバル人材の育成の重要性について説明を行いました。また、その一つのツールとして青年海外協力隊の活用についても紹介を行いました。
以下に概要を報告します。

JICA沖縄国際センター 小幡俊弘所長

■開会挨拶:JICA沖縄国際センター 所長 小幡 俊弘
当センター所長の小幡からは、「県内企業におかれては、JICAの制度を利用して頂き、ボランティア派遣を企業の海外展開に活かしてほしい。また沖縄はボランティア事業への応募率が高く、若者の海外へのモチベーションが高いので、そういう点での若者と企業のつながりを構築していきたい。」と申し上げました。

沖縄県企業の可能性について語る、沖縄県青年海外協力隊を支援する会の稲嶺惠一会長(前沖縄県知事)

■来賓挨拶:沖縄県青年海外協力隊を支援する会 会長 稲嶺 惠一氏(前沖縄県知事)
稲嶺会長からは、「40年前には、県内企業が英語で米軍等発注工事のスペックを書いていた。その頃に比べて現在の沖縄は豊かになった反面、国際性という点では低下した。しかし東南アジアを視野に入れると、沖縄は地理的にアジアの中心に立地しており、那覇空港のハブ化などで国際化が今以上に進んでいくだろう。沖縄は、琉球王朝時代に海外に雄飛していた歴史や当時の外交の経験を今に活かしていくべき。」とのコメントを頂きました。

第1部 沖縄県内企業の海外展開の可能性と課題

3.沖縄県企業の海外進出の取組みについて説明するNIACの緑川義行部長

(1)「沖縄県内企業における海外進出の取り組み状況」
一般財団法人南西地域産業活性化センター(NIAC)  調査第一部部長 緑川 義行氏

NIACの緑川部長からは、海外展開に対する支援制度を利用した沖縄県内企業の事例が紹介されました。一例として、沖縄県の宮古島モデル(水供給システム)を活用した海外展開事例の紹介、説明が行われ、現地の技術者を育成することは、沖縄側の地域振興の意味合いも兼ねることが述べられました。
また海外展開における企業のスタンスとして、市場規模の確認や国内・現地の企業との連携等の必要性について説明がなされました。その中でも、企業内における人材育成が重要であることが強調されました。

海外進出県内企業のパイオニアである琉球ガラス村グループの稲嶺盛福会長

(2)「沖縄県内における海外展開企業の経験(自己体験をとおして)」
琉球ガラス村グループ  会長 稲嶺 盛福氏

稲嶺会長からは、自身の青年時代の米国放浪、そして琉球ガラス事業開始から琉球ガラス村(協業組合)の設立に至る経緯、その後ベトナムにおけるベトナム琉球文化工芸村設立の経緯、そして海外事業を始めるに当たっての留意点等が紹介されました。
その上で、「自身の経験をもとに海外で企業を展開していくためにはある程度の犠牲を伴う覚悟と、失敗しても立ち直る気概が必要である。さらに仕事は与えられるものではなく自分でつくるものである」との認識が述べられました。

第2部 企業のグローバル人材育成と海外展開

自社事例の紹介をする森茂人ヤマハ発動機部長

(1)パネリスト講演
1)「ヤマハ発動機とBOPビジネスとの関わり」海外事業の積極展開とグローバル人材 〜青年海外協力隊経験者の可能性〜
ヤマハ発動機株式会社海外市場開拓事業部第一開拓部長 森 茂人氏

自身も青年海外協力隊のOBであるヤマハ発動機の森部長からは、同社のエリア別売上高構成費においてアジアが最大の市場となっているデータが紹介されました。
ヤマハ発動機の海外市場開拓事業部の概要として、未成熟な地に市場を開拓することに加え、それを通して経済発展、社会貢献を行うというミッションを持っていることが示され、その具体的事例としてセネガルでのウォーターポンプ事業、クリーンウォーターシステム事業が紹介されました。
また、アフリカにおける船外機ビジネス開拓事例が紹介され、漁法や加工法まで指導することで市場への進出につなげていったことなど、沖縄の企業にとっても役に立つ情報が紹介されました。
最後に、青年海外協力隊経験者は、社会貢献としての意味合いを持つBOPビジネスを展開するうえで求められる能力・資質を持っており、同社では1971年より累計で75名の青年海外協力隊OBが入社して途上国でのビジネス展開において活躍していることが紹介されました。

グローバル人材育成について説明される岡崎啓司昭和機械商事社長

2)「協力隊経験は企業が必要とする「グローバル人材の育成プログラム」」
昭和機械商事株式会社 代表取締役社長 岡崎 啓司氏

岡崎社長からは、「エンドユーザーに近いところで販売をすることで消費者のニーズを反映した商品を作る」というスタンスが示され、「要望に応えてものづくりをすることが数多くの特許取得にもつながっている」との自社紹介を頂きました。
その上で、青年海外協力隊のOBに関し、「海外へ展開する企業にとって最も大事なのは人材の確保であるとの認識から、現地の目線で企画立案ができ、打たれ強さを持った協力隊経験者を積極的に採用しており、現在全社員の1割を占めている。」といったことや「現地で日系企業に頼る場合はその支社の立ち上げに関わった人に直接話を聞くこと、海外展開は想定外の出来事が多く起こるため、余裕のある時に行くべき」との提言もなされました。

ベトナムでのビジネス機会について報告する藤井孝男元ベトナム日本人材協力センター所長

3)「ベトナム人材と海外での事業運営の留意点」
元ベトナム日本人材協力センター  所長
元松下電器産業ベトナム合弁会社 社長 藤井 孝男氏

藤井氏からは、ベトナムの概況について報告がありました。現在、ベトナムには1700社の日本企業が進出しており、人口、平均年齢、政治的な安定性などのデータを通して、そのポテンシャルの高さが示されているとの説明がありました。
また同氏からは、投資先としてのベトナムの魅力や問題点とともに、ベトナム社会の特徴についても述べられ、ベトナムにおいてビジネスを展開するにあたっては、ベトナムの歴史的・文化的背景や日本人の特殊性についても理解することが重要との説明がありました。ベトナムでの成功のポイントとして、互いに理解し認め合うこと、「お客様第一」の精神を教育していくことなどが挙げられるとともに、リーダーの条件についてのコメントがありました。

青年海外協力隊の民間連携ボランティア制度について紹介する武下悌治JICA青年海外協力隊事務局長

4)民間連携ボランティアについて
JICA青年海外協力隊事務局 武下悌治事務局長

武下青年海外協力隊事務局長からは、協力隊事業の目的が紹介され、現場で活動することの意義、コミュニケーション能力などボランティア活動を通して身につく能力について説明がありました。
その上で、平成24年度からJICAが開始した「民間連携ボランティア制度」について、企業のニーズに対応した任地や任期の調整や、所属先への人件費補てん等について説明がされるとともに、民間連携ボランティア制度を活用した具体的事例として(株)マンダムと(株)イトウ製菓について紹介しました。

出席者の質疑応答をファシリテートする特定非営利法人万国津梁人財ネットワークの平井雅氏と、ホワイトボードに貼りだされた来場者からの質問事項

(2)パネルディスカッション
特定非営利法人万国津梁人財ネットワークの平井雅氏のファシリテーションのもと、会場からの質疑応答を行いました。

1)リスク管理について
海外展開における企業のリスク管理に係る質問について、森氏からは、外務省に加え、SOSインターナショナル等からも情報を入手するが、現地の代理店から直接情報を得ることが重要であること、また、現地では単独行動はしないこと等の説明がありました。また、会社としての行動指針マニュアルもあり、病気の情報共有なども当然行っていることが紹介されました。
さらに、岡崎氏からは、現地の日本人会に入ることで大使館、領事館とのネットワーク形成が図れることや、進出したい国の一般家庭の様子を見ることでその国の安全度などがうかがい知れる等の助言が行われるとともに、最終的には自分で自分の身を守ることが重要との認識が示されました。

2) 現地での情報収集の方法について
海外展開を行うにあたっての情報収集についての質問に対し、森氏からは、自分なりの市場感や仮説を持って現地へ行くこと、実際の消費市場で直接話を聞くことの重要性が説明されました。
また、岡崎氏からは、現地で作って現地で売るという同社の基本的な姿勢が紹介され、まず現地にオフィスを設け、足で情報を集めるのが第一であること、さらには、そういう点において協力隊経験者はコミュニケーション力もあり市場を切り拓いていける能力を持っていることが紹介されました。さらに、藤井氏からも、直接自分の目で市場を確認することが大事との認識が示されました。

3) 失敗事例について
 海外展開における失敗に関しては、岡崎氏より、海外では予想外のことがいつ起こってもおかしくないため、資金は余裕をもって確保しておくべきとの助言がありました。
また、藤井氏からは、現地採用においてはしっかりと面接をする必要性があること、最初から大きなこと、たくさんのことをしようとせず、「小さく生んで大きく育てる」ことが大事との認識が示されました。

4) 協力隊OBを採用したいときの窓口
協力隊経験者を採用したい際の窓口についてもフロアから質問があり、武下氏より、JICA沖縄国際センターに配置している進路相談カウンセラーが紹介されました。

(社)沖縄県経営者協会 安里昌利会長

■閉会挨拶 社団法人沖縄県経営者協会  会長 (沖縄県青年海外協力隊を支援する会 顧問) 安里 昌利氏

このセミナーの共催者である(社)沖縄県経営者協会の安里昌利会長からは、「沖縄県は、人が大きな資源。台湾など2時間のフライト圏内に5千万人を超える大きな市場があり、国際物流特区であることをステップとして活かしてほしい。県の経済振興を超えて、沖縄から日本を元気にしてほしい」という期待が述べられました。