
これまで、JICAが実施する様々な国際協力事業において、大学の先生方には数多くのご協力を頂いておりましたが、2012年度から開始した第三次中期計画でも「NGO、中小企業を含めた本邦企業、教育機関、地方自治体等の多様な関係者と幅広いネットワークを構築し、オール・ジャパンの英知と経験を結集して課題の解決に取り組む」ことを打ち出しております。
JICAにとって大学との連携は、事業の質的向上、援助人材の育成、情報発信の強化、地方発の事業展開の活性化などにメリットが生じる可能性があり、特に、知の集合体として大学が蓄積してきた知見を国際協力事業に一層活用させて頂きたいと思っております。また、大学側にとっては、JICAとの連携により研究のフィールド獲得の可能性の拡大や、国際化の一層の促進につながる、等のメリットが生じる可能性があります。
具体的な連携にあたって、想定されるメニューは以下のようなものがあります。それぞれのメニューによって、目的等が異なりますので、最寄の国内機関までご相談ください。
JICAでは開発途上国の要請に基づき、技術協力を実施するために専門家を派遣したり、開発途上国の人々を研修員として日本に招いたり、必要な機材を供与したりするなど、さまざまな協力の手段(協力ツール)をもっています。開発途上国が抱える開発課題に対して定められた目標を達成するために、それらの協力ツールをどのように組み合わせ、どれくらいの期間で、どういったタイミングで実施するのが最も効果的で効率的か、こうした観点から相手国と協議を重ねたうえで作り上げた計画に基づいて実施する協力を「技術協力プロジェクト」と呼んでいます。
「技術協力プロジェクト」では1つひとつの問題に対して、いわばオーダーメイドの協力計画を相手国と共同で作り上げ、共同で実施していくことによって、広範な開発途上国のニーズに効果的・効率的に応えていきます。
JICAでは公告・公示を通じてこうした技術協力プロジェクトの一部を大学やコンサルタント等の皆さまに委託し、契約に基づいてプロジェクトを実施しています。JICAの行う調達業務・応募手続きについては、こちらをご覧ください。
研修員受入事業は、開発途上国の人材育成を目的として、開発途上国の今後の中核的な行政官、技術者、研究者などを「研修員」として招き、その国で必要とされている知識や技術を伝えるもので、JICAの最も基本的な「人づくり」事業の一つとして位置づけてられています。
JICAでは、こうした研修員の受入を、各国内機関を通じて行っていますが、多くの研修コースにおいて、大学に実施を委託しています。また、研修コースの講師として、大学の先生にご協力を頂いております。
また、無償資金協力や留学生借款等の円借款により支援された人材育成事業において、日本の大学等の教育機関で途上国からの留学生を受け入れて頂いております。
専門家は、協力相手国政府からの公式要請と政府間の国際約束に基づき、JICAから相手国政府機関、試験・研究機関、教育機関などへ派遣され、指導、助言、調査、研究、教育、訓練等の活動を通じて、専門家が具備する技術・知識を相手国側政府、職員等に伝達すること(技術移転)により相手国の人造りに協力します。
JICAでは、技術プロジェクトと同様に、専門家業務についても大学やコンサルタント等、民間の方々に公示を通して業務を委託しています。こうした専門家業務の委託に参加するためには、国際協力人材登録制度に登録して頂く必要があります。登録に際しては、JICA国際協力人材センターホームページ(PARTNER)上で登録のお申し込み、登録者の方の登録情報の更新などを受け付けておりますので、ご利用ください。
草の根技術協力事業は、日本のNGO、大学、地方自治体、公益法人の団体等がこれまでに培ってきた経験や技術を活かして企画した、途上国への協力活動をJICAが支援し、共同で実施する事業です。
大学の皆様の参加を頂いている草の根技術協力事業は以下の案件があります。内容を紹介したページもございますので、ご覧下さい。
| 草の根協力支援型 | |
|---|---|
| 大学名 | 国名・案件名 |
| 神戸常磐大学エクステンションセンター | ネパール「カスキ群デタール村の生活改善―安全な水の供給推進―」 |
| 東京大学 大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻農業環境学研究室 | ベトナム「ハノイ市農村部における環境保全型SPI農法による稲作の工程管理」 |
| 埼玉大学 | モンゴル「ウランバートル市における野菜栽培によるゲル地区住民の生活改善プロジェクト」 |
| 学校法人 五島育英会東京都市大学 | 中華人民共和国「南水北調輸水路流域の水保全にむけた水供給域(丹江口・武漢)における環境教育パッケージ教材の共同開発と環境人材育成」 |
| 天理大学地域文化研究センター | ケニア「北東州ガリッサ県の女子高生中退率を減少させるためのガイダンス&カウンセリング部門の能力向上計画」 |
| 名古屋工業大学藤研究室 | チュニジア国トズール県サハラウイ地区における無焼成レンガの製造法の指導と普及 |
| 駒澤大学仏教経済研究所 | インド・タミルナードゥ州カーンチープラム郡コヴァラム村における自立的地域活性化プロジェクト |
| 北海道大学大学院歯科研究科 | バングラデシュ「バングラデシュ国における健康増進のための予防歯科モデル事業」 |
| 北九州市立大学 | バヌアツ「フツナ島村落経済開発」 |
| 自治医科大学 看護学部 | メキシコ「保健医療専門家とピアリーダーによる健康なライフスタイルづくり計画」 |
| 慶應義塾大学 山本純一研究室フェアトレード・プロジェクト | メキシコ国チアパス州チェナロー区マヤビニック生産者協同組合に対するコーヒー技術支援計画 |
| 拓殖大学 国際開発学部 | インドネシア「拓殖大学と姉妹校ダルマプルサダ大学とのパートナーシップによる都市貧困対策リーダー育成事業(都市貧困対策モデルプロジェクト実施を通じて)」 |
| 大阪大学大学院 歯学研究科 | メキシコ合衆国における先住民(インディヘナ)に対する口唇口蓋裂医療援助 |
| 草の根パートナー型 | |
| 大学名 | 国名・案件名 |
| 国立大学法人 琉球大学 | ラオス「シサタナーク群における「ちゃーがんじゅー(いつまでも健康)」学校・地域歯科保健プロジェクト」 |
| 国立大学法人 長崎大学 | ケニア「健康な地域社会をつくる学童支援プロジェクト 」 |
| 東京工業大学 | モンゴル「モンゴルにおける地方小学校教員の質の向上―地域性に即したICTを活用した教材開発を通じて」 |
| 学校法人 酪農学園 | マレーシア「サバ州における生物多様性保全のための地域主体型地域おこしプロジェクト」 |
| 国立大学法人 東京農工大学 | ブラジル「アマゾンの農村所得向上と環境保全修復のための日系「遷移型アグロフォレストリー」普及認証計画」 |
| 国立大学法人 帯広畜産大学 | パラグアイ「東端畑作地域・酪農技術向上支援」 |
| 名古屋大学 | カンボジア「伝統産業復興による農産物加工技術振興プロジェクト」 |
| 昭和女子大学 | ベトナム国ヘリテージ・ツーリズムによる持続的な地域振興支援プロジェクト |
| 宮崎大学 | インド「行政主導化を目指したインド・ウッタールプラデシュ州における砒素汚染対策実施事業」 |
| 九州大学大学院芸術工学研究院 | ネパール国ナワルパラシ郡における地域社会の砒素汚染対策能力向上事業 |
| 京都大学大学院地球環境学堂 | ベトナム中部・自然災害常襲地のコミュニティと災害弱者層への総合支援 |
| 九州大学大学院システム情報科学研究院 | バングラデシュ「ICTを活用したBOP底辺層農民所得向上プロジェクト」 |
| 慶應義塾大学山本純一研究室 | メキシコ国チアパス州先住民族関連3団体に対するコーヒーの加工・焙煎およびコーヒーショップの開店・経営に関する総合的技術協力事業 |
| 自治医科大学 | メキシコ「保健医療従事者と思春期ピアリーダーによる健康なライフスタイルづくりシステム化支援事業」 |
| 帯広畜産大学 | マラウイ「耕畜連携システムによる食料の生産性向上と安定的確保〈一村一品活動の特産品つくりに向けて〉」 |
| 大阪府立大学(財団法人地球環境センターと共同提案) | ベトナム国ハロン湾における住民参加型資源循環システム構築支援事業 |
| 東京農工大学 | ウズベキスタン共和国シルクロード農村副業復興計画―フェルガナ州における養蚕農家の生計向上モデル構築プロジェクト― |
| 大阪大学大学院歯学研究科 | メキシコ「口唇口蓋裂総合治療のための医療援助プロジェクト」 |
| 立命館産官学交流事業推進室 | ベトナム「知的障害児の就学率向上及び教育プログラム開発を支援するプロジェクト」 |
| 長崎大学 | ケニア「西ケニアにおける貧困層を対象とした保健医療サービス展開および保健医療人材育成支援」 |
| 東京海洋大学(アイシーネット株式会社と共同提案) | インドネシア「南スラウェシ州の持続的沿岸漁業のための村張り定置網による漁村コミュニティ振興」 |
| 東京農工大学 | ベトナム「参加型農産廃物炭多用途利用技術普及計画 —ベトナム中部世界自然遺産候補特別保護区緩衝地帯の持続的開発と核心地域の環境保全実現のために—」 |
| 宮崎大学 | インド・ウッタールプラデシュ州における地下水砒素汚染の総合的対策 |
| 京都大学大学院 地球環境学堂 | ベトナム中部・自然災害常襲地での暮らしと安全の向上支援 |
| 国際医療福祉大学 | ベトナムにおける地域リハビリテーション及び障害当事者エンパワメントを通した身体障害者支援事業 |
| 日本福祉大学 | フィリピン・レガスピ市における地域自治強化を通じた貧困層住民の生活基盤改善(生活飲料用水)支援プロジェクト |
| 金沢医科大学 | 中華人民共和国「低所得農民層の失明実態究明と対策のための人材育成」 |
| 地域提案型 | |
| 大学名 | 国名・案件名 |
| 長崎大学、長崎総合科学大学(長崎市の提案により、長崎市他と共同実施) | 「インドネシア」小学校における環境保全活動の実施による持続可能な発展のための地域ネットワークづくり |
| 福島県立医大公衆衛生学講座(福島県生活環境部国際課の提案により共同実施) | 「ベトナム」ホーチミン市医科薬科大学および管轄地域における、科学的根拠に基づく保健医療サービス向上のための人材育成 |
| 熊本大学(熊本市の提案により熊本機能病院と共同実施) | 中国の桂林市リハビリ医療センター人材育成支援プロジェクト |
| 九州大学、佐賀大学(福岡県築上町の提案により(有)環境ビジネスソリューションと共同実施) | 「中国」金壇市における環境教育に基づく豚糞尿液肥利用の耕畜連携支援プロジェクト |
| 神戸学院大学(兵庫県の提案により 学際教育機構と共同実施) | スリランカ国における持続可能な「トラウマ・カウンセリングと融合した防災教育」活動推進プロジェクト |
| 秋田大学(秋田県の提案により共同実施) | インドネシアの中山間地における地盤災害防災技術の能力開発事業 |
| 東北大学大学院工学研究科付属災害制御研究センター(宮城県庁の提案により共同実施) | スリランカにおける自主防災活動の実践とPTAによる地震・津波被害軽減手法の整備 |
| 長野県看護大学 | サモアにおける肥満および生活習慣病の予防 |
| 宮城教育大学(仙台市の提案により仙台市建設局八木山動物園と共同実施) | マダガスカル「自然環境保全に関わる環境教育実践プログラム研修」 |
| 山形大学医学部 | インドネシア共和国パプア州地域保健向上協力事業 |
| 北里大学水産学部、東京大学国際沿岸海洋研究センター、国際連合大学(岩手県の提案により共同実施) | 中華人民共和国「海洋環境の保全や環境に配慮した増養殖に関する技術の研修」 |
| 久留米大学(福岡県久留米市の提案によりアジア・グリーンツーリズム・ネットワーク(AGN)と共同実施) | フィリピン「グリーンツーリズムによる地域振興のための指導者育成」 |
| 長崎ウエスレヤン大学 | サモア、フィジー、トンガ、ジャマイカ「島嶼における自立を目指した地域資源活用による人づくり・地域づくり」 |
| 北里大学水産学部、東京大学国際沿岸海洋研究センター(岩手県の提案により岩手県水産技術センターと共同実施) | ミャンマー「沿岸漁業における漁業管理技術の研修」 |
| 群馬大学医学部保健学科 | ニカラグア「感染症対策技術向上」 |
| 千葉大学教育学部 | ベトナム「千葉とベトナムにおける特別支援教育分野での人材育成事業」 |
| 鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 | 東ティモール、フィジー「離島医療」 |
| 山形大学農学部 | ミャンマー国稲作技術改善事業 |
| 兵庫県立大学 地域ケア開発研究所 | インドネシア「地方分権時代の地域看護強化事業—地域看護コーディネーターの育成—」 |
JICAでは、事業の事前、中間、終了時、事後という各段階で、事業の妥当性と協力効果をできるだけ客観的に判断するために、事業の評価を実施しています。
| 大学名 | 国名・案件名 |
|---|---|
| 京都大学 | 中国「環境改善への支援(大気・水)」(テーマ別評価) タイ「バンコク地下鉄建設事業」(事業事後評価) |
| 法政大学 | インド「ヤムナ川流域諸都市下水等整備事業」(事業事後評価<インパクト調査部分>) |
| 慶應義塾大学 | インドネシア「ジャワ北幹線鉄道橋梁修復事業(1)(2)」(事業事後評価) インドネシア「シャクワラ大学整備拡充事業」(事業事後評価) |
| 筑波大学 | インド「アジャンタ・エローラ遺跡保護・観光基盤整備事業」(事業事後評価) |
| 広島大学 | 中国「北京第9浄水場3期建設事業、貴陽西郊浄水場建設事業」 インドネシア「高等人材開発事業(2)」 (事業事後評価) |
| 政策研究大学院大学 | ベトナム貧困削減支援借款(事業事後評価) |
JICAでは、国際協力・開発援助に関わりの深い研究を行い、将来同分野において活躍することを希望する大学院生をインターンとして受け入れています。JICA本部、国内機関、在外事務所における実務実習を通じて、国際協力・開発援助についての理解を深めると同時に、同分野の研究を深める機会を提供し、将来の援助人材育成に寄与することを目的としています。詳細については、こちらで公開しています。
大学生に開発途上国の現状を知ってもらい、国際協力の必要性を理解していただくため、JICAでは学生や大学関係者他からの依頼に応じてJICA職員、専門家OB/OG等を講師として派遣しています。ご要望の際は、講座カリキュラムを組み立てる際の協力もしています。連携講座の中には、単位認定されているものもあります。詳細は、各大学最寄りの国内機関までお問い合わせください。
JICAは、より効率的で質の高い援助を行うための指針となる調査研究事業を実施しています。学際的な知見をJICAの有する援助実務の視点に反映させることでより有効な提言を導くため、多くの研究会やセミナーで大学や研究機関の方々に知見を頂いています。またプロジェクトサイクルの各段階において、プロジェクトのより効果的な実施を図るために、大学教員の方々に特定地域や課題等に関する各種委員会の委員への就任や各種調査への専門的助言等を依頼しているほか、国際協力分野のワークショップの共同開催等を行っています。JICAの調査研究報告書は、こちらから参照、PDFファイルのダウンロードが可能です。
上記調査研究事業の一環として、JICAでは特定の開発課題に関するテーマの研究を十分な知見を有する研究者に委嘱しその成果を研究報告書としてまとめる客員研究員事業を実施しています。過去、大学の教員や博士課程在学の若手研究者に多くの研究を委嘱してきました。客員研究員事業の詳細は、こちらをご覧ください。
大学の皆さまの国際協力への活動のサポートについては、文部科学省「国際開発協力サポート・センター」プロジェクトにおいても、様々な情報を整備、公開中です。