現在の場所は

地域提案型

平成19年度 採択内定案件

I.提案事業の概要
1.国名 中華人民共和国
2.事業名 中国・西安市における大気環境改善
3.事業の背景と必要性

中国では近年の急速な経済発展に伴い、大都市を中心に大気汚染や水環境の悪化といった環境問題が深刻化している。とりわけ中国内陸部を代表する大都市である西安市では、これまで沿海部の成長のためにエネルギー供給や環境対策などの面である程度の犠牲を強いられてきたうえ、近年では逆に沿海部の成長に追いつくための西部大開発の中心都市と位置付けられて急速なピッチで開発が進められ、それに伴い環境が悪化している。実際に西安市は中国国内における大気汚染が特に深刻な10都市に数えられるに至った。西安市政府より京都市側に提出された資料によると、西安市の大気汚染の主な汚染物質は浮遊粒子状物質(PM10)、二酸化硫黄(SO2)、二酸化窒素(NO2)である。浮遊粒子状物質(PM10)が多い原因については、地理的条件のため気候が常に乾燥しており土壌の粒子が大変細かくて舞い上がりやすいこと、また工場等での大量の石炭燃焼(年間400万トン以上)により撒き散らされた埃等が挙げられる。2007年5月の平均値は0.133mg/m3で、国の一級基準の3倍の量である。また二酸化硫黄(SO2)の量が非常に多い原因については、石炭燃焼に伴う煤煙等が挙げられる。2007年3月の平均値は0.073mg/m3であり、国の一級基準の3倍の量である。さらに二酸化窒素(NO2)の量が増加している原因は、自動車量の急増(西安市における2006年の自動車保有台数は30万台以上)と慢性的な渋滞による排気ガスが挙げられる。2007年5月平均値は0.046mg/m3であり、国の一級基準を上回っている。

このような状況の下、歴史都市・西安の空気のよどみは常態化し、市民の健康への悪影響も大きく懸念されている。また、これら大気汚染物質は中国全土にその範囲が広がっている酸性雨の原因ともなっている。国立環境研究所の調査では、日本で観測される硫黄酸化物(酸性雨の主要因)のうちの実に49%が中国起源のものとされ、近年その被害が大きくなっている黄砂等の問題も含め中国の環境問題は隣国の問題として無視できるものではなくなっている。

こういった深刻な環境問題に対して西安市政府は、粒子状浮遊物質(PM10)及び二酸化硫黄(SO2)対策として2006年には5千台以上の石炭ボイラーの改造と取壊し、クリーンエネルギー使用の推進等環境保護のための一連の施策を講じており、一定の効果は生んでいるところである。しかし二酸化窒素(NO2)対策については現状では具体策を実施できておらず、大気汚染など汚染源オンライン監視システム等も今後の計画としては掲げられているものの、環境保護のための財源が脆弱であり、専門の人材に欠け環境モニタリング調査や分析を行う施設が不足しているため、今後の環境対策を順調に進めるためにも京都市のノウハウが求められている。また、一部の行政関係者や企業の責任者、市民の環境に対する意識が未だ低いことも環境施策が十分な効果を生んでいない大きな要因の一つである。環境に関する計画や法規の整備と市民にその遵守を促す広報活動の方法についても、京都市のノウハウが強く求められている。

京都市ではこれまで大気汚染対策をはじめとする多様な環境政策を進めてきた経験があり、成果を挙げている。さらに現在では京都議定書が採択された地として、環境先進都市を目指したより積極的な取組を推進しているところであるため、京都市としても積極的な役割を果たしたいと考えている。

4.事業の目的 大気の汚染状況や酸性雨を正確に測定するシステムの運用方法とそこから得られたデータを事業所への指導やエコドライブの推進等、実際の環境施策への適用、環境に関する計画や条例の策定・整備・運用手法等を西安市の関係職員が学び、西安市の実情に応じた環境政策を立案できる人材を育成し、実際に西安市の環境政策に反映することで西安市の環境を改善し、西安市民の福祉の向上に寄与する。一方で行政レベルのみならず、一般市民の環境に対する意識を向上させるための市民啓発や事業者に対する指導のノウハウを提供し、市民の意識向上につなげる。
5.対象地域 西安市
6.受益者層 西安市人民政府、西安市市民
7.活動及び
期待される成果

(1)西安市に環境政策の理念、知識、技術を理解した人材を育成することで、研修を受けた西安市関係者がアクションプランに基づいて西安市の実情に合った環境政策を構築し、具体的な施策を実行できるようにする。これにより、西安市の大気汚染状況の改善、および西安市民の福祉の向上が見込まれる。

(2)研修を受けた西安市関係者が西安市民に対して環境に関する効果的な啓発活動及び事業者に対する指導を実施する。これにより、西安市民の環境への意識が高まり、大気汚染の軽減、西安市民の福祉の向上が見込まれる。

(3)協力事業の実施について随時両市民に広報する。これにより、両国及び両市の友好関係の発展が見込まれる。

8.実施期間 2008年9月26日〜2011年3月31日
9.事業の実施体制 京都市、財団法人太平洋人材交流センター(PREX)
II.応募団体の概要
1.団体名(提案自治体) 京都市総務局国際化推進室(京都府京都市)
2.対象国との関係、協力実績 京都市と西安市は1974年の友好都市提携以来、教育、文化、スポーツ等幅広い分野での親善交流や技術研修生の受入を行ってきた。2006年からは円借款事業である陝西省水環境整備事業に関わる西安市職員を対象に研修生受入を実施している。