ペルーにおける日本のODAによる協力実績は他の中南米諸国と比較しても規模が大きく、JICAはこれまで、様々な分野における協力、開発への支援を同国に対し行ってきました。2008年の国際協力銀行の海外経済協力部門との統合により新たにJICAの活動の一つとなった有償資金協力も合わせ、今後も様々な開発課題に取り組んでいきます。
ペルー経済は近年堅調に推移しており、2007年には9.0%の経済成長率を記録し、一人当たりGNIも3,450ドルまで上昇するなど、中南米諸国の中においては比較的良好な経済状態にあると言えます。しかしながら、現ガルシア政権においても、貧困、所得格差の問題は引き続き重要課題と位置づけられるなど、開発の課題は多く、JICAの協力すべき分野も多岐に渡ります。
2006年11月に開催された経済協力政策会議において、日本政府のペルーにおける援助重点分野を、(1)貧困・格差の軽減、(2)持続的成長のための経済社会基盤整備、(3)地球規模問題への対処、とすることが日本政府とペルー政府との間で合意されました。また、2008年3月のガルシア大統領訪日時には、日本・ペルー両国政府により、環境・気候変動分野における協力の一層の強化に関する共同声明が出され、日本はクールアース・パートナーシップの下でペルーを支援する意図を表明しています。
JICAペルー事務所は、上記のような二国間で合意された開発アジェンダに基づき、すべての人々が恩恵を受けるダイナミックな開発を進めるという新JICAのビジョンの下、多様な援助手法を有機的に組合せ、案件の発掘・形成から実施までの援助プロセスの迅速化を図るなどの統合効果の発揮、あるいは、現場主義を通じた複雑・困難な課題への機動的な対応に取り組んでいます。
具体的な活動分野の事例としては、上下水道分野における協力があげられます。ペルーにおける安全な水にアクセスできる人口は中南米地域の他国と比較しても低い水準にあり、ペルー政府は「万人に水を」の標語の下、国全体の給水・衛生施設整備に取り組んでいます。JICAは、技術協力による北部地域給水・衛生事業組織強化プロジェクトなど、また円借款による首都リマ及び地方都市における上下水道施設整備事業の実施を通じて、このペルー政府の政策を支援しています。
貧困削減への対応においては、貧困層の割合が高い山岳地域における貧困対策事業に取り組んでいます。山岳地域においては、住民の約8割が農牧業に従事していますが、低所得の問題のみならず、保健医療上の課題、教育上の課題など多岐に渡る克服すべき課題が存在します。これらの課題への対応のために、JICAは市町村の経験共有による地域活性化事業や栄養失調対策事業などの技術協力、あるいは水資源・土壌保全国家計画(PRONAMACHCS)などを通じた円借款による支援を行っています。
さらに、環境問題や地球規模問題への対処については、2008年に環境省を新設するなど対応を強化するペルー政府の動きにも呼応し、技術協力によるCDMプロジェクト立案能力強化プロジェクトを実施するなど、JICAの協力を強化しているところです。今後も公害防止などの分野における協力の可能性についてペルー政府と検討を進めていくことにしています。
ペルーは、コスタ(海岸地域)、シエラ(山岳地域)、セルバ(熱帯雨林地域)という全く様相を異にする多様性に富んだ自然を有し、勤勉な国民性、政府の健全な経済・財政政策などを基礎として、今後の更なる発展の高いポテンシャルを有する国です。また、2009年には日本からの移住110周年を迎えるなど日本との結びつきも強く、伝統的友好国として今後益々我が国との結びつきが強化されることが期待されます。JICAペルー事務所においてもペルーの様々な開発課題について、現場の声を幅広く取り入れ、ペルーの人々と共に取り組んでいきたいと思います。