プレスリリース
〜ベトナム・植林CDM促進のための能力向上開発調査〜
2009年05月15日
パイロットプロジェクトのサイトとなる禿げ山。以前は森に覆われていた
国際協力機構(JICA)がベトナムで実施した「植林CDM(Afforestation / Reforestation Clean Development Mechanism: AR-CDM)促進のための能力向上開発調査」において企画立案した植林プロジェクトが、4月28日、国連のCDM理事会により、小規模植林CDM事業(注1) として登録されました (注2)。
「植林CDM促進のための能力向上開発調査」(2006年〜2009年)は、JICAが、ベトナム林業大学、森林科学研究所と共同で、植林CDMに関わる人材育成、制度整備・構築支援を目指して実施したものです。同事業の人材育成支援の一環として、植林プロジェクトのCDM事業登録に必要な事業計画作成からCDM理事会での登録までの手続きの実践を支援しました。本プロジェクトの実施により、植林によるCO2の吸収源の増加等による気候変動対策の促進に加え、住民参加型での経済林の植林による貧困削減への貢献が期待されています。
本プロジェクトでは、北西部ホアビン省カオフォン県において、畑地利用のために伐採され、土壌荒廃の進んだ約310ヘクタール (注3)の裸地や草地への植林がなされます。JICAの調査終了後、プロジェクトは、カオフォン県人民委員会とベトナム林業大学が主体となって設立した社会基金により運営され、プロジェクト期間の16年間で、約4万3000トン分の炭素削減に寄与するものと見込まれています。
植林活動にはカオフォン県の約320の農家が従事する予定になっており、植林労働への対価のほか、将来的には、森林回復による林木、果実等の林産物収入等を享受することも期待されます。そのため、本プロジェクトは、森林造成のみならず地域住民の貧困削減にも寄与するものであり、ODAとCDMの共通の目的である途上国の持続可能な開発の植林分野のモデルプロジェクトになる事が期待されています。
また、JICAがベトナム日本商工会を通じ協力を募った結果、ホンダベトナム社がCSR活動の一環として、2008年から2011年までの間、合計35億ベトナムドン(約2,500万円)をプロジェクト運営資金として供与をする事が決定しています。これまで運営資金の確保がハードルとなってきた植林CDMや林業プロジェクトにとって、今後の民間資金による支援の道を開く先例となるものです。
JICAは技術協力による支援のみならず、円借款事業で支援した事業のCDM事業登録も実現してきており (注4)、今後も、様々な援助手法を活用したODAの実施を通じ、ODAとCDMの共通の目的である途上国の持続可能な開発に引き続き取組んでいく方針です。
(注1)クリーン開発メカニズム(CDM)は、京都メカニズムの手法の1つで、先進国・市場経済移行国が、開発途上国において温室効果ガス削減事業を実施し、それにより生じた削減・吸収分(排出権)をクレジットとして取得し、自国の目標達成に利用できる枠組みであり、途上国の持続可能な開発にも寄与するものです。CDM事業のうち一定の条件(植林分野の場合温室効果ガス吸収量が16,000t/年以下で、低所得地域で実施する案件)を満たす案件は、小規模CDM事業として一部様式や手続が簡略化されます。
(注2)植林分野のCDM事業としては、中国、モルドバ、インドの案件(いずれも非ODA事業)に続く世界4件目の登録となります。
(注3)皇居の約2.5倍の面積
(注4) 円借款を利用した事業でCDM事業として登録されたものは、大型のODA事業としては世界初の登録となったエジプト・ザファラーナ風力発電事業(2007年6月登録:下記関連リンク)、鉄道のCDM事業としては世界初の登録となったインド・デリー高速輸送システム建設事業(2008年1月登録:下記関連リンク)、円借款により途上国の民間企業の環境改善活動を支援し、その事業がCDMとして登録された初めての事例であるスリランカ「環境対策支援事業」(2009年3月登録:下記関連リンク)があります。