ニュースリリース

JICAとゲイツ財団が戦略的パートナーシップを発表

−連携第一弾としてパキスタンのポリオ撲滅支援のための円借款に初めて民間資金を活用−

2011年08月18日

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日米でテレビ会議を通じて行われた調印式

緒方貞子JICA理事長と、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation、以下、ゲイツ財団)のビル・ゲイツ共同議長は、業務協力協定を締結し、世界におけるポリオ撲滅対策等の強化に向けた戦略的パートナーシップを結ぶことを発表しました。また、パートナーシップの第一弾として、8月18日、両機関はパキスタンのポリオ撲滅対策を支援するための合意文書(債務承継契約)を締結しました。

これに先立ち、JICAは8月15日に、パキスタンのポリオ撲滅のための取り組みに対して、パキスタン政府との間で49億9,300万円の借款契約に調印しました。この円借款により、世界ポリオ撲滅イニシアティブ(GPEI)の下で、パキスタンにおける2013年までのポリオ撲滅に関する取り組みが後押しされることになります。

今回のJICAとゲイツ財団との連携には、「ローン・コンバージョン」という革新的な手法が用いられます。このスキームは、パキスタン政府により事業が成功裡に実施されれば、ゲイツ財団がパキスタン政府に代わってJICAに債務返済を行うものです。本スキームにより、パキスタン政府のポリオ撲滅に向けたより一層の努力を引き出しつつ、最終的にパキスタン政府に債務負担を課すことなく、ポリオ撲滅対策を支援することができます。

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「『ポリオがない世界』を達成する一助になれば」とゲイツ共同議長(手前)(c)2011 Bill & Melinda Gates Foundation/Barbara Kinney

ゲイツ共同議長は、「今回のパートナーシップの締結は、ポリオ撲滅に取り組むパキスタンにとって非常に時宜を得たものであり、誰もが願う『ポリオがない世界』を達成するための一助となる。今回の日本による積極的な取り組みは、今後何世代にもわたって、パキスタンの子どもたち、ひいては世界全体の子どもたちに恩恵をもたらすものとなるだろう」と述べています。

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署名する緒方理事長(右)とゲイツ共同議長

過去20年間で世界中でのポリオ発症は99パーセント減少したものの、パキスタンはこれまでポリオが撲滅されていない4ヵ国のうちの一つです。GPEIの最近の報告では、パキスタン政府によるポリオ撲滅対策を評価しつつ、ポリオ発症数はパキスタンの一部地域で増加しており、「世界のポリオ撲滅に向けた最後の隘路となる可能性がある」と警告しています。

パキスタン政府は今年1月、「ポリオ撲滅に向けた国家緊急行動計画(NEAP)」を発表しました。ゲイツ共同議長はパキスタン政府のこの取り組みを評価し、ポリオ撲滅に向けた緊密な協力を確約しました。パキスタン政府は、アーシフ・アリー・ザルダリ大統領およびユースフ・ラザ・ギラーニ首相のイニシアチブにより、世界保健機構(WHO)や国連児童基金(ユニセフ)、ロータリー・インターナショナルとも緊密に連携し、ポリオ撲滅に向け国を挙げた取り組みを展開しています。

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ゲイツ財団との新たな連携を機に、JICAの役割を改めて確認する緒方理事長

日本は1996年以降、パキスタンでのポリオ撲滅に向けた取り組みを支援しています。緒方理事長は、「JICAは、これまでの途上国支援から得た、相手国政府との強固な協力関係、そして現場での貴重な経験を有している。JICAはこれを生かして、途上国政府と民間の新興ドナーとの触媒的な役割を果たしていきたい。ゲイツ財団との新たな戦略的パートナーシップは、JICAがあらゆる開発課題における主導的、触媒的役割を果たしていくという意思を示すものである」と述べています。

今回のJICAによる円借款は、ポリオ対策に必要なポリオ・ワクチン調達、その接種のためのポリオ・キャンペーンの実施を、アフガニスタンとの国境地域を含めたパキスタン全土において支援します。また、本事業は、世界銀行(ポリオ・ワクチン調達を支援)との協調融資、ユニセフとのポリオ・ワクチン調達、WHOとのポリオ・キャンペーン実施での連携など、多種多様な開発パートナーとの連携により実施される点においても、新たな試みとなっています。

(注)2011年8月15日、JICAはパキスタンの「ポリオ撲滅事業」に対し、パキスタン政府との間で、49億9,300万円を上限とする借款契約を締結。パキスタン全国に対するポリオ・ワクチン調達、その投与のためのポリオ・キャンペーン実施を通じ、5歳未満児に対するポリオ・ワクチンの円滑な接種を図り、もって同国ポリオの早期撲滅に寄与することを事業の目的としている。

◇関係機関紹介
1. 世界ポリオ撲滅イニシアティブ(GPEI)
GPEIはWHO、ロータリー財団、ユニセフ、米国疾病予防管理センター(USCDC)をはじめとする国際機関や各国政府による官民連携の団体。1988年以降、2,000万人のボランティアがポリオ撲滅のためにGPEIを支援している。

2. ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)
誰の人生にも同じ価値があるとの信条に基づき、ゲイツ財団はすべての人々が健康的で生産的な生活を送れるよう活動している。途上国に対しては、健康問題や飢餓や極度の貧困からの脱出に対する支援に焦点を当て、米国では、すべての人々、特に貧困層の人々が教育機会や通常の生活を送る機会を得るための支援を行っている。ワシントン州シアトルに本部があり、ビル及びメリンダ・ゲイツ夫妻(共同議長兼管財人)とウォーレン・バフェット氏(管財人)のもと、ジェフ・レイクス氏がCEOとなり、ゲイツ氏の父親ウィリアム・H.ゲイツ.Sr.氏も共同議長を担っている。