日本型工学教育を行うマレーシア日本国際工科院の開校式開催

−日本の24大学と連携、産業界の求める人材育成を支援−

2012年6月4日

署名式の様子。後列左から荒川理事、中村滋駐マレーシア特命全権大使、鳩山総理特使、ナジブ首相

6月1日、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)の開校式が、マレーシア・クアラルンプール市内のMJIITにて執り行われました。

MJIITは東方政策を掲げたマハティール元マレーシア首相によって2001年に提唱されて以来、過去10年にわたり日本・マレーシア政府間で検討が進められてきた結果、2011年9月に開校しました。MJIITは学部・大学院を有し、日本の工学教育の特長である研究室活動を中軸とした「講座制」によって、応用力、研究開発能力を身につけた高度な人材の育成を図ることを目指しています。

このMJIITの設立にあたり、JICAは円借款「マレーシア日本国際工科院整備事業」を通じて、研究活動に必要な機材や教育カリキュラムの整備支援を行っています。また、大学運営や産学連携を支援するため、MJIITの副院長として木下智見JICA専門家(九州大学名誉教授)を派遣するなど、技術協力も合わせた支援を実施しています。日本とマレーシアの産業界のニーズを踏まえた人材育成を行うため、日本の大学や現地に進出する日系企業とも連携しています。日本では現在24大学がコンソーシアムを結成し、日本人教員を派遣するなど、さまざまな面でMJIITに協力を行っています。

スピーチを行うナジブ首相

開校式にはマレーシア側からはナジブ・ラザク・マレーシア首相のほか、日本側からは鳩山由紀夫総理特使、加藤重治文部科学省国際統括官、荒川博人JICA理事らが出席し、MJIITの開校を祝いました。また、大学コンソーシアムのメンバーである24校から代表者が出席し、大学間協力協定(MOU)への署名式も合わせて行われました。

ナジブ首相は、スピーチの中で、日本・マレーシアの緊密な友好関係を「絆」であると日本語を交えつつ述べ、MJIITは両国の絆の証であり、その開校は東方政策30周年を記念するにふさわしいものと位置づけました。さらに、両国の産業界の強い連携を生かし、MJIITにおいて日本産業界の専門性と新起業家精神を兼ね備えたエンジニアの育成を期待すると述べました。また、鳩山総理特使は「国と国」の関係はつきつめれば「人と人」の関係であるとし、東方政策の卒業生が緊密な二国間関係の構築に貢献してきたことを称えました。また、マレーシアは日本企業の海外進出において重要な拠点の一つであり、両国関係は地域や国際社会の課題に取り組むパートナーとしての関係にまで成熟してきている中、MJIITがアジア太平洋協力の担い手になることを期待すると表明しました。

ワークショップでは活発な議論が交わされた

開校式典に合わせ、前日にはコンソーシアムメンバー大学とのワークショップが開かれ、各教育・研究分野についてカリキュラムの詳細や、共同研究などについて議論が行われました。また、当日は産業展覧会が開催され、企業と大学合わせて20の展示が行われました。出席者は、日本の高度な工学技術を体現したスカイツリーや電気自動車などについての展示を見学しました。

MJIITは将来的に、アセアン諸国や中東諸国などの第三国からも学生を入学させ、日本型工学教育の国際拠点となることを目指しています。MJIITを通じて、日本の高い技術力や労働倫理を習得し、日本の産業界にとっても即戦力となる人材が世界に広まっていくことが期待されます。