日本各地でJICA事業を実施している国内機関のトップが集まり、開発途上国のみならず日本も“元気の出る援助”について議論

2012年9月6日

国内各地での経験をもとに国際協力事業について活発な議論が交わされた

国際協力機構(JICA)は、全国の国際センター長、支部長、青年海外協力隊訓練所長が一堂に会し、JICAが日本国内で実施している国際協力事業の質の向上と効率化等について議論することを目的として、8月28、29日の2日間にわたり東京のJICA本部で国内機関長会議を開催しました。

「地域にも必要とされる存在に」と語る田中理事長

会議の冒頭に、田中明彦JICA理事長から、「国内機関は『元気の出る援助』の各地の最前線であり、開発途上国と地域をつなぐ結節点として、途上国からも地域からも必要とされる存在となってほしい」とのメッセージがあり、これを踏まえ、「地域の課題に向き合う国際協力と中小企業等海外展開支援」「JICAのグローバル人材育成支援」「本邦研修の質の向上と戦略性強化」について、各国内機関の取り組みの紹介や、今後の方向性等について議論を行いました。

「途上国からの研修員受入れが中小企業の国際化に貢献している」と語る井上会長

また、会議には公益財団法人太平洋人材交流センター(注)の井上義國会長(ダイキン工業株式会社 元副会長)や東京工業大学の山口しのぶ教授、外務省国際協力局の和田充広参事官にもご参加いただき、外部の方の視点からJICA事業に対するご意見ご助言をいただきました。

【中小企業の優れた技術を途上国へ紹介】

日本国内で行われているJICAの研修コースでは、中小企業の方々にご協力頂いているコースが多数ありますが、海外からの技術研修員が我が国の優れた技術・経験を知る良い機会になっています。また、中小企業の方々にとっても、海外の事情や市場ニーズを知る良い機会になっており、研修員の受入れがきっかけとなって、海外進出を計画する企業も増えてきています。また、国内での研修コースや海外での技術協力事業において、自治体の方々にもお世話になっていますが、最近では、自治体のイニシアチブにより、上下水道技術やごみ処理などの環境分野の優れた技術をアジアを中心とした国々に積極的に紹介し、将来、地元関連企業に海外からの需要を取り込もうという動きが活発化しています。

このような状況を踏まえ、各地の経済団体、商工会議所、地銀等にも意見を伺いつつ、JICAの従来からの各種の協力事業および本年度外務省から受託した事業などを通じ、海外進出に関心を有する中小企業の方々をより積極的に支援する方針を確認しました。

【学校、企業でのグローバル人材育成を積極的に支援】

少子高齢化による国内需要の縮小と労働者不足が予測される中で、企業の海外進出や内向きと言われる国内状況への対応として、学校や企業でのグローバル人材の育成が求められていますが、JICAではこれまで、小中高等教育での開発教育/国際理解教育支援、大学での国際協力関連講座の企画・実施支援、JICAの国内・在外機関での大学院生・学部学生のインターンの受け入れ、現職教員ボランティア派遣制度などを実施しています。また、本年度からは中小企業等のグローバル人材育成への支援策として、民間連携ボランティア制度を開始し、現在、各地で説明会を実施しています。

今回の会議では、各国内機関での取り組み状況について情報を共有するとともに、国内機関と本部とが一体となったより効率的な支援方法等について意見交換を行いました。

【日本国内の優れた技術を活用した実践的な研修員受入れ事業の実施】

日本における研修については、開発途上国が必要としているものを提供すると同時に、「日本再生戦略」といった重要政策や、国内の地域の発展・国際化への貢献も念頭に置いて、質の高い研修を拡充することが重要であるとの認識で一致しました。

質の高い研修として、日本独自の手法でタイなどにも採用されることとなった「土地区画整理手法」に係る研修、日本再生戦略で重点施策として位置づけられている「環境未来都市構想」に係るセミナー、沖縄県の島嶼(しょ)地域ならではの水管理手法・技術を大洋州の国々に伝えるとともに「島人(しまんちゅ)同志」の連帯も深める「島嶼における水資源保全管理」などが紹介され、こうした日本国内の優れた手法・技術を活用した実践的な研修を拡充していくこととなりました。

また、この取り組みを促進するために、政府機関だけでなく、日本の各地域の優れた技術・制度・経験を有している地方自治体、民間企業、大学、NGO等との連携も強化していくこととしています。

会議のとりまとめにあたって、堂道副理事長からは「地域には途上国の開発に貢献できる一流の技術がたくさんある。国内機関には地域の関係者と協力して一流の技術を発掘し、途上国の開発に結び付けてほしい」との、また、田中理事長からは「われわれの仕事は途上国だけではなく日本の強みと弱みの両面を理解しておくことが重要。国内機関にはその発信源となってほしい」とのコメントがおのおのありました。

JICAの事業は国だけではなく地方自治体、NGO、大学、民間企業等、様々な地域関係者のご協力・ご支援によって成り立っています。JICAの国内機関は、これからも地域の皆様との関係強化に努め、途上国の発展、そして国内の発展にも役立つ国際協力を進めていく考えです。


(注)公益財団法人太平洋人材交流センター(PREX〈プレックス〉:Pacific Resource Exchange Center)関西の産官学が連携し、1990年に設立。途上国の人材育成事業とその活動を通じた国際交流を促進しており、JICAも研修事業を委託しています。(ウェブサイトは関連リンク参照)