ベトナム社会主義共和国向け円借款契約の調印

−インフラ整備を通じた国際競争力強化と脆弱性への対応−

2014年2月28日

国際協力機構(JICA)は、2月28日、ハノイにてベトナム社会主義共和国政府との間で「ダニム水力発電所増設事業」を対象として75億1,500万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

ベトナムは、1990年代以降順調に経済成長を続けており(参考1)、国家目標であった2010年までの低中所得国入りを達成するとともに、貧困削減の実績を挙げてきました(貧困率は1998年の37.4パーセントから2010年には14.2パーセントまで低下〈注〉)。2015年にはASEAN域内関税の撤廃が予定される中、引き続き持続的な経済成長を遂げるためには、インフラ整備を通じた投資環境の整備を図り、国際競争力を強化する必要があります。特に、日系企業が多く進出するベトナム南部地域においては、例年計画停電が実施される等、インフラの未整備が経済・社会活動に負の影響を与えています。ベトナム政府の策定している「第7次国家電力マスタープラン」(2011〜2020年)では、2011年から2020年にかけて全国で計5万メガワット近くの電源開発が計画されており、このうちベトナム南部地域では、最大電力需要が9,359メガワットから2万6,686メガワットに増加するとの予測に対応して、2020年までに2万3,735メガワットの新規電源開発が必要とされています。しかし、資金不足、売電交渉の長期化、工期遅延等により新規の開発が遅延しており、産業需要に対応するための電源を整備することの必要性が高まっています。

(注)出所:General Statistics Office “Vietnam Living Standards Survey”

本事業は、ベトナム南部にある既設のダニム水力発電所において発電機器等を増設し発電容量を増強することにより、特に南部地域におけるピーク需要に対する電力供給の能力向上を図り、もって同地域の経済成長促進および国際競争力強化に寄与するものです。借款資金は、水力発電機器の増設等に必要な土木工事や資機材の調達およびコンサルティング・サービス等に充てられます。なお、ダニム水力発電所(160メガワット)は、1959年の日本の対ベトナム戦後賠償により建設され、1964年に運転が開始されています。また、1997年には円借款を通じて、老朽化したダニム水力発電所および送変電施設の改修を支援しています。このようなダニム水力発電所の歴史的経緯も踏まえ、日本による支援に対しベトナム側から高い期待が寄せられています。

JICAは今後とも、円借款、技術協力や無償資金協力などの多様なODAスキームを一体的に運用しながら、ベトナムの開発課題に対して機動的に取り組んでいく方針です。

<参考1> ベトナム:成長パフォーマンス

【画像】

(出所)IMF World Economic Outlook Databaseより作成

<参考2>借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件
本体 コンサルティング・サービス
ダニム水力発電所増設事業 7,515 1.4 0.01 30 10 一般アンタイド

※ なお、調達プロセスの公正性と競争性を確保するため、ベトナム政府とJICAの協議を経て特定された案件について、ベトナム側が調達手続の第三者機関等による事後監査を実施することとするが、同監査費用は円借款に含めない。

<参考3>事業実施機関
ダニム・ハムトゥアン・ダーミー水力発電会社 (Da Nhim–Ham Thuan–Da Mi Hydro Power Joint-Stock Company)
住所:80A Tran Phu, Bao Loc, Lam Dong, Vietnam
TEL:84-63-3728-171  FAX:84-63-3866-457

<参考4>今後の事業実施スケジュール(予定)
(i)事業の完成予定時期:2016年8月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス(施工監理等)招請状送付予定時期:2014年3月
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:電気機器設置パッケージ(Installation of electro- mechanical equipment)
予定時期:2014年6月