ラオス人民民主共和国向け円借款契約の調印

−ミレニアム開発目標達成・後発開発途上国脱却に向け、貧困削減と空港拡張を支援−

2014年1月10日

国際協力機構(JICA)は、1月10日、ラオス人民民主共和国の首都ビエンチャンにて、同国政府との間で、2件、総額95億1,700万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

署名後、握手を交わすプーペット・カンプンヴォン財務大臣(右)と武井耕一JICAラオス事務所長

ラオスは、近年、天然資源開発に牽引され、GDP成長率は過去数年間にわたり約8パーセントを記録するなど堅調な経済成長を遂げており、貧困率(注)は1992年の45.0パーセントから20.5パーセント(2012年)まで低下してきています。しかし、ASEAN唯一の内陸国であるという地理的条件や、長期間にわたった過去の内戦の影響により開発は遅れており、一人当たりのGNIが1,270ドル(2012年)のため、依然として後発開発途上国(LDC)として位置づけられています。2020年までのLDCからの脱却と、2015年までのミレニアム開発目標(MDGs)の達成を目標としている同国では、財務・公共財政管理の強化(特に教育・保健分野)、天然資源の歳入管理、産業多様化および競争力強化が、喫緊の開発課題として指摘されています。また、内陸国かつ国土の8割が山岳部である同国において、航空セクターは、周辺国との連結性の強化、国際観光の促進、および外貨獲得のために必要な不可欠な交通手段として位置付けられていますが、近年の経済成長を背景に、とりわけビエンチャン国際空港の航空旅客需要が急速に拡大しており、それに対応した旅客ターミナルビル等の整備が大きな課題となっています。

(注)貧困線未満で生活する人々の全人口に占める割合。

このような状況を踏まえ、今回、貸付契約を調印した2件の円借款の特徴は、以下の通りです。

(1)政策・制度改革に向けた支援
ラオス政府が策定した「第7次国家社会経済開発計画」(2011〜2015年)の目標達成を実現するために、同国の課題として指摘されている、財務・公共財政管理の強化(特に教育・保健分野)、天然資源の歳入管理、産業多様化および競争力強化にかかる政策制度改革の実行を、政策対話等を通じて支援します。

今般供与された円借款事業「第9次貧困削減支援オペレーション」は、上記政策・制度改革に対して設定された「政策アクション」へのラオス側の取り組みを評価した、政策・制度改革型支援です。特に教育・保健分野の政策・制度改革については、これまでの同国での教育・保健セクターに対する技術協力・無償資金協力により蓄積された知見を生かし、ラオス政府の政策・制度改革の実行を支援しています。

(2)航空輸送サービスの充実に資する支援
現在のビエンチャン国際空港の国際線ターミナルの2012年時点の年間旅客数は、想定されたキャパシティの約2倍にまで拡大していることから、ピーク時の増便が困難であり、さらに、オフィススペースの不足により新規航空会社の受け入れが限界に近づきつつある等の問題が生じています。また、国内線ターミナルに関しては、建設後約50年が経過して老朽化が著しい状況です。

こうした中、同空港の国際線ターミナルの拡張、国内線ターミナルの新設等を行うことにより、増大する航空旅客需要に対応するとともに、空港の利便性・効率性・安全性を向上させることが求められています。

今般供与された円借款事業「ビエンチャン国際空港ターミナル拡張事業」は、航空旅客の処理能力を向上させるだけではなく、空港の運営に伴う環境負荷の低減を目指す「エコ・エアポート」のコンセプトを導入し、省エネ技術を活用した環境配慮型の旅客ターミナルビル等の整備を行うものです。

今後もJICAは、技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力の3スキームを有機的に連携させ、ラオスの経済・社会インフラ整備や社会セクター支援、政策・制度改善等の支援を通じ、すべての国民が発展を享受する国づくりを支援していきます。

<参考>

借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件
本体 コンサルティング・サービス
第9次貧困削減支援オペレーション(※) 500 0.01 40 10 一般アンタイド
ビエンチャン国際空港ターミナル拡張事業 9,017 0.70 0.01 30 10 一般アンタイド

※優先条件(基準)(保健分野)を適用。

(1)第9次貧困削減支援オペレーション
Ninth Poverty Reduction Support Operation

(a)事業の背景と必要性
LDC脱却を目指す同国は、「第7次国家社会経済開発計画」の中で、MDGs達成を目標の一つとして掲げており、その達成が危惧される、教育・保健の両セクターに重点を置いていくべき旨、示しています。

本事業は、公共財政管理、社会セクター(教育・保健)を含むラオス政府の政策を充実させ、同国の持続的開発を支援するものです。

(b)事業の目的と概要
本事業は、わが国の教育・保健セクターにおける技術協力、無償資金協力により蓄積された知見を生かし、ラオス政府が進める制度改革(公共財政管理・社会セクター開発等)を支援することにより、政策改革の推進およびわが国を含めたドナーとの政策対話の促進を図り、もって同国の貧困削減および経済成長の促進に寄与するものです。

本事業は、世界銀行や欧州連合(EU)との協調融資であり、借款資金は、一般物資の輸入に要する決済資金に充当されます。

(c)事業実施機関
財務省(Ministry of Finance)
住所:23 Singha Road P.O.Box 46, Vientiane Capital, Lao P.D.R
TEL:856-21-911611 FAX:856-21-412142

(d)今後の事業実施スケジュール〈予定〉
(i)事業の完成予定時期:2014年3月(貸付完了時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付予定時期:本事業においてはコンサルタント雇用を予定していません。
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定時期:本事業においては、入札を伴う工事は想定されていません。


(2)ビエンチャン国際空港ターミナル拡張事業
Vientiane International Airport Terminal Expansion Project

(a)事業の背景と必要性
ラオス政府の「第7次国家社会経済開発計画」では、公共事業・運輸セクターの方針として、人、モノの流れの円滑化のため、連結性の強化が掲げられています。航空セクターについては、国際観光および外貨獲得のために必要不可欠な交通手段として位置づけられており、年間8-10%の航空交通量の増加、年間4.5-6.5%の航空便数の増加を目標に、航空輸送サービスの充実が目指されています。本事業は、この中の優先事業の一つであり、ラオスの航空輸送サービスの充実に貢献するものです。

(b)事業の目的と概要
本事業はラオスの首都にあるビエンチャン国際空港において、国際線旅客ターミナルビルの拡張、国内線旅客ターミナルビルの新設等により、急増する航空旅客需要に対応し、空港の利便性・効率性・安全性の向上を図り、もってラオスの経済成長の促進に寄与します。

(c)事業実施機関
公共事業運輸省民間航空局(Department of Civil Aviation, Ministry of Public Works and Transport )
住所:Souphanouvong Road, P.O.Box 6356,Wattay International Airport, Vientiane Capital, Lao P.D.R
TEL:856-21-513161 FAX:856-21-513177

(d)今後の事業実施スケジュール〈予定〉
(i)事業の完成予定時期:2018年6月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付予定時期:2013年12月(送付済)
(iii)本体工事に係る国際競争入札による入札公示予定時期:2014年12月