ミャンマー連邦共和国向け無償資金協力贈与契約の締結

−経済改革や国民和解に向けた取り組みを支援−

2014年3月25日

署名式の様子(写真:ミャンマー運輸鉄道省)

国際協力機構(JICA)は、3月24日、ミャンマー連邦共和国政府との間で、総額56億円(計4件)を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement:G/A)を締結しました。

2011年3月に発足したテイン・セイン政権は、民主化、法の支配の強化、国民和解、そして経済改革といった多くの課題解決に向けた取り組みを行っています。このようなミャンマー政府の取り組みを支援するため、JICAは、ミャンマー国民の生活向上や少数民族地域に対する支援を実施します。

今次調印した無償資金協力案件は以下の通りです。

1.二国間協力による国民生活の向上に対する支援

(1)鉄道中央監視システムおよび保安機材整備計画(供与限度額40.0億円)
The Project for Installation of Operation Control Center System and Safety Equipment

(事業の背景と必要性)
ミャンマーでは、基幹鉄道路線は英国植民地時代にほぼ完成しているものの、既存設備の更新が不十分であることから、走行速度の低下や遅延に加え、脱線等の事故が生じています。具体的には、運行管理が指令所と各駅の音声連絡に限られているため、列車の在線確認に時間がかかっています。また、信号機や分岐器といった列車の安全な運行に必要な機材が耐用年数を超えて使用されており、運行に支障をきたすおそれがある状態です。さらに、踏切はゲート操作が手動であるためスムーズに開閉が行えず、踏切を横断する車両の待ち時間が長時間化する原因となっています。このような状況の中、鉄道利用の利便性向上のために、関連設備の改善による運行管理体制の強化、安全性の向上は必要不可欠です。

(事業の目的と概要)
本事業は、ヤンゴン・マンダレー幹線において、中央監視センター等を整備することにより、輸送能力増強および安全運行を図り、もって同国の経済発展に寄与することを目的とするものです。本事業により、ヤンゴン・マンダレー線の輸送力が強化されるとともに、鉄道の安全性が向上されることが期待されます。

2.国際機関との連携による少数民族地域に対する支援

ミャンマーの少数民族地域では、民族・宗教問題および自然災害による不安定な治安・生活環境により、同地域に居住する人々の生活が非常に脆弱な状況となっています。例えば、ミャンマー南東部国境地域(モン州、カレン州、カヤー州、タニンダーリ地域)においては、過去の武力紛争を逃れた難民・国内避難民の帰還が今後進むと見込まれていますが、同地域では雇用の受け皿となる産業が未発達であり、また紛争や耕作放棄により農地が荒廃していることから生計手段および食糧が十分に確保できない状況です。

カチン州および北部シャン州では、2011年6月からミャンマー軍とカチン独立軍の戦闘が始まり、約9万人の国内避難民が発生していると推測されています。さらに、ラカイン州においては、2012年6月からコミュニティ間の紛争が発生しており、約14万2,500人の国内避難民が発生していると考えられています。これら国内避難民の中には政府の管理が届かない地域に居住している人々も多く、政府による支援が困難となっており、国際機関と連携した支援が必要となっています。

(1)ラカイン州、カチン州および北部シャン州における避難民に対する緊急食糧支援計画(供与限度額10.0億円)
The Programme for Emergency Food Assistance to Displaced Persons in Rakhine, Kachin and Northern Shan States

(事業の背景と必要性)
少数民族地域においては、紛争や自然災害の被害、経済開発の遅れによる貧困等により、多くの人々が食料不足、栄養不良に苦しんでおり、劣悪な環境におかれています。

(事業の目的と概要)
本事業は、世界食糧計画(WFP)と連携し、ラカイン州、カチン州、シャン州において、国内避難民に対して食糧支援を実施することにより、国内避難民の栄養状況の改善を図り、国内避難民の人権状況の改善に寄与することを目的とするものです。本事業により避難民のうち特に女性や妊婦、子供の栄養状況が改善され、また学校への食糧配給により子供の就学率が向上することが期待されます。

(2)ミャンマー南東部、ラカイン州、カチン州および北部シャン州における避難民援助計画(供与限度額3.0億円)
The Programme for Assistance to Displaced Persons in South-east of Myanmar, Rakhine, Kachin and Northern Shan States

(事業の背景と必要性)
ミャンマーでは依然として多くの国内避難民が発生しており、また国籍を与えられていない人々も多く存在しています。避難民や国籍を与えられていない人々の人権状況や生活環境の改善、避難民が帰還できる環境を作るためにも人道的な支援が求められています。

(事業の目的と概要)
本事業は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携し、ラカイン州、カチン州、シャン州において、国内避難民向け仮設住宅建設・基礎インフラ整備をすることにより、避難民キャンプ周辺の生活環境の改善を図り、もって国内避難民の人権状況の向上に寄与することを目的とするものです。これにより避難民キャンプの仮設住宅の状況が改善されるとともに、避難民キャンプ内外の基礎インフラが整備されることが期待されます。

(3)カチン州およびラカイン州における避難民の子供に対する緊急支援計画(供与限度額3.0億円)
The Programme for Emergency Assistance to Displaced Children in Kachin and Rakhine

(事業の背景と必要性)
難民キャンプでは保健・衛生環境が悪く、感染症等の蔓延が懸念されており、国内避難民(特に妊娠中・授乳中の女性や子供)の健康が脅かされています。また、長引く避難生活の中、特に子供を中心に難民キャンプで栄養状態が悪化しています。

(事業の目的と概要)
本事業は国際連合児童基金(UNICEF)と連携し、カチン州およびラカイン州の被災地および難民キャンプの女性や子供に対して、水と衛生、栄養・保健医療分野の施設整備、機材購入、啓発活動等を行うことにより死亡率と罹患率の低減を図り、健康改善に寄与することを目的としています。