ティラワ経済特別区(SEZ)開発への海外投融資供与

−ミャンマー初のSEZ開発、官民連携し企業進出拠点を整備−

2014年4月23日

国際協力機構(JICA)は、4月23日、エム・エム・エス・ティラワ事業開発株式会社(以下「MMST」)、ティラワSEZ管理委員会(Thilawa SEZ Management Committee:以下「TSEZMC」)、およびミャンマ−ティラワSEZホールディング株式会社(Myanmar Thilawa SEZ Holdings Public Limited:以下「MTSH」)との間で、「ミャンマー国ティラワ経済特別区(Class A区域)開発事業」を対象とした、合弁事業契約書に調印しました。本件は、2012年10月に再開されたJICAの海外投融資業務において、初めてミャンマーで実施される事業になります。

本事業は、ミャンマーのヤンゴン市近郊(市街中心部から南東約23キロメートル)に位置するティラワ経済特別区(SEZ: Special Economic Zone、約2,400ヘクタール、 以下「ティラワSEZ」)において、早期開発区域である約400ヘクタール(以下「Class A区域」)を対象に、工業団地開発・販売・運営事業を行うために必要な資金をJICAが海外投融資を通じて支援するものです。

本事業を実施する特別目的会社は、2013年10月にMMST、TSEZMC、MTSHにより設立されたMJティラワ・デベロップメント社(Myanmar Japan Thilawa Development Ltd.:以下「MJTD」)であり、JICAは同社に出資を行います。

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事業スキーム

2011年3月のテイン・セイン政権発足後、ミャンマーでは民主化・市場経済化に向けた急速な進展が見られます。ミャンマー政府は、雇用創出や国民の所得向上を実現する上で海外直接投資の誘致を重視しており、新政権発足後、ミャンマー特別経済地域(SEZ)法の改正(2014年1月)など、投資関連法制の改訂やSEZ開発等に力を入れています。中でも、ヤンゴン都市圏に位置するティラワSEZは、豊富な労働力および市場へのアクセス等が利点となっており、ミャンマー政府は優先的かつ早期に開発を推進する意向を表明しています。またミャンマー政府は、ティラワSEZ開発において、高い技術力を有し、アジア各国のSEZで雇用創出の実績を持つ日本企業の進出を期待しています。

日本にとっても、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーに対する関心は高く、とりわけ同国の市場獲得を巡って、日本企業は世界各国の企業と厳しい競争を繰り広げています。その一方で、ミャンマーへの投資には関心があるものの、電力などのインフラ不足や経済関連の法制の未整備などについて不安を持つ企業が多くあり、ミャンマー政府が期待する日本企業の進出を促すためには、投資環境の改善が大きな課題となっています。

ティラワSEZ開発は、こうした日・ミャンマー両国からの期待や関心に応えるとともに、ミャンマーにおける投資誘致にかかる課題に対処するための両国の協力事業であり、両国政府は、2012年12月に協力覚書を締結し、初期段階から官民を挙げて協力を行ってきました。

今般のJICAによる海外投融資供与は、2013年3月の経協インフラ戦略会議(官房長官を議長とする閣僚級の会合)において、Class A区域開発のための共同事業体への海外投融資による出資の活用を検討する旨の方針が出されたことに基づき、検討されてきたものです。ミャンマーにとって初の大規模SEZ開発となる本事業は、関連法制度やインフラ整備等を含め、ハード、ソフト両面でミャンマー政府よりさまざまな協力を得ながら進めることが不可欠であり、JICAには、海外投融資で出資を通じた資金面での協力に加え、事業に投資家の一員として参加することで、Class A区域開発等においてミャンマー政府との調整を円滑に進めること等の役割が期待されています。

さらに、ティラワSEZ開発に関連して、日本政府とJICAは、技術協力、円借款や無償資金協力を通じて、ティラワSEZ周辺地域の電力、水、通信、道路、港湾などのインフラ整備や、改正SEZ法や同法細則の策定の法制度整備等を支援しており、ODA各スキームで協力を行っています。こうした一連の支援により、ティラワSEZに対する民間投資のボトルネックが解消され、企業の積極的な投資を誘引することが期待されます。

このようなティラワSEZに対する戦略的かつ重点的な支援は、日本政府が「インフラシステム輸出戦略」(2013年5月17日)において打ち出した、「広域開発事業に早期から関与し、投資環境改善や、制度整備支援、海外投融資等の戦略的活用により、わが国企業の活動拠点整備等を推進する」との戦略を具現化するものであり、官民一体となった日本企業の海外展開推進にも貢献することが期待されます。

ティラワSEZ(Class A区域)では、今後、質の高い電力供給や水道システムを兼ね備えた高い水準の工業団地を目指し、2015年の開業を目指して開発が進められていきます。JICAとしても、ミャンマーの最重要課題である製造業の振興や雇用創出など、ミャンマーの社会経済開発のため、引き続き積極的な支援を行ってまいります。


<各社の概要>
MJティラワ・デベロップメント社 (Myanmar Japan Thilawa Development Ltd :MJTD)
ミャンマーでの工業団地造成、販売、運営を行う現地事業会社。株主構成は、日本側 (MMST、JICA)49パーセント、ミャンマー側(TSEZMC、MTSH)51パーセント。

エム・エム・エス・ティラワ事業開発株式会社 (MMS Thilawa Development Co.Ltd.:MMST)
三菱商事株式会社、丸紅株式会社、住友商事株式会社が設立。ミャンマー・ティラワでの工業団地造成、販売、運営を行う現地事業会社(MJTD)の投資会社 。

ティラワSEZ管理委員会(Thilawa SEZ Management Committee:TSEZMC)
ミャンマー経済特別区(SEZ)法に基づき設立された、ティラワSEZの管理等を担うミャンマー政府の機関。ミャンマー・ティラワでの工業団地造成、販売、運営を行う現地事業会社(MJTD)への出資も行う。

ミャンマ−ティラワSEZホールディング株式会社(Myanmar Thilawa SEZ Holdings Public Limited:MTSH)
ミャンマーの民間企業9社が設立。ミャンマー・ティラワでの工業団地造成、販売、運営を行う現地事業会社等への投資会社。