ミャンマー連邦共和国向け円借款契約の調印

−生活の向上・持続的な経済成長のために社会経済基盤整備を支援−

2014年9月5日

国際協力機構(JICA)は、9月5日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピドーにて同国政府との間で、総額631億6,600万円(計4件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

2011年3月に発足したテイン・セイン政権は、民主化、法の支配の強化、国民和解に向けた取り組みに加え、経済改革を続けています。このようなミャンマー政府の努力に対し、わが国は2013年、25年ぶりに新規円借款を供与しました。引き続きミャンマーの改革を後押しし、持続的な発展を支援するべく、今回の円借款の供与により、同国が抱える以下の課題解決に貢献します。

近年、ミャンマーは経済制裁解除や投資・貿易促進の影響もあり、実質経済成長率は6パーセントを超えて推移しています。しかし、運輸交通、上水道等のミャンマーの経済基盤インフラは多くの課題を抱え、持続的な経済成長やさらなる投資促進のボトルネックとなっています。特に、ミャンマーの二大都市を結ぶヤンゴン・マンダレー鉄道は、重要な交通幹線であるものの、老朽化が深刻化しています。ヤンゴン地域は、さらなる経済活動の活発化および都市化が予測されるため、それを支えるために不可欠な上水道施設や物流インフラの整備が急務となっています。

また、ミャンマーでは全国民の約7割が農村部に暮らし、農業開発を通じた農村住民の生計向上および貧困緩和が、国全体の安定的な成長の上での重要な課題となっています。特に、周辺国と比べても灌漑(かんがい)の整備が遅れており、乾期に作付けができないなど、農村住民の生計向上の足かせとなっています。

このような状況を踏まえて今回調印した4件の円借款の特徴は、以下の通りです。

(1)ミャンマーで最も重要な鉄道路線の近代化を支援
ミャンマーには総延長約6,000キロメートルとなる鉄道網があり、中でもヤンゴン・マンダレー線は、ミャンマー最大の都市であるヤンゴンと首都ネピドー、そして第二の都市であるマンダレーを結ぶ最も重要な交通幹線です。一方で、路線や設備の更新が十分に行われておらず、老朽化が進み、年間で約100件もの鉄道事故が発生するなど、安全面で憂慮すべき状況にあります。こうした安全面の問題を解決するとともに、所要時間の短縮や輸送能力を向上させる必要があります。

「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズI(I)」は、ヤンゴン・マンダレー線において、老朽化した鉄道施設・設備の改修・近代化を実施することにより、より安全で高速な列車運行と輸送能力の増強を行い、ミャンマーの経済発展に貢献します。

(2) 上水道を整備し国民生活と経済活動を支援
ミャンマーでは、社会基盤インフラの整備が遅れ、上水道で給水を受けている割合は全国で約8パーセントにとどまり、生活や経済活動の障害となっています。最大の商業都市であるヤンゴン市には、全国の人口の約1割弱が集中していますが、上水道施設は十分に整備されておらず、近年の経済発展に伴う水需要の増加にも十分には対応できていません。

「ヤンゴン都市圏上水道整備事業」では、ティラワ経済特別区(SEZ)を含むヤンゴン都市圏において、上水道施設を拡充することにより、急増する水需要に対応する上水道サービスを改善し、ヤンゴン都市地域の生活環境の改善、および経済発展に貢献します。

(3) 経済特別区(SEZ)が計画されているティラワ地区のインフラ整備を支援
ミャンマーは豊富な労働力やマーケットとしての有望性を見込まれており、ミャンマー政府は、直接投資の拡大やさらなる貿易拡大等による雇用創出・経済発展を目指し、ヤンゴンにてティラワSEZの開発を進めています。今後急速な発展が見込まれるティラワSEZの経済活動や周辺住民の生活を支えるインフラの整備が課題となっており、昨年は港湾ターミナルの整備および電力関連施設の整備を支援する円借款「ティラワ地区インフラ開発事業フェーズI」を供与しました。

「ティラワ地区インフラ開発事業フェーズII」では、ボトルネックとなりうるヤンゴンとティラワSEZ間のアクセス道路を改善・整備することにより、同地区の経済活動や生活の向上・発展に貢献します。

(4)灌漑設備整備によって農村部の国民生活を支援
ミャンマーは広大な土地、豊富な日照量など農業に恵まれた条件があるにもかかわらず、灌漑施設の未整備により、特に乾期に農地を充分に活用できていません。農民の多くは雨期にコメを栽培していますが、これに加えて乾期にコメや豆類などの栽培が可能になることにより、農業を通じた収入の向上が期待できます。

「バゴー地域西部灌漑開発事業」では、年降水量が少ない上に、灌漑率の低いバゴー地域西部において、灌漑施設の整備、改修ならびに必要機材の整備を行い、農業生産を増加させ、ヤンゴンから北西に約250キロメートルに広がるバゴー地域における農民の生計向上およびミャンマー国の経済発展に貢献するものです。

JICAは今後とも、円借款、技術協力、無償資金協力等の多様なODAスキームを一体的に運用しながら、ミャンマーの抱える諸課題の解決に向け、包括的に取り組んでいきます。


(参考)

借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件
本体 コンサルティング・サービス
(1) ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズI(I) 20,000 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(2) ヤンゴン都市圏上水整備事業 23,683 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(3) ティラワ地区インフラ開発事業フェーズII 4,613 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド
(4)バゴー地域西部灌漑開発事業 14,870 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド

(1)ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズI(I)
Yangon-Mandalay Railway Improvement Project Phase I(I)

(事業の目的と概要)
本事業は、ミャンマー第一、第二の都市であるヤンゴン、マンダレーを結ぶ既存鉄道路線のうちヤンゴン・タングー間において、老朽化した施設・設備の改修・近代化を実施することにより、より安全で高速の列車運行と旅客・貨物の輸送能力増強を図り、もって同国の経済発展に寄与するものです。

(事業実施機関)
鉄道運輸省ミャンマー国鉄(Myanma Railways, Ministry of Rail Transportion)
住所:Nay Pyi Taw Central Station, Pobba Thiri Township, Nay Pyi Taw
TEL:+95-1-229144

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2020年9月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付予定時期:2014年10月
(iii)本体工事にかかる国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:土木工事・鉄道システム改良(Civil and Track Work, Installation of Signal & Telecommunication System)、車両調達(Rolling Stock)
予定時期:2016年10月

(2)ヤンゴン都市圏上水整備事業
Greater Yangon Water Supply Improvement Project

(事業の目的と概要)
本事業は、ヤンゴン都市圏において、上水道施設を拡充することにより、急増する水需要に対応する上水道サービスの改善を図り、もって同地域の生活環境の改善および経済発展に寄与するものです。

(事業実施機関)
ヤンゴン市開発委員会水衛生局(Yangon City Development Committee, Water and Sanitation Department)
住所:City Hall, Yangon
TEL:+ 95-1-248-990

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2020年11月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付済(2014年4月)
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:消毒設備パッケージ(Disinfection Facility Package)
予定時期:2015年7月

(3)ティラワ地区インフラ開発事業フェーズII
The Infrastructure Development Project in Thilawa Area Phase II

(事業の目的と概要)
本事業は、ヤンゴンとティラワ地区を結ぶ幹線道路を拡幅・整備することにより、増加する交通需要へ対応し円滑な交通の実現を図り、もって同地区への直接投資の流入の拡大促進、ヤンゴン都市圏の発展及び雇用創出、ミャンマーの経済成長に寄与するものです。

(事業実施機関)
建設省公共事業局(Public Works, Ministry of Construction)
住所:Building No.11, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-4074701

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2018年7月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付予定時期:2014年9月
(iii)本体工事にかかる国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:アクセス道路整備(Improvement of Access Road)
予定時期:2015年11月

(4)バゴー地域西部灌漑開発事業
Irrigation Development Project in Western Bago Region

(事業の目的と概要)
本事業は、バゴー地域において、灌漑施設の整備・改修ならびに必要機材の整備を行うことにより農業生産の増加を図り、もって同地域における農民の生計向上・ミャンマー国の経済発展に寄与するものです。

(事業実施機関)
農業灌漑省灌漑局(Irrigation Department, Ministry of Agriculture and Irrigation)
住所:Building No.15, Nay Pyi Taw
TEL:+95-67-410501

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2018年12月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス招請状送付予定時期:2014年9月
(iii)本体調達に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示予定:
調達パッケージ名:機材(Machinery)
予定時期:2014年12月