中南米における省エネ・再生可能エネルギー事業を投資対象とするファンドに出資

−中南米の気候変動対策に日本の低炭素技術の活用期待−

2014年11月28日

国際協力機構(JICA)は、11月28日、中南米におけるさまざまな省エネ事業や再生可能エネルギー事業に投融資するファンド(MGM Sustainable Energy Fund L.P.、以下「本ファンド」)に関する出資契約書を締結しました。本件は、2012年10月に再開されたJICAの海外投融資業務において、気候変動対策分野で実施される初めての事業(「中南米省エネ・再生可能エネルギー事業」(以下「本事業」))となります。

本事業は、メキシコ、コロンビア、中央アメリカ諸国、カリブ諸国等における、さまざまな省エネ事業や再生可能エネルギー事業を、本ファンドへの海外投融資による出資を通じて支援するものです。本ファンドの総額は現時点では約5,000万ドルであり、JICAはそのうち1,000万ドル出資するものです。その他、米州開発銀行(IDB〈MIF〉)、地球環境ファシリティ(GEF)、欧州投資銀行(EIB〈GEEREF〉)、ドイツ開発公社(DEG)等、主に国際機関・開発機関により組成されます。

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世界銀行の予測では、中南米地域の電力需要は2030年には2倍以上(2008年比)になる見込みであり、この需要に対応するために新規の発電設備容量を大幅に拡大していくことが必要です。他方、気候変動の影響による自然災害の発生や環境問題が顕在化しており、中南米各国は域内経済連携による地域統合の動きと合わせて、国境を越えた地球規模の課題に対して取り組んでいます。電力需要の増大に対応しつつ、気候変動に配慮するため、2030年までに約600TWhの再生可能エネルギーの導入が新たに必要と見積もられています。また、米州開発銀行の2008年の予測によると2018年までに10パーセントのエネルギー効率化により360億ドルのコスト削減が可能とされています。そのため、各国では、気候変動の問題にも配慮しつつ、増大する電力需要に対応する方策として、省エネの推進および再生可能エネルギーの導入が課題となっています。

その一方で、中南米地域においては、省エネ製品等の効果への理解が進んでおらず、また、事業化のノウハウ不足、資金不足等が制約となり、省エネや再生可能エネルギーにかかるプロジェクトの普及が限定的なものとなっています。そのため、本事業では、本ファンドの有する技術面および金融面の専門的知見をこれらの課題を解決するために活用し、中南米地域において、さまざまな省エネ事業及び再生可能エネルギー事業を支援するものです。このうち、本ファンドが投融資を行う省エネ事業としては、当該地域の商業施設・ホテル・中小規模工場等を相手とし、省エネ機器の利用とともに施設全体としての省エネ提案を行いつつ、省エネ機器のリースを行う事業などが想定されています。同様に、本ファンドが対象とする再生可能エネルギー事業としては、主に比較的小規模な太陽光発電事業などが想定されています。これらの取組みを通じて、中南米地域において、省エネ技術の効果等の理解を促進しつつ、省エネ・再生可能エネルギーへの取り組みの裾野拡大につながることが期待されます。

また、本事業では、日本企業の有する耐久性およびエネルギー効率の高い技術(太陽光パネル、空調施設等)が活用されることが期待されています。日本は省エネ・再生可能エネルギー分野で優れた技術を有しつつも、中南米地域における日本の製品の利用は限定的な状況です。本事業を通じた日本技術の利用がショーウィンドー効果となって、当該地域における日本の技術を活用した省エネ・再生可能エネルギーの利用拡大につながり、ひいては気候変動対策がより一層促進されていくことが期待されます。

日本政府は、省エネ・再生可能エネルギーを含む気候変動対策への支援を当該地域における重点課題としており、本事業は、日本政府が2013年11月に策定した攻めの地球温暖化外交戦略「Actions for Cool Earth: ACE」の中で表明した気候変動分野における途上国支援策を具体化する事業の一つとなるとともに、官民一体となった日本企業の海外展開にも貢献することが期待されます。