ウクライナ向け円借款契約の調印

−首都キエフで唯一の下水処理場の再建に貢献−

2015年6月15日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、6月15日、ウクライナの首都キエフにてウクライナ政府との間で「ボルトニッチ下水処理場改修事業」を対象として、1,081.93億円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

ウクライナでは、2014年2月の政権交替以降、分離派勢力との対立やエネルギー問題の長期化により、経済状況が悪化しています。2014年の実質GDP成長率はマイナス6.9パーセントとなり、更に鉱工業生産をはじめとした各産業の落ち込みも懸念され、2015年にはマイナス7.5パーセントまで落ち込むという予測がされています。

そのような情勢を踏まえ、日本政府はウクライナ安定化のための支援を表明してきており、本事業は、2014年3月にハーグで開催されたG7首脳会合の場において、安倍首相より発表された最大1,500億円の対ウクライナ支援策の中核として実施されるものです。

ウクライナ政府は、ソ連時代に建設され老朽化したインフラ施設の対策を目的として、2004年に「国家再生開発計画」を発表し、各地方自治体に設置されているインフラ施設の再生計画策定及び早期の事業実施を推進しています。

ボルトニッチ下水処理場は首都キエフ及び周辺都市の下水処理を一元的に行っていますが、1960〜80年代に建設されたため、施設躯体の老朽化が進んでおり、機械・電気設備の多くは耐用年数を過ぎています。また、汚泥処分場がほぼ満杯になっていることから、減容化のために必要な汚泥焼却炉等の施設整備が緊急の課題となっています。さらに下水処理場からの悪臭に対し、近隣住民から苦情が寄せられ、汚泥処分場の堤防欠損による汚泥流出事故も発生している状況です。

本事業では、ボルトニッチ下水処理場の水処理施設、汚泥処理施設、汚泥焼却施設の新設・改修を行うことにより、キエフ市の下水処理の改善を図り、同市民の衛生環境・居住環境改善に寄与することを目的としています。周辺住民から期待の高い悪臭対策は、本事業の各コンポーネントに含まれており、特に水処理(一次処理)施設と汚泥処理施設は覆蓋し、建屋に収められ、さらに脱臭設備も導入される予定です。

また、本事業は、本邦技術活用条件(STEP)適用事業として実施され、水処理から発生する汚泥を濃縮するベルト濃縮機や、濃縮汚泥を脱水するスクリュープレス脱水機、汚泥を焼却する改良型流動焼却炉等で、日本の省エネルギーや環境負荷低減に優れた技術が活用されることが期待されています。

(参考)

1. 借款金額及び条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件
本体 コンサルティング・サービス
ボルトニッチ下水処理場改修事業 108,193 0.10 (注) 0.01 40 10 日本タイド

(注)本邦技術活用条件(STEP)を適用

2.事業実施機関
キエフ市上下水道公社(Kyivvodokanal)
住所:1A Leiptsyzka St., Kyiv, UKRAINE
TEL/FAX +380-044-280-5757

3.今後の実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成時期:
   2022年9月(施設供用開始時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:
   2016年1月
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
   調達パッケージ名:水処理施設、汚泥処理施設、汚泥焼却施設他
   予定時期:2017年1月

4.JICA情報提供窓口
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構中東・欧州部欧州課ウクライナ担当
住所:〒102-8012東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル
TEL:03-5226-6846
FAX:03-5226-6365