ネパール向け無償資金協力贈与契約の締結:病院の再建や橋梁整備によりネパール地震被災地域の復旧・復興を支援

2016年2月18日

清水勉JICAネパール事務所長(左)とバイクンタ・アリアル財務省国際経済協力調整局長

国際協力機構(JICA)は、2月17日、ネパール政府との間で「ネパール地震復旧・復興計画」を対象として40億円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)に締結しました。

本事業は、カトマンズ盆地における国立ビル病院およびパロパカール産婦人科病院の再建、最大の被害を出したシンドパルチョーク郡における導水管の再建、震央であるゴルカ郡における橋梁の整備を行うことにより、公共サービスの復旧・復興や、被害が甚大な北部山岳地域への公共サービス提供の強化を通じ、今後発生する災害への備えともなる「より良い復興(Build Back Better)」の実現を図るものです。

2015年4月25日、首都カトマンズ北西約80キロ(ゴルカ郡)を震源とするM7.8の地震が発生し、またその後も5月12日にマグニチュード7.3の余震が発生しました。本震及び余震により、死者が8,702人、負傷者22,303人、全壊家屋約498,852戸、半壊家屋約256,697戸の被害が出るなど、激甚災害となりました(災害後ニーズ調査)。

世界銀行、EU、国連開発計画、JICA等の支援を受けて、ネパール政府が行った災害後ニーズ調査(Post Disaster Needs Assessment:PDNA)によれば、総被害額は、7,065億ネパールルピー(約8,689億円)、総復旧復興額が6,695億ネパールルピー(約8,235億円)となり、また、アジア開発銀行(ADB)もネパールの2014/2015年度(2014年7月〜2015年7月)の実質GDP成長率予測値を0.8%下方修正し3.8%とするなど、同国経済への影響も報告されています。

今回の地震被害に対し、日本政府は、第3回国連防災世界会議(3月,仙台)で採択された「より良い復興(Build Back Better:BBB)」のコンセプトに基づき、単に震災前の状態に戻すのではなく、震災前に比してより強靱な復興を実現する支援を行っていく方針です。

本事業では、JICAが地震発生直後に「ネパール地震復旧・復興プロジェクト」(開発計画調査型技術協力・ファストトラック制度適応案件)を通じて喫緊に支援が必要とされた以下の4つのサブプロジェクトを支援します。

・国立ビル病院の再建(カトマンズ)
国立ビル病院に4棟ある病棟のうち、唯一全壊判定を受けた築約50年の第3病棟の再建(約3,100平方メートル)を行うものです。カトマンズ盆地における最大かつ最古の公的なトップレファラル病院(最高次レベルの医療サービスを提供する病院)であり、カトマンズ盆地のみならず、ネパール国全土からの利用が想定されています。

・パロパカール産婦人科病院の再建(カトマンズ)
上記の国立ビル病院とともに、カトマンズ盆地におけるトップレファラル産婦人科専門病院の再建(約5,400平方メートル)を行うものです。カトマンズ盆地のみならず、ネパール全土からの妊産婦を受け入れているため、多くの住民に直接裨益する施設の復旧となります。ジェンダーや弱者支援の観点からも必要性の高いものです。

・チョータラにおける導水管の再建(シンドパルチョーク)
シンドパール郡チョータラ市において破損した導水管の再建を行うものです。チョータラ市への給水システムは3つの水源から構成されており、それぞれの水源からチョータラ市近郊に建設されている浄水場に導水管が接続され、市内へ送水されています。今回の地震で導水管が破損し漏水が多く発生していることから、早期の復旧が期待されています。本サブプロジェクトでは、耐震性のあるダクタイル管を用いた再建(約20km)を行うことを想定しています。

・ゴルカ〜バルパック道路の橋梁建設(ゴルカ)
ゴルカ郡の郡都ゴルカバザールと、ゴルカ郡北部の拠点となるバルパック村を繋ぐ道路において、渡河地点に約30m〜50mの3橋梁と、同道路から震源地であるサウラパニ村へ通じる道路の渡河地点に約134mの1橋梁を建設するものです。ゴルカ郡北部の拠点となるバルパック村と郡都ゴルカバザールを結ぶ道路はもともと脆弱で、今次の地震で新たに発生した土砂災害や、橋梁等の渡河構造物がない複数の渡河地点の存在により、雨期の通行に大きな支障が出ています。本支援により、本路線の通年通行を可能とし、ゴルカ郡北部地域の復興、公共サービスのアウトリーチ強化に貢献します。

また、上記支援に加えJICAは、2015年12月21日に借款契約を締結した円借款「緊急学校復興事業」及び「緊急住宅復興事業」を通じ、最も被害の大きかった住宅、学校の再建を支援しています。

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