モロッコ向け円借款契約の調印:インクルーシブな農業振興を通じ、経済成長・社会安定化に貢献

2016年3月7日

署名を取り交わす戸島モロッコ事務所長とブーサイド経済・財政大臣

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国際協力機構(JICA)は、3月4日、モロッコ国の首都ラバトにてモロッコ政府との間で「緑のモロッコ計画(農業セクター改革)支援プログラム」を対象として163億4700万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

モロッコにおいては、農業セクターがGDPの13%、輸出の11%、就業労働人口の25%(約300万人)を占めており、同国経済にとって重要なセクターとなっています。しかし、農業従事世帯の多くは、小規模農家で天水に依存する農業を営んでおり、干ばつ時には収穫量が通常の50%程度に落ち込む等、生産高が不安定な状況です。また、これが、GDP成長率にも大きく影響を与えています。さらに、同国の貧困層の4分の3が地方農村部に居住しており、都市部住民との収入格差が生じています。このような状況の下、地方農村部での雇用創出を含むインクルーシブ(包摂的)な農業振興が必要とされています。

このような状況下、モロッコ政府は、2020年を目標年とする「緑のモロッコ計画(Plan Maroc Vert:PMV)のもと、(I)農業の近代化による高付加価値・高生産農業の育成、(II)小規模農家の経済システムへの参加促進のための改革を進めています。

本プログラムは、PMVの中の政策目標(II)を推進すべく、一般財政支援の形態で借款を供与する、政策改革支援型の円借款です。実施にあたっては、「農業セクターの持続可能な成長」及び「農業セクターのバリューチェーン強化とインクルーシブな開発」に関連する政策アクションを設定し、これらのアクションの達成を確認した上で、円借款を供与します。上記アクションの実現を後押しすることにより、農業セクターにおいて若年層、女性、小規模農家の経済参画を促すインクルーシブな農業振興を図り、同国の持続的な経済成長及び社会的安定の実現を目指します。また、本プログラムは、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(Accelerated Co-Financing Facility for Africa (ACFA))」に基づくアフリカ開発銀行との協調融資スキームにて実施されます。

JICAはこれまで同国の農業セクターに対し「国家農業信用計画」(円借款)及び「アブダ・ドゥカラ灌漑事業」(円借款)を供与した他、無償資金協力、技術協力、ボランティア派遣等を実施しています。現在は、点滴灌漑の普及等を支援する「アブダ・ドゥカラ灌漑地域における灌漑システム向上プロジェクト」(技術協力)を実施中です。本プログラムの政策アクションには、同プロジェクトの成果である「節水及び農業水利組合の能力強化に係るマニュアル」の承認等を設定することで、JICAは複数の協力スキームを戦略的に活用し、農業セクター改革の促進を図っていきます。

(参考)
1.借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件
本体 コンサルティング・サービス
緑のモロッコ計画(農業セクター改革)支援プログラム 16,347 0.25 - 30 10 -

2.事業実施機関
農業・海洋漁業省(農業部門)(Ministry of Agriculture and Maritime Fisheries (Department of agriculture))
住所:Boulevard Mohammed V, Quartier Administratif - BP 607, Rabat-Chellah, Maroc
TEL:+212-537-66-54-95

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:2016年12月(貸付完了時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービス:本事業においては、コンサルタント雇用は予定していません。
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:本事業においては、入札を伴う工事は想定されていません。