5S-KAIZENを適用した病院改善アプローチとザンビア授業研究がDAC賞ファイナリストとして表彰:革新的な取組みとスケールアップの可能性を評価

2016年3月11日

表彰状を受け取る坪池OECD代表部一等書記官(左から2番目)と武藤JICAフランス事務所長(右から2番目)

3月9日(現地時間)、パリの経済協力開発機構(OECD)本部にて、日本政府から提出したJICAの取組み2件がDAC賞ファイナリストとして表彰されました。表彰されたのは、5S-KAIZENを適用した病院改善アプローチとザンビアの授業研究(同国「授業実践能力強化プロジェクト」)です。なお、表彰に先立ち、武藤JICAフランス事務所長が発表を行いました。

DAC賞は、開発途上国に広く適用できる革新的な取組みを表彰するため、2014年にOECDの開発援助委員会(DAC)が設立しました。今回の2件は、他の8件とともにファイナリストとして表彰されました。なお、前回(2014年)は、パキスタンのポリオ撲滅事業がファイナリストとして表彰されています。

5S-KAIZENを適用した病院改善アプローチは、日本の製造業で発展したシンプルかつ低コストの品質管理手法を、病院の運営やサービスの改善のために導入した点が革新的と評価されました。指示や命令ではなくチームワーク下での自主的な業務環境改善を促し、目に見える成果を積み重ねることで、やる気や自信が引き出され、ひいては病院サービスの質や効率性・安全性の向上に繋がります。例えば、同アプローチを取り入れているプロジェクトの一つであるタンザニアの「保健人材開発強化プロジェクト」では、患者の待ち時間43%減少、静脈内挿管による静脈炎発症52%減少、保険の申請プロセス改善による保険還付金の倍増などの効果が発現しました。現在は、タンザニア全国の67の病院に加え、他の21ヶ国の約500の保健施設にて同様の取組みが行われています。なお、この病院運営強化のための5S-KAIZEN-TQM活動により、2013年、タンザニア保健福祉省は、国連南南協力ソリューション賞を受賞しています。

ザンビアの授業研究は、日本のお家芸ともいわれる「授業研究」(教員同士が協力して授業について学び合うもの)を学校に導入することにより、同国の教育の質を改善していく取組みです。取り組みを通してザンビアの学校に「Learning Community」(学び合う先生たち)という文化が生まれたことに革新性があります。授業の質が改善されて、生徒が授業に能動的に参加するようになり、その結果、授業研究を導入した州の試験合格率は未導入の州を12〜19%上回るようになりました。2005年に1州で開始された取組みは、2011年には全10州かつ全教科に拡大され、現在はアフリカの他の国々へ普及する取組みも開始しつつあります。

今回の表彰は、日本の経験が基となった新しい取組みが開発途上国の課題の解決に貢献すること、さらにこの取組みが国内の特定の地域だけではなく国全体や他国にも適用可能であることについて評価を受けたものです。JICAはこのような取組みを一層進めていきます。