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アジア諸国向け金融包摂促進ファシリティ(Facility for Accelerating Financial Inclusion in Asia:FAIA)の創設(海外投融資):アジアの開発途上国の金融アクセスを改善し女性・低所得者・中小零細企業等のエンパワーメントを推進

【SDGsロゴ】貧困をなくそう

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【SDGsロゴ】働きがいも経済成長も

2020年3月27日

ミャンマーで小売店を営む女性

カンボジアで物流業(農産品の集荷)を営む女性

インドで酪農業を営む女性

国際協力機構(JICA)は、3月24日、海外投融資の取り組みの一環として5億米ドルを上限とする融資枠である「アジア諸国向け金融包摂促進ファシリティ」(Facility for Accelerating Financial Inclusion in Asia:FAIA)を創設しました。

本ファシリティは、2019年11月の第22回日・ASEAN首脳会議で安倍首相が発表した「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」(*)の柱の1つとして、「ASEAN地域等の金融アクセスを改善し、女性・低所得者・中小零細企業等のエンパワーメントを目的とした同地域の金融機関への融資を行う」としていることを踏まえて創設したものです。本ファシリティの創設は、JICA海外投融資として初となる特定開発課題に対する融資枠を設定する取組です。

【ファシリティ創設の背景】
開発途上地域では2030年までに新たに6億人の雇用が必要とされ、うち40%が中小零細企業(Micro, Small and Medium Enterprise:MSME)による雇用と推計されています。MSMEは開発途上地域のGDPの4割に貢献し、労働人口増加の吸収の受け皿として機能しています。しかしながら、開発途上地域のMSMEが必要とする資金と供給のギャップは4.5兆米ドル以上とされ、ASEAN地域を中心にMSMEの資金調達のニーズは引き続き膨大しています。
また、全世界では金融機関に口座を有さない成人が低所得者層を中心に依然として約17億人存在し、多様な金融サービスの普及を通じた貧困削減も課題とされています。
さらに、開発途上地域のMSME所有者のうち、女性の割合は約2割にとどまり、口座を有さない成人(約17億人)のうち約10億人が女性と推計されている中、女性の経済的エンパワーメントの観点からも金融包摂(注1)は重要な課題です。
2010年に開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議では「金融サービスへのアクセスを開発途上地域における個人及び中小企業に拡大することの決定的な重要性」が確認されました。また2018年のG7サミットでは、各国の開発金融機関が「2X Challenge: Financing for Women」(注2)を採択し、女性の経済的エンパワーメントに対して2020年までに30億ドルの資金動員を図るとされています。

【ファシリティの概要】
①MSME、②低所得者層、③女性 のいずれかへの金融アクセスの改善に寄与する事業を行うASEANを含むアジア開発途上国の地場金融機関に対して、一定の信用力かつ一定年数以上の当該事業分野の実績を有すること等を条件に、融資枠の範囲内で迅速な融資の実施を目指します。

ファシリティ総額:5億米ドルを上限とする融資枠
個別案件の融資額:金融機関に対する貸付1件あたり1億米ドルを上限
融資条件:通常の海外投融資の融資条件を適用
協調融資:開発金融機関又は国際的な業務実績の豊富な民間銀行との協調融資を前提とする
実施期間:ファシリティ創設から3年間

金融アクセスの改善は、開発途上地域における課題の一つであり、SDGs(持続可能な開発目標)においても、ゴール1及び8にそれぞれ「マイクロファイナンスを含む金融サービスの確保」及び「金融サービスへのアクセスの改善」が掲げられています。更に、本取組はSDGsゴール5に掲げられている「ジェンダー平等の実現」にも資する、女性の活躍推進のための取組です。JICAは本ファシリティを通じて開発金融機関や民間セクターと連携しながら、ASEAN地域を中心に女性・低所得者・中小零細企業の金融アクセス改善を支援してまいります。


(注1)金融包摂とは、「全ての人々が、適切な価格で簡便に、また尊厳を持って質の良い金融サービスにアクセスし、利用が促進されること」を指し、SDGsの目標1「貧困撲滅」における主要指標の一つ。

(注2) 「G7 2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス」イニシアティブは、G7各国の開発金融機関が、自らの資金提供を呼び水に民間の投資を促進することで、2020年までに30億ドルの資金を動員することを目指すもので、女性の起業家やビジネス・リーダーの育成、労働市場への参入促進といった女性の経済的なエンパワーメントを促進しようとするもの。2Xは、女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示す。