JICAが出資する信託基金“LEAP”を通じた支援(海外投融資):アジアの開発途上地域における持続可能なインフラ事業への出融資を行う金融機関への出資

2020年9月18日

アジア開発銀行(ADB)が、JICAが出資する『アジアインフラパートナーシップ信託基金 (“Leading Asia’s Private Infrastructure Fund”: LEAP)』を活用し、9月17日、シンガポールに本部のあるClifford Capital Holdings(CCH)への出資契約に調印しました。ADBからの出資には、ADBの直接出資5,000万米ドルとJICA・LEAPによる出資4,500万米ドルが含まれています。

CCHは、インフラ事業等の案件形成、既往融資債権の証券化、投資管理機能を有する複数の関係会社を持つ企業であり、アジアにおける持続可能なインフラ事業の資金ギャップの解消を事業目的のひとつとしています。CCHへ出資し、同社の将来成長計画を支援することで、アジアの開発途上地域での持続可能なインフラ事業を支援します。本事業は、2019年11月4日の日ASEAN首脳会議において発表された「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」に資するものです。

アジアにおけるインフラ事業の大部分は公的セクターによって支援されていますが、同地域のインフラ資金需要に対応するためには公的セクターによる支援だけでは十分ではありません。新型コロナウイルス感染症への対応により、多くの公的資金の活用が求められる現状においては、民間資金の活用がより重要であり、インフラ資金需要の資金ギャップを埋めるためにCCHによるインフラ向け融資債権の証券化等の革新的な取り組みが有効と考えられます。

LEAPは2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及され、アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うものです。JICAは2016年3月にLEAPに対して15億ドルの海外投融資による出資を承諾しました。LEAPは、アジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたります。

JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していきます。