JICAが出資する信託基金“LEAP”を通じた支援(海外投融資):アジア諸国における海洋汚染対策に向けたブルーローンの供与

2020年11月25日

ペットボトルのリサイクルのイメージ

11月24日、JICAが出資する『アジアインフラパートナーシップ信託基金 (“Leading Asia’s Private Infrastructure Fund”: LEAP)』を活用し、アジア開発銀行(ADB)がアジア諸国におけるプラスチックリサイクル事業への融資契約に調印しました。

本事業は、インド、インドネシア、フィリピン及びタイにおいて、プラスチックの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)のリサイクル事業に対して長期融資を供与するもので、国際的なガイドラインに基づいて認証された、JICA初の民間事業者に対するブルーローン(*)になります。本事業は、2019年11月4日の日ASEAN首脳会議において発表された「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」に資するものです。

本事業では、タイに拠点をおく世界最大級のPET製造業者であるIndorama Venture GroupのIndorama Ventures Public Company Limited(IVL)がプラスチックリサイクル事業を行います。プラスチックごみの80%以上は海に流出しており、海洋汚染に対する年間経済損失は130億ドルに上ると言われています。本事業は、IVLのプラスチックリサイクル設備を拡充することで、プラスチックごみの削減及び循環型社会の形成を推進させるものです。

LEAPは2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及され、アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うものです。 JICAは2016年3月にLEAPに対して15億ドルの海外投融資による出資を承諾しました。LEAPは、アジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたります。

JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していきます。


(*)ブルーローンは、海洋環境保全等に資する事業に提供される融資です。グリーンローン原則及びBlue Natural Capital Financing FacilityのBlue Bondに関するガイドラインに基づいて認証されたものです。