海外経済協力基金プレスリリース

借款金額及び条件

2.事業概要

(1)メトロマニラ大都市圏交通混雑緩和事業(高架鉄道2号線建設)事業 (II)

Metro Manila Strategic Mass Rail Transit Development (LRT Line 2)Project (II)

主に道路に依存しているメトロマニラ大都市圏(17市町、面積636km2、人口791万人;東京23区は613km2、816万人)の都市交通事情の改善を図るため、公共鉄道としてメトロマニラを南北に結ぶLRT(軽量高架鉄道)1号線が建設され、84年12月から営業を開始している。しかし、近年の経済の活性化に伴うメトロマニラの交通混雑は限界に近づいており、道路交通の悪化に対処するため、95年12月よりメトロマニラ内への自動車の乗り入れ制限が開始された。かかる交通事情の中で、バス、ジープニーに替わる公共交通手段の早期完成が求められており、2〜6号線を含む鉄道ネットワークの建設計画が推進されているが、特にマニラ南北を結ぶ1号線に連絡し、郊外への通勤線としてマニラ東西を結ぶ2号線の建設が急務である。また、93年にラモス大統領により選定されたフラッグシップ・プロジェクト(最優先事業)にも含まれていることから、早期の実施が期待されている。

本事業は、上記2号線として、LRT1号線の中間に位置するドロテオ・ホセ駅に隣接したレクト駅から東方にマグサイサイ通りを通りクバオにてエドサ通りと交差、更にアノナス〜カティプナン間で環状5号道路と交差してサントランの車両基地に至る約14kmの重量高架鉄道を建設し、道路交通の混雑緩和と都市環境の改善を図らんとするものである。全線開通は2000年の予定で、朝夕のピーク時には列車は4両編成・3分間隔で運行される。これにより1日57万人もの乗客を運ぶことができ、早くて正確、かつ快適な交通手段として、主な利用層である通勤客を中心に利用者には大変歓迎されよう。

借款資金は、高架、駅舎、線路、車両、電気・通信施設等の鉄道関連設備及びコンサルティング・サービス等に充当される。

事業実施機関は、軽量鉄道公社(Light Rail Transit Authority: LRTA、住所:Administration Building, LRTA Compound, Aurora Blvd., Pasay City, Philippines, TEL:63-2-832-0423, FAX:63-2-831-6449)である。

(2)バタンガス港開発事業(II)(E/S)

Engineering Services for Batangas Port Development Project (PhaseII)

比国経済発展に伴い、マニラ港は今後外貿コンテナ貨物の取扱量急増に伴う処理能力不足が懸念されるが、拡張の土地確保は困難な状況である。また、メトロマニラの中心部に位置するマニラ港までの陸上輸送は、市内の恒常的交通渋滞のため極めて非効率であると共に、それ自体が渋滞を悪化させる一因となっている。メトロマニラを中心とした比国の物流効率化を図り、更には、バランスのとれた国土開発を推進するためにも、マニラ港の代替・補完港の整備が不可欠となっている。

本事業は、マニラ近郊の工業地帯であるカラバルソン地域の要として、またビサヤス・ミンダナオ地域への玄関としてマニラ港の代替・補完港に最も適しているバタンガス港を国際貿易港として整備するために、エンジニアリング・サービス(E/S)を実施するものである。事業実施に際しては、バタンガス港の開発が地域の社会・経済状況に与える影響に鑑み、適切な地域開発計画の策定や地域住民の生活・生計向上施策検討等社会的側面への十分な配慮が必要である。本事業では、E/Sに直接たずさわるコンサルタントと合わせ、地元との仲介機能を果す比国有識専門家及びその補助を行うNGOを活用することで、将来のバタンガス市の開発計画、移転住民を含むバタンガス市民の生活・生計向上に十分な配慮を行う。

本事業は、85年12月に国際協力事業団(JICA)によって作成されたバタンガス港開発のマスタープラン(第I期〜第IV期)に基くもので、バタンガス港開発事業(第I期:91年7月借款契約締結:5,788百万円)に引き続き実施されるものである。

借款資金は、コンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、フィリピン港湾公社(Philippine Ports Authority: PPA、住所:Muelle de San FranciscoStreet, Gate 1 South Harbor, Manila, Philippines、 Tel:63-2-530-0875、Fax:63-2-530-1199)である。

(3)社会改革支援地方港湾開発事業

Social Reform Related Feeder Ports Development Project

比国の貧困比率は改善しつつあるが、依然として約4割の人々が貧困層に止まっている。貧困層とそれ以外の階層との格差の是正を図るため、比国政府は1994年に、社会改革アジェンダ(SocialReform Agenda: SRA)を発表、再重要課題として貧困撲滅に取り組んでいる。

7,100以上の島から構成される島嶼国家比国では、海運の果たす役割は大きく、貨物輸送の35%/115百万トン(うち内国貨物56%)、旅客輸送の8%/36百万人を運輸セクターの中で分担している(1993年現在)。海上輸送量の成長率の経緯をみると、80年代前半の停滞期を経て、1987年から伸びはじめ、1986年〜1990年で年15%程度を示している。比政府では今後2010年まで海運セクターについて、旅客・貨物取扱量が年平均5%増加すると予想している。

上記のような背景により、本事業は小規模港湾事業(88年1月借款契約締結: 2,090百万円)に引き続き実施されるものである。

本事業は、他地域との連絡が主に海運のみの孤立した地域において、港湾及び港湾へのアクセス道路等の関連インフラの整備を行い、経済活動の活性化を図ることによって、SRAの最重要課題の一つである地方貧困層(農民・漁民等)の貧困撲滅を図らんとするものである。また、コンサルティング・サービスにより、地方政府の港湾運営能力強化、実施機関の地方港湾整備に関する計画立案・実施能力強化が図られる。

借款資金は、上記土木工事及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、運輸通信省(Department of Transportation and Communications: DOTC、住所: 12FPhilcomcen Bldg., Ortigas Ave., Pasig City, Philippines、Tel: 63-2-631-8666、 Fax:63-2- 631-6239)である。

(4)日比友好道路修復(ミンダナオ島区間)事業 (I)

Philippine - Japan Friendship Highway Mindanao Section RehabilitationProject (I)

日比友好道路は79年に完成(総延長約2,100km)、ルソン・ビサヤス・ミンダナオの3地域を南北に縦貫する比国随一の幹線道路として経済的、社会的に大きな役割を果たしてきたが、建設後17年を経過し、交通量の増大や自然災害により急激な道路損傷が進行している(コンクリート舗装の寿命は通常約20年)。比国における流通の大動脈である日比友好道路の機能を回復し、その安全性を確保するためには、大規模な増強、改良工事が必要となっている。

本事業は、上記日比友好道路のうちミンダナオ島のタボンタボン−サンフランシスコ間、ラングキラアン−モンカヨ間、タグム−カルメン間の各区間の修復、改良工事(約97km)を行うものである。(日比友好道路ミンダナオ島区間についてはJICAによりF/S・詳細設計が実施されている。)また、本事業のコンサルティング・サービスで実施機関の各地方事務所における維持管理体制の見直し及び改善策の提言、国道の現況調査及び維持管理計画の策定支援を実施し、増強・改良工事完了後もフィリピン側が独自に良好な道路状態を維持していけるよう図る。

本事業により、ミンダナオ島の大動脈である日比友好道路において安全で効率的な交通が確保されることになる。ミンダナオでは96年9月の和平協定後、一層の経済活動の拡大が見込まれているが、本事業がこれに大きく貢献することはまちがいない。

借款資金は、道路の修復、改良及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、公共事業道路省(Department of Public Works and Highways :DPWH 住所:BonifacioDrive, Port Area, Manila, Philippines, TEL:63-2-527-4807 FAX:63-2-527-5635)である。

(5) 第2マクタン橋(II)及びメトロセブ道路整備事業

Second Mandaue - Mactan Bridge (Phase II) and Metro Cebu Road Project

比国第2の経済都市圏であるメトロセブ(面積約8万ha、人口約120万の地域)は、マクタン空港及びマクタン輸出加工区等を核として発展し、フィリピン成長の牽引役となっている。これに伴い、マクタン島とセブ島を唯一繋ぐ第1マクタン橋の交通量は、近年急増(年15%増)している。しかし、同橋は、90年の船舶衝突事故による損傷と過度な交通量により耐久力が低下、交通需要に対応できない状況にあり、第2マクタン橋(4車線)新設と第1マクタン橋修復が緊急の課題となっている。他方、セブ市中心部の交通混雑も著しく、セブ市北部とメトロセブ南部を結ぶ迂回道路、セブ市南部に整備される埋立地(330ha、輸出加工区が設置される計画)へのアクセス道路建設が必須である。

本事業は、セブ・マクタン島間の交通の安全性・効率性改善を目的とする第2マクタン橋の整備、第1マクタン橋の修復、及びメトロセブ都心の交通混雑緩和を目的とする海岸道路タリサイ区間の建設により、メトロセブ地域経済・フィリピン経済の発展を図るものである。第2マクタン橋が完成すると、マクタン空港・マクタン輸出加工区からセブ市中心部との間の移動時間は大幅に短縮される見込みで、メトロセブの経済活動の拡大に大きく寄与するであろう。なお、第1・第2マクタン橋の維持・管理費の一部について有料化を図る予定であり、コンサルティングサービスの中で料金の適正水準・徴収体制等について検討を行う。

本借款は、第2マクタン橋建設事業(93年8月借款契約締結: 6,872百万円)、メトロセブ開発事業(III)―海岸道路(95年8月借款契約締結: 18,391百万円)、メトロセブ開発事業(III)―埋立て(95年8月借款契約締結:12,315百万円)に引き続き供与されるものである。

借款資金は、セブ・マクタン島間の橋梁建設・修復及び海岸道路タリサイ区間整備のための土木工事、コンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、公共事業道路省(Department of Public Works and Highways: DPWH、住所: BonifacioDrive, Port Area, Manila, Philippines、Tel:63-2-527-4807、Fax:63-2-527-5635)である。

(6)北ネグロス地熱開発事業

Northern Negros Geothermal Project

全エネルギー消費量の約70%を輸入原油に依存している比国では、国産エネルギー資源開発がエネルギー政策上の最重要課題の一つである。国産エネルギーの開発は、全電力消費量に占める国産エネルギー利用の比率を、2005年までに50%以上とすることを目標に進められており、これまで地熱、水力、国産石炭、天然ガスの開発が行われてきた。特に、地熱開発は火山国である同国特有の資源として比側も積極的に進めており、1995年末現在、地熱発電所は全発電設備容量9,700MWの内およそ12%の1,150MWを占めている。今後も2005年までに、本事業を含めた940MWが新規に開発される予定である。

本事業は、国産エネルギーである地熱資源をベースロードとして開発し、旺盛な電力需要増を示すビサヤス系統に安定した電力を供給することを目的に、ネグロス島北西部西ネグロス州の地熱資源を開発し、地熱井の掘削、蒸気輸送・還元設備の調達・据付、40MWの発電所の建設を行うものである。

借款資金は、上記の通り、地熱井の採掘及び蒸気輸送・還元設備の調達・据付、40MW地熱発電所建設及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、フィリピン石油公団エネルギー開発公社(Philippine National Oil Company-Energy DevelopmentCorporation:PNOC-EDC、住所: Merritt Road, Fort Bonifacio, Makati City, Philippines、Tel:63-2-893-1320、 Fax:63-2- 815-2747)である。

(7)レイテ−ボホール連結送電線事業

Leyte-Bohol Interconnection Project

比国では一時の電力危機を乗り切ったものの、順調な経済発展による高い電力需要の伸張が今後とも予想され、継続的な発電・送変電設備の開発が必要とされる。他方、より信頼性の高い電力供給の達成は重要な課題の一つであり、その一環として主要な島々を送電線で連結し、国全体を一つの系統とする計画が進められている。このうち、ルソン−サマール−レイテ等の連結送電線は既に完成済ないし建設中であり、残る未着工の主要ルートはレイテ−ボホール、レイテ−ミンダナオの2ルートとなっている。

ボホール島は世銀が指定している貧困州の一つであり、同島住民の所得水準引き上げのため、比国政府及びボホール州政府は内外企業の誘致を進めている。ボホール島の開発、企業誘致には、企業進出による電力需要の増加に対応する電力供給の安定確保が急務である。

本事業はレイテ島南岸とボホール島東岸の間に連結海底送電線を敷設し、併せて両岸において関連地上送電線・変電設備の建設等を行うものであり、レイテ島の豊富な地熱資源を利用したボホール島への電力安定供給を行うとともに、コンサルティング・サービスによりレイテ島南部とボホール島における電力供給系統の信頼度を向上させるなど、ビサヤス系統の電力網整備を行う。

借款資金は、送変電設備建設及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、国家電力公社(National Power Corporation: NPC、 住所: Quezon Avenue cor. AghamRoad, Diliman, Quezon City, Philippines、 Tel: 63-2- 921-3450、Fax: 63-2-921-2468)である。

(8)ルソン系統民活支援送電線事業

Luzon Grid Transmission Projects Associated with Private Power Projects

比国では順調な経済発展による高い電力需要の伸張が今後とも予想され、継続的な発電・送変電設備の開発が必要とされる。比国での発電所開発は民間の参入が相次いでいるが(1995年末現在の全発電容量9,700MWのうち、民間所有のものは約34%の3,400MWを占める。)、信頼度の高い電力供給のための系統設備・運営は国が担うべきとの観点から、送変電設備整備は国家電力公社(NPC)の最優先事項となっている。NPCは、2005年までに本事業のような新規運転開始が予定されている発電所関連の送変電を始め、超高圧、連結送電線を中心に、電圧230kV以上の主要系統では約2,500kmの送電線、2万MVAの変電設備の開発を計画している。

その中でルソン系統は2005年までにMWベースで年平均約11%の電力需要増が見込まれている。本事業は、民活方式で建設され、国産資源を活用したルソン系統の基幹発電所としての役割が期待されているバタンガス・天然ガス発電所及びカセクナン水力発電所と既存系統を接続する送電線の建設、及び変電設備の拡充を行うものであり、マニラ首都圏を中心とするルソン系統への電力安定供給を図るものである。

借款資金は、送変電設備建設及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、国家電力公社(National Power Corporation: NPC、住所: Quezon Avenue cor. AghamRoad, Diliman, Quezon City, Philippines、 Tel:63-2-921-3450、 Fax:63-2- 921-2468)である。

(9)メトロマニラ西マンガハン地区洪水制御事業

Metro Manila Flood Control Project - West of Mangahan Floodway

比国の政治経済の中心であるマニラ首都圏は、台風や豪雨により洪水被害を毎年のように被っている。これまでマニラ首都圏の重要性に鑑み、円借款においても数次にわたり洪水制御・排水事業や洪水予警報システム整備事業等を採り上げてきており、マニラ首都圏の洪水被害軽減に一定の役割を果たしてきた。ラグナ湖北岸に位置する西マンガハン地区(面積約39km2、人口約50万人;江東区と同程度の広さ)は、マニラ首都圏のベッド・タウンとしての発展が期待されているが、常襲的な浸水被害に悩まされており、早急に洪水制御事業を行うことにより同地区を洪水から守り、生活環境の向上を図り、民生の安定を確保する必要性が指摘され続けてきた。

本事業は、西マンガハン地区を対象に、湖岸堤及び排水施設の建設や河川改修工事を行うことにより、洪水被害を防止するとともに、生活環境の向上を図るものである。さらに、本事業対象地区の土地利活用計画が作成され、その計画の実現に向けて関係機関の調整が行われる。

頻発する洪水による浸水被害が軽減されることで、地域住民の居住環境の改善に寄与する環境案件であり、将来の地域開発に資する事業として位置づけられる。

本事業は、国際協力事業団(JICA)によって作成されたフィージビリティ・スタディー(1990年3月作成)及びOECF借款によって作成された詳細設計(1992年12月作成)に基づくものである。

借款資金は、治水工事及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、公共事業道路省(Department of Public Works and Highways:DPWH、住所:BonifacioDrive, Port Area, Manila, Philippines、Tel:63-2-527-4807,Fax:63-2-527-5635)である。

(10)アグサン川下流域開発事業(洪水制御II)

Lower Agusan Development Project (LADP)(Flood Control Component -Phase II)

ミンダナオ島東部を北流するアグサン川はフィリピン第3位の河川(流域面積10,921km2;日本最大の利根川の65%)であるが、その下流域に位置する同島北部の拠点都市であるブツアン市は、常襲的な洪水被害に悩まされており、早急に治水事業を行う必要がある。

本事業は、ブツアン市及び周辺地域を対象に、アグサン川の治水事業を実施し、併せてブツアン市内の排水施設の建設及び改修を行い、洪水被害を防止するとともに、生活環境の向上を図るものである。また、植林計画や利水計画等を含む流域管理計画の作成や技術移転を通じて比国の治水技術水準の向上を目指している。なお、OECFはアグサン川の洪水制御事業を1988年から支援してきたが、今回はその第II期事業である。

本事業は、頻発する洪水による浸水被害が軽減されることで、地域住民の居住環境の改善に寄与する環境案件であり、またミンダナオ島の開発を支援する事業として位置づけられる。

本事業は、フィリピン政府が作成したフィージビリティ・スタディー(1981年5月作成)及びOECF借款によって作成された詳細設計(1984年3月作成)に基づくものであり、借款資金は、アグサン川下流域開発事業(1988年1月借款契約調印;3,372百万円)に続き供与されるものである。なお、事業対象地域では、アグサン川下流域灌漑事業(1995年8月借款契約調印;4,040百万円)が実施中である。

借款資金は、治水工事及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、公共事業道路省(Department of Public Works and Highways:DPWH、住所:BonifacioDrive, Port Area, Manila, Philippines、Tel:63-2-527-4807,Fax:63-2-527-5635)である。

(11)地方都市水道整備事業(V)

Provincial Cities Water Supply Project (Phase V)

比国地方都市における上水道普及率は1993年現在7割に満たない状況であり、政府は2000年までにこれを9割まで引き上げることを目標としている。本事業は、地方水道公社を通じて、地方都市で水道事業を運営する水道区に対し上水道整備の所要資金を融資し、よって地域住民に対する安全かつ信頼性の高い良質な水道水の供給を増加させることを目的とするものである。本事業が対象とする11都市(ルソン島7、ミンダナオ島2、ミンドロ島1、パナイ島1)は、いずれも将来の水需要が大きく増加することが見込まれているうえ、個々に災害復旧、観光産業振興、都市貧困層支援、地域発展支援(ミンダナオ)等の事情から、上水道整備が急がれている。本事業の実施により、水道水の供給人口は、11都市合計で約60万人増加する見込みである。

上水道事業においては良質なサービスを国民に提供しつつ、適正な料金を徴収するための体制整備・職員訓練が重要である。本借款ではそれらを支援するために、コンサルティング・サービスの中で、地方水道公社及び各都市の水道区を対象として、会計システムの改良、料金徴収システムの強化、地方水道公社の水道区に対する訓練の拡充等を行う。

本借款は、1988年以降4次にわたって供与されている「地方都市水道整備事業(I)〜(IV)」に引き続き供与されるものである。

借款資金は、各都市における水道施設の新設、拡張・改良及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、地方水道公社 (Local Water Utilities Administration、住所:MWSS-LWUA Complex,Katipunan Road, Balara, Diliman, Quezon City, Philippines、TEL:63-2-920-5449、FAX:63-2-920-5433)である。

(12)スービック自由港環境整備事業

Subic Bay Freeport Environment Management Project

1992年に米国から返還されたスービック米海軍基地跡地は、同年制定された基地転換開発法により周辺自治体と共に「スービック特別経済自由港区」に指定された。ここでは、スービック湾都市圏開発公社(SBMA)が周辺自治体と協力し、米軍から譲り受けた空港・港湾その他の施設を活かし、ポスト香港を視野に入れた国際的な工業・商業・金融・観光センターを目指して開発を進めている。

今後の投資及び人口の増加により米海軍基地跡地及び至近のオロンガポ市から発生する固形廃棄物は急増する見込みであり、投資の受け皿整備及び周辺住民の生活環境への配慮から、早急に適切な処分場を確保する必要がある。また、同自由港区は海洋及び森林の自然環境が豊かであり、これら環境の保全と開発を両立させるための土地利用・環境管理計画の策定が早急に必要である。

本事業は、同自由港区において、米海軍基地跡地及び隣接するオロンガポ市で発生する固形廃棄物の処理施設の整備、海洋及び森林の自然環境保全を行うことにより、周辺環境の汚染防止、周辺住民の福祉向上、ならびに投資促進を図るものである。特に、コンサルティング・サービスでは、廃棄物処分場の運営維持管理訓練、効率的な廃棄物収集・処理体制の検討、海洋及び森林の自然環境保全のための土地利用・環境管理計画策定を行う。

借款資金は、既存処分場の改良工事、廃棄物収集車両等の関連機器調達、コンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、スービック湾都市圏開発公社(Subic Bay Metropolitan Authority: SBMA、住所: Building229, Waterfront Road, Subic Bay Freeport Zone, Philippines、Tel:63-47-222-3572、Fax:63-47-252-3434)である。

(13)特別経済区環境整備事業

Special Economic Zones Environment Management Project

近年、フィリピンの経済回復及び海外からの直接投資増加を受け、国営及び民間の「輸出加工区」への投資は大きく伸びた。その結果、国営(フィリピン経済区公社(PEZA)直営)の4つの輸出加工区(バギオ、バターン、カビテ、マクタン)は予約を含めほぼ満杯となっている。また、海外及び国内投資促進のため、95年に特別経済区法が制定され、既存の機関を発展的に改組し、輸出加工区だけでなく一般の工業団地も含んだ特別経済区を総合的に管轄するPEZAが設立された。

輸出加工区への投資の増加に伴い、加工区からの排水や固形廃棄物の増大が見込まれており、周辺環境の汚染を防ぐための処理施設の整備、将来の水不足の懸念に対応した排水再利用の検討が必要となってきている。また、特別経済区法により同区内の環境モニタリング等がPEZAに移管されたためPEZAの環境面での組織強化が必要であり、さらに、今後の投資の受け皿となる特別経済区の緊急開発計画策定に対する支援も必要となっている。

本事業は、PEZA直営の上記4輸出加工区において排水処理・再利用施設及び固形廃棄物処理施設を整備すると共に、コンサルティング・サービスにおいてPEZAの環境面での組織強化、投資の受け皿となる特別経済区の緊急開発計画策定を支援し、周辺環境の汚染防止、周辺住民の福祉向上、ならびに投資促進を図るものである。

借款資金は、排水処理施設・排水再利用施設の整備、環境モニタリング用機器調達、コンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、フィリピン経済区公社(Philippine Economic Zone Authority: PEZA、住所: Roxas Boulevardcorner San Luis St., Pasay City, Philippines、Tel:63-2-891-6380、Fax:63-2-527-4687)である。

(14)貧困地域初等教育事業

Third Elementary Education Project

英語力等他の途上国に比し高いとされた比国教育水準は、80年代の政治・経済混乱により、量的整備の遅れと理数科教育等質的低下を来した。しかし、「大競争」時代のアジアに於ける国際競争力向上には、初等教育の量・質の改善が不可欠であるとの認識のもと、比国は初等教育無償化、教育予算拡充等の努力を行い、円借款においても初等教育事業(91年7月借款契約締結:20,020百万円(世界銀行との協調融資))で全国26,000教室建設を支援してきている。

ところが、依然として完業率(入学1年生の6年後卒業率)は他国に比し低く、地元毎の教育の現状を踏まえた適正な財源配分による対策が不可欠であり、同時に、これを実現するためには、教育文化スポーツ省(DECS)の地方事務所への権限委譲、地方自治体との連携強化が必要である。ラモス政権下の主要政策課題である社会改革アジェンダ(SocialReform Agenda :SRA)対象貧困州における貧困撲滅・社会的公正の確立のためにも、一層の海外投資導入の一障害要因たりうる優秀な人材の不足解消のためにも、特に貧困地域における初等教育の充実が、緊急かつ重要な課題となっている。

本事業は、SRA優先対象となっている貧困26州において、学校施設増改築、教科書配布、教育器材整備、教員(国家公務員)訓練等、初等教育の量・質的改善を世界銀行との協調融資にて行うものである。まず、各州毎に初等教育の現状を調査の上、教育投資詳細計画を策定し、地方自治体や教育委員会等との連携・役割分担を図りつつ実施される。また、持続的な学校経営のため、校長・PTAの強化、家庭・地域との対話の活性化を図る。また、コンサルティング・サービスにて、これら事業全体の有機的な流れを支援する。なお、比側の自助努力を図るため、事業費は約40%をドナー(基金・世界銀行)で負担、残り約60%を比側で負担し、本事業対象貧困26州以外については、本事業をモデルとして引き続き全額比国政府予算にて整備される予定である。

本事業の定量的効果として、貧困26州における完業率の向上(54%から76%)、就学児童数の増加(180万人から240万人)、児童数対教科書数の改善(4:1から2:1)が期待される。

借款資金は、学校施設増改築の一部及びコンサルティング・サービスに充当される。

事業実施機関は、教育文化スポーツ省(Department of Education, Culture and Sports: DECS、住所:ULComplex, Meralco Avenue, Pasig City, Philippines、Tel: 63-2-633-7256、Fax: 63-2-631-8492)である。