2007年10月1日
22日(8月)にPTI教官の研修が終了しましたのでご報告いたします。算数は第3)バッチ目を終了し、すべての研修を終了しました。理科は第1)バッチ目を終了しました。
今回は算数と理科との研修が同時並行での実施だったので、準備の負荷が少し増えましたが、ノーマンの手際の良さに甘え、なんとか問題なくプログラムをこなすことが出来ました。また算数と理科とで研修の内容に大きな違いがなかったことで、似たような準備形態で進められたことは良かったと思います。
算数の研修には14名+チッタゴンとガジプールからJOCVが2名参加しました。
理科には20名+マイメンシンPTIのJOCVが1名参加しました。
以下は理科研修を中心に所感になります。
(ベンガル語での議論が分からないので内容については踏み込めません。また算数研修もあまり見ることが出来ませんでした。申し訳ありません。)
(1)オープニング
算数と理科の参加者を講堂に集めて、一ヶ所でのオープニングとなりました。
DGが留守だったので、ダイレクターがスピーチしてくれました。不肖ながら私もスピーチしました。
(2)前半5日
これまでどおり、良い授業とはどんなイメージだろうか?という内容をディスカッションを主体に進めていきました。
算数はさすが3)バッチ目ということもありスムーズに展開している様子でした。
理科はなんとかこなしているという感じは否めませんでしたが、理科には話術に長けているCPがそろっているので、ガンガン押し切っていきました。
また前半の大きなポイントは教科書、カリキュラム、その他の関連性や適切性などを学習者の立場から検討するという活動があることです。
PTIの教官にとって、(これはNAPEのCPにとっても最初はそうでしたが)初めての経験だったようで、小学校の教科書とカリキュラムとの間のギャップについては議論が盛んに交わされました。
上記の議論を踏まえて、プロジェクトで開発した教育パッケージを手にとってもらうと、これらの問題点を解消しようと違った視点から授業を展開していること、しかしそれは基本的にカリキュラムで述べているコンピテンシーの達成を目指していることなどを確認してもらいました。最後には、それでこのTPをC−in−Edのプログラムの中でどういう風に使うことが出来るでしょう?という議論を行いました。
(3)後半5日
後半は研修のサブタイトルにもあるように、セオリーを実践へ移すトレーニングです。
ここでは理科を中心にご報告します。
基本的にプログラムの骨組みは算数と一緒なんですが、少し内容を組み替えました。
3−1.つまり、算数ではInstructional KnowledgeとRelational Knowledgeについて議論するところでは、理科ではSubstantive Knowledge/understandingとFunctional Knowldge/understandingとを議論することとしました。知識を純粋に蓄積していくことで伸びていく能力と、作業などの経験を通じて伸ばせる能力とを分けて考えることで、理科にはペーパーテストでは測れない能力を伸ばすチャンスが隠されていること。これら二つの能力を縦軸と横軸にとることで、授業の目標に応じた授業タイプを検討することが出来ること。生徒中心の活動を支える知識の充実とがリンクすること、など盛りだくさんの内容でした。
その中ではサイエンスにおけるプロセススキルに関する議論も盛り込みました。
つまり、理科の授業を活動中心、生徒中心にするというお題目は良いのだが、その本質の部分がバングラデシュの教育関係者間の認識としては弱いと常々感じていたからで、なぜ活動や作業を授業に取り込むのか?なんか良いことがあるのか?そうすることで生徒のどんな能力が開発されていくのか?などなど前日のブリーフィングで担当者のマジュハルルハックも四苦八苦(?)した末に臨んだ授業でしたが、PTI教官からの反応は良かったようです。
プロセススキルについても、実はURCのトレーニングでは触れられているのですが、なんとなくバングラデシュの小学校の生徒に合っていないような感じがします。Decision Makingなどが入っているのです。
そこで理科の授業で小学生が出来ることと言うことで、観察、分類、計測、コミュニケーション、予測、推論の基本的な6つをあげて更に上級学校の生徒を想定した高度なスキルとは区別して、しかし、それら高度なスキルのベースになっていることを確認してもらいました。
(ちなみにURCトレーニングでは、観察・分類、検査、予測、比較、計測、決定、数量化、となっています。)
3−2.発問に関する議論では、先生の発問には「1)授業を動かす機能の発問」「2)大事な学習内容を強調、確認する発問」「3)Closedな発問」「4)Openな発問」の大きく4タイプがあることで、上記の議論にあった、生徒の機能的な学力や、プロセススキルを伸ばすためにはどんな発問が適当か?という問いに答えていくこととしました。当然Openクエスチョンだということになるのですが、具体的にはどんな発問が生徒の能力を伸ばすのでしょう?ということで具体例を考えていきます。また、理科では生徒が考える時間を大切にしようということで、Openクエスチョンに続いて「沈黙を大事にしましょう」というまとめをジャリルさんにしてもらいました。ジャリルさんも相当しゃべる人なので、このセッションの内容がジャリルサンにも届くといいんですけど。。。
3−3.科学的思考の深め方では、燃焼と空気の関係に関するデモレッスンをマジュハルルさんにやってもらいました。特に発問技術を意識して、酸素とか二酸化炭素といった単語も絶対に使わないように注意してやりました。火をつけたロウソクにコップをかぶせて火が消える様子から、コップの中で何が起こっているか自由に考える。火のついたロウソクに大きなペットボトルをかぶせたらどうなるか自由に予想する。空気が必要なのかどうか?かぶせたペットボトルのふたを開けたら火はどうなるか予想する。ペットボトルの下に隙間を作ったら火はどうなるか予想する。→実験→観察→推論。見えない空気の動きを線香の煙を使って追ってみる。観察→推論。これらを先生と生徒、生徒同士のコミュニケーションを通して考えていく授業を提示しました。もちろん、お金のかからない方法で、ひとつのモデルをPTI教官と共有することが出来ました。マジュハルルさん、事前にポイントを教えておくと結構授業がうまいです。
3−4.Discovery Scienceでは、ジャリルサンの十八番の実験特集です。
と言っても、手品のような実験に対して非常に嫌悪感を抱いている私の手前、地味な実験にならざるを得ないので、少し不満かもしれません。ただ、いつもポイントとして、お金のかからない実験であること、授業の中で生徒が出来ること、科学的概念が説明できること、カリキュラムとの整合性があること、などを念押ししているので、最近は地味でもちゃんとやってくれます。酸素の生成では、過酸化水素水が古かったらしく、思うように作れなかったのは残念でした。雲の発生でも練習が足りなくて、失敗。課題が残りました。ジャリルサンは研修参加者を前もって2人組にしてあって、それぞれ実験を披露するように宿題を出してありました。全部で10通りの実験を見ましたが、良いものはありませんでした。その上、危なっかしくて、実験慣れしていないPTI教官の実態に触れました。JOCVの人たちとも、C−in−Edの授業で講義をしている姿しか見ていなかったので、これほど幼稚な実験技術だったとは、、、と唖然としていました。
一度もやったことのない実験を、いかにもモチネタのように披露して失敗する姿は反面教師のように映りました。肝に銘じようと思います。しかし熱心にメモを取るPTI教官の姿は印象的でした。
3−5.タクソノミーでは、前日にモヒウディンさんと激論を交わした甲斐があって、グイグイ議論を一方的に進めていきました。まあ、彼はこういうセッションは得意ですね。ラッキーだったのは彼がブルームをある程度知っていたことです。ブルームから話を始めなくて良かったので、時間が短縮できました。もしかして光治さんのおかげ?C−in−Edの最終試験の分析をしていたとき、参加者が吠え出しました。リメンバーリング・ファクチュアル・ナレッジの部分がどうしても比率的に多くなるのですが、これはペーパーテストの限界でもあるので、私自身はそれほど問題視していなかったのですが、参加者からはこれがバングラデシュの現実なんだ。もっとハイレベルな学習をしようにも実験室がないし、実験も出来ない。これでは無理だ!それはそうなんですが、出来る範囲で出来ることをやりましょうよ。しかしその後の議論がお粗末。というかいつもと同じ。このことを政府やお上がしっかりと認識して、決断をするべきだ!と。。棚上げしないでもらいたいですね。
ベンガル語の議論のため、これ以上はフォローできず。すみません。
以上、理科の研修で少し組み替えた部分だけご報告しました。
(4)クロージング
NAPEのDGが臨席してのクロージングが行われました。参加者からの研修に関する報告が算数と理科からなされた。不肖相馬も研修が良かった楽しかっただけでは半分も成功していない。今後、PTIに戻って授業で研修内容をC−in−Edのトレイニーに教え、彼らが小学校に戻ってよい授業をしたときに初めて成功したと言えるのだ。と、それなりに熱く語ったと思います。その後、DGもスピーチし終わりました。(すみません、内容は分かりませんでした)
【反省】
今回は研修準備が遅れ、研修日の前日にセッションガイドの準備が終わり、夕方からCPにブリーフィングというお粗末な準備で望んだ研修でした。次回は前もってもっと準備を進めておいて、研修当日はもっと研修に参加するようにしたいと思います。算数と共通のフレームワークを使ったので、CPもローカルスタッフも混乱がなく、全体的にはスムーズに進んだようでした。高橋さんの入念な準備のおかげで、なんとか理科の研修を終えることが出来ました。ありがとうございました。CPの間でも、得手不得手があり、うまく使うと効果的であることも再確認できました。
MoPMEからの突然の要請で、URCインストラクターのトレーニングがNAPEで始まり、CPの多くが掛け持ちを後半していたので、本当に忙しそうでした。
PTI教官の実験に対する不慣れな感じはちょっとショックでした。突然、風船をつけたビンをロウソクの直火にかけてしまう人たちや、アルコールランプを高くしようとマッチ箱の上に乗せて、グラグラする状態で加熱をする人たち。挙げればキリのないとんでもない実験テクニックです。
以上、雑駁ですが報告といたします。
文責:相馬