タイ、ラオスにてカウンターパートに学校保健研修を実施

2012年1月12日

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タイ マヒドン大学での研修開講式の模様

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ラオス小学校訪問で生徒の歯磨きを視察

ネパール学校保健・栄養改善プロジェクトでは、2008年度から2010年度まで毎年日本でカウンターパートのための学校保健分野の研修を実施してきました。2011年度は、ネパールの実情に近い状況での学校保健の現状を学ぶため、12月にタイ、ラオスで研修を実施しました。

タイでの研修は、長年日本から保健分野での協力が行われてきたバンコクのマヒドン大学熱帯医学部で実施されました。講師には、同大学の教員やタイ公衆衛生省や学校の関係者に加え、以前同大学にJICA長期専門家として派遣されていた長崎大学大学院国際健康開発研究科の小林潤准教授と、当プロジェクトの短期専門家として活動された信州大学教育学部の友川幸助教に現地に赴いていただき、講義以外にも様々な補足的指導をしていただきました。

タイでの12月12〜23日の研修には、プロジェクトを実施している教育省から教員向けの学校保健研修の実施に協力を予定している国立教育開発センター(NCED)、カリキュラム開発センター(CDC)から各1名、保健人口省本省から2名に加え、プロジェクト対象郡であるシンドゥパルチョウク郡とシャンジャ郡の郡教育事務所、郡保健事務所から8名の合計12名が参加しました。本研修の目的は、現場での学校保健事業担当者にタイの進んだ事例を参考に、学校保健・栄養プログラムの改善のための具体的方策を考える機会を与えるものでした。

タイでは、公衆衛生省の主導で学校保健は行われており、公衆保健省の予算によって全公立校での年間授業日数200日の学校給食、365日の牛乳配布が実施され、寄生虫予防プログラムやマラリア予防プログラムなどが実施されています。タイの学校環境は非常に良く、地方の学校であってもネパールより格段に整備されていると言えますが、学校が予算を捻出するために独自で行っている、校内での野菜栽培や家畜飼育とそれらの販売や、民間企業からの学校保健に関する教材キットの提供など、ネパールでも実施可能な工夫も見られました。

このような学校視察での気づきや、タイ公衆衛生省や日本人講師などからの講義やディスカッションでの学びを踏まえ、ネパール研修員は今後の自分自身の行動計画を作成しています。

ラオスでの研修は、ラオスを調査研究の現場としている友川氏の、ラオスで培ってこられた人的ネットワークを駆使した全面的な協力で実現できました。
ラオスでの12月23〜30日の研修には、ネパールの国家計画委員会、保健人口省、教育省の行政の責任者や担当者5名、地方の開発の責任者である各郡の地方開発官2名の計7名が参加しました。本研修の目的は、中央政府の学校保健行政担当者にはプロジェクトの持続性を高めるために今後取るべき方策を、そして地方開発行政担当者には学校保健を地方開発行政に組み込む方策を検討してもらうものでした。

研修は、以前JICAが学校保健分野で派遣した個別専門家のラオス側カウンターパートであった教育省初等教育局、教員研修局が中心となって実施され、地方視察ではラオス政府の教育省、保健省、ラオス国立大学の関係者も参加して学校保健の定着の度合いの確認も行われました。

ラオスの学校保健においては、保健省から薬剤や救急箱といった投入は見られず、カリキュラムへの導入など保健教育を中心とした活動が行われており、比較的低投入で持続性が確保されています。また、ネパールでは複数政党制の連立政権の下、利害調整のため意思決定に時間を要するのに対し、ラオスでは一党支配の政治体制化であるため意思決定が比較的容易であるといった国状の違いも見られます。

研修では、ラオスとネパールの学校保健行政関係者が双方の政策、施策の成果を学び合い、研修参加者に今後のネパールの学校保健行政を進めるための機会を提供しました。ラオス政府側からは、今度はラオス側がネパールの学校保健の実情を学ぶためにネパールを訪問したいとの要望も出されました。
また、研修では、2011年に原案が作成されたネパールの保健人口省、教育省による共同行動計画の見直しも行われています。

今回の研修を通じ、学校保健に関する知識のみでなく、アジア各国の学校保健関係者間の相互交流の重要性も認識されました。
今後は、今回の2カ国の研修で学んだことを踏まえ、学校保健分野の行動計画を見直し、そして現場で可能な取り組みを検討することになります。また、2012年2月にはタイのマヒドン大学で、ラオスを含めた東南アジア地域を対象とした学校保健研修が計画されており、当プロジェクトのカウンターパートも参加して意見交換を行う予定です。