所長あいさつ

当事務所のホームページをご覧いただいた皆様、はじめまして!2023年3月にタジキスタン事務所長として着任しました今井成寿(いまいせいじゅ)です。よろしくお願いします。

タジキスタンは、1991年にソビエト連邦から独立しました。旧ソ連各国が経験した、ソ連崩壊に伴う社会経済システムの混乱、モスクワからの資金・技術支援ストップに伴う各種産業の生産性低下に加え、タジキスタンの場合、1992年から97年まで激しい内戦を経験しました。

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私は2000年にJICAに就職しましたが、初めての仕事の一つがタジキスタン「民主化セミナー」、「国会運営セミナー」というタジキスタンの国会議員や国会事務局職員を日本に招聘し、日本の議会運営等を学んでいただくプログラムの担当でした。ちなみにこれらのプログラムは、タジキスタン内戦後、当地で国連の和平監視に従事しておられ、残念ながら1998年に殉職された故秋野政務官の意思を踏まえ、和平・民主化支援のために日本政府が表明した「5年間で500人の本邦への研修員受入」の事業の一環でした。

また、私が初めてタジキスタンに出張で来たのは、2004年に日本の外務大臣として初めてタジキスタンを訪問した川口順子外相一行の現地での受入業務でした。当時は、内戦から6年経ったとはいえ、まだまだ首都は幹線道路を除けば土煙上がるような凸凹道で、ホテルの蛇口を捻っても茶色い水と小枝が出てくるような状況でした。
2000年以降、タジキスタンは年平均6-7%の経済成長を達成していますが、世界銀行によると2022年の一人当たりGNIは1,150USDと未だに旧ソ連諸国内で最低レベルの状況にあります。しかしながら、首都ドゥシャンベを歩いていると、19年前に初めてドゥシャンベを訪れた印象とは全く異なり、現在では開発途上国とは思えない街の発展ぶりに驚かせられます。緑豊かで清潔で本当に素晴らしい街です。

日本とタジキスタンは、2022年に外交関係樹立30周年の佳節を迎えました。また、本年(2023年)は、秋野先生の殉職から25年目であり、対タジキスタンのODA開始30周年に当たります。この間、先述の500名を含め、ODAの枠組でタジキスタンから日本には、約2,500名の研修員、100名以上の留学生(そのほとんどが公務員)が派遣されています。
今日のタジキスタンでは、新型コロナ、アフガニスタン情勢、ロシアのウクライナ侵攻等により、社会経済の脆弱性が改めて浮き彫りになりました。
JICAの当地での使命は、先人達の和平に対する思いを引継ぎつつ、日本で様々な形で研鑽を積んできた当地の人材等と協力し、タジキスタンが持続的且つ強靭な社会に発展できるよう貢献することだと考えています。是非、皆様方からのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

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大統領面談
Photo by the Tajikistan President’s Press Service

2023年4月
JICAタジキスタン事務所長 今井 成寿