開発援助におけるガバナンスとは、政府が国を「統治する能力」のことで、アフリカ諸国のガバナンスは概して脆弱であると言われており、タンザニアも例外ではありません。ガバナンス分野を支援するということは、その国の自発的向上力を高め自立を促し、引いてはその国の国際信用力を高めることにもつながります。

ガバナンスは法制度、政策立案・実施、地方自治など幅広い分野に亘るため、タンザニアのガバナンス状況を一口に語ることは容易ではありませんが、例えば世界銀行が発表しているガバナンス指標において、「政府の有効性」という指標に対し、タンザニアのレベルは29.2(100が最高)に位置づけられています(2013年)。また、トランスペアレンシー・インターナショナルという国際NGOが毎年発表している世界汚職ランキングでは、2014年時点で175カ国中119位(上位=良)という結果でした。(注1)

(注1)ちなみに、同じ年の日本のランクは、世界ガバナンス指標93.8、世界汚職ランキングは15位でした。

最も支援を必要としている人々への公共・福祉サービスの提供についても、中央政府による調整能力不足や地方自治体レベルにおける著しい能力不足等が原因となって十分に行き届いているとは言えない状況です。

タンザニア政府は2005年に「成長と貧困削減のための国家戦略(MKUKUTA)」を策定し、中央及び地方政府のガバナンス強化を開発重点3本柱の一つに取り上げて、「改革」という名の下に様々な取り組みを実施しています。日本は、特に「地方政府改革」と「公共財政管理改革」に重点を置いて支援しています。